- シリコンバレーで実際に経験した3種類の悪いマネージャー(The Artist, The Dictator, The Knife)を通じて、マネージャーとリーダーの違いを分析
- The Artistは創作物にしか没頭せず、人の価値を軽視するタイプで、チームメンバーがなぜ重要なのかを理解していない、あるいは関心がない
- The Dictatorは問題に深く没入するが、自分の権威で会話を独占し、チームがすでに用意していた正しい解決策を無視して誤った方向へ押し進める
- The Knifeは知的でリーダーシップもあるが、マネジメント自体に不向きなタイプで、1:1ミーティングでまったく関係のない話しかしないため、そもそも意思疎通が不可能
- 核心となる教訓は、上司を変えることはできないのだから、それぞれの相手に合わせてコミュニケーションの方法と準備の仕方を適応させるべきだという点
The Artist: 人の価値を無視する創作者型マネージャー
- 面接の過程から内向的でぎこちない様子が見えており、長い沈黙、的外れな質問、フィードバックの欠如が特徴だった
- 初出勤の日に「初日はどうだった?」と尋ねてきたが、それは誰かに新入社員にはそうするべきだと教えられていたからだった
- 初日の印象や評価を詳しく共有したが、完全にぼんやりした表情で反応し、理解していないか関心がないようだった
- 優れた創造性とビジョンによってマネージャーに昇進したが、マネージャー職の本質である人の管理には関心がなかった
- マネージャー関連の本を読み、ルールに従ってはいたものの、良いマネージャーがどういうものかを気にしていないか、そもそも分かっていない状態だった
- 対応策として教育的アプローチを試みたが、口頭で説明するとぼんやりした反応しか返ってこないため、1:1ミーティングの前に文章で書くようになった
- 利害の大きい状況では、状況分析、評価、提言を何度も書いて磨き上げて伝えた
- The Artistは費やされた労力を認識し、ときどきは関与したが、そうでないこともあった
- チームがミッションを理解し、達成方法を知り、個々人が意味ある形で貢献できるときにより良い成果物が生まれることを認識していなかった
The Dictator: 会話を独占する独裁者型マネージャー
- 昇進後の最初の会議は地下室で開かれた製品レビュー会議で、エンジニアリング・PM・デザインが参加する小規模ミーティングだった
- 大企業の顧客が、中核機能の問題を解決しなければ離脱すると脅している状況だった
- 要件と実装は正しかったが、デザインが顧客を混乱させており、デザインチームはエンジニアリングと検証済みの堅実な提案を用意していた
- 会議は形式的に終えられるはずだったが、The Dictatorが質問を始め、提案を無視して追加の議論を強要した
- 1時間続いた議論の末にホワイトボードで新機能を設計したが、その結果は見た目にも雑で、深く考えるとさらに悪い機能だった
- 資料を読んだ人なら誰でも誤った方向だと分かったが、誰も異議を唱えず、そのまま実装された
- 1:1ミーティングも、30秒にも満たないあいさつの後、すぐに独裁的な独演が始まるパターンだった
- 対応策として徹底した事前準備を選んだ。資料を確認して穴を見つけて埋め、PMと1:1を行い、デザイナーと散歩しながら背景を把握した
- The Dictatorが会話を妙な方向へ持っていこうとするたびに、「この経路はすでに検討済みで、なぜ誤った方向なのか」を説明する形で対応した
- The Dictatorの表情には、**「ああ、お前もこれを気にしているのか」**という認識が表れていた
- このアプローチでThe Dictatorの行動そのものは変わらなかったが、徹底的に準備することで、一方的な戦いではなく対等な議論が可能になった
- この経験を通じて、専門家として状況を見抜くべき役割に関する習慣が身についた
The Knife: そもそも意思疎通が不可能なタイプ
- 昇進後1か月が過ぎてようやく最初の1:1ミーティングが設定され、その間はときどき理解しがたい情報要求や提案があるだけだった
- 1:1に行くと、相手は電話中で、座れという手振りだけを受けた
- 財務チームと通話しながら、まるで世界がもうすぐ終わるかのように資産保全について話していた(実際には何も起きなかった)
- 30分のミーティングのうち20分をその通話を聞くことに費やし、床に置かれた大きなグラノーラの箱の理由も分からなかった
- 通話が終わった後の会話内容は覚えておらず、その後突然机の引き出しからハンティングナイフを取り出して弄び始めた。脅威ではなかったが、極めて奇妙な状況だった
- 教育的アプローチは不可能だった。口頭で説明を聞いてはいるが、まったく別の話題で応答し、書面での試みも読まれなかった
- 深い関心を示すアプローチも、共通点を見つけようとする試みも失敗した。この人が何に関心を持っているのか把握するのは、**「ぬるいレモンゼリーを針の穴に通す」**ようなものだった
- チームが直面する問題とはまったく無関係な話をしていたが、その中でどうにか教訓を伝えるリーダーシップ能力はあった
- 対応方法は、邪魔せず道を譲ること。彼らが不可解なやり方で働くのをそのままにしておくことだった
マネージャーとリーダーの違い
- マネージャーの役割は**「今どこにいるか」を知らせること、リーダーの役割は「どこへ向かうのか」**を知らせること
- 3人とも客観的な成果基準では非常に成功したリーダーであり、株主価値の創出という点でも優れていた
- リーダーは戦略に、マネージャーは運用に強みがあり、どちらが必要かはチーム規模、組織内での位置、企業文化など無数の要素によって異なる
- 上司は戦略寄りか戦術寄りかのどちらか一方に偏っている可能性が高い
核心となる教訓: すべての人に適応しなければならない
- 悪いマネージャーに出会うのは避けられず、彼らを変えることは不可能。特に上位のリーダーであるほど影響を及ぼすのは難しい
- 「邪魔せず道を譲ること」だけが単独の教訓ではなく、本当の教訓はすべての人が適応の対象だという点にある
- 上司、上司の上司、チームメンバー、その他あらゆる人と働くとき、準備の仕方、コミュニケーションの方法、行動の仕方をそれぞれ変えて調整しなければならない
- 適応の中には些細で慣れたものもあるが、別の適応には新しい視点と新しい習慣が必要になる
- リーダーがいつマネジメントをすべきかを分かっているのが理想だが、上司を選ぶことはできないのだから、その人と働くとき自分がどうあるかを自分で決める必要がある
2件のコメント
良いリーダー、マネージャー、チームメンバーとは何だろうか? ときにはマネージャーである人が、同時に誰かにとってはチームメンバーでもあるのだから…
どこでも人の営みはみな同じですね。 :)