1 ポイント 投稿者 GN⁺ 2024-10-21 | 1件のコメント | WhatsAppで共有
  • Project MACのFernando J. Corbatoは、コンピューティング用語 daemon が1963年ごろに自分のグループで使われていたことは認めたが、「Disk And Executive MONitor」という頭字語の説明は初耳だと述べた
  • この用語は頭字語ではなく、物理学・熱力学の Maxwell's daemon に由来し、バックグラウンドで疲れることなくシステム作業を行うプロセスを指す言葉として使われ始めた
  • Jerome H. Saltzerも Maxwell's demon に由来するという説明を確認しており、誤った頭字語説がどこから始まったのかを追跡している
  • 同じページでは、「with au jus」、Welshの cwningen とSpanishの conejo、「please RSVP」、「GOLF」頭字語説、「piri piri**」のように、さまざまな言語・語源論争を読者の手紙形式で扱っている
  • 英単語を頭字語で説明する民間語源はもっともらしく見えるが、実際の語源確認では 時期、借用経路、元の用例のほうがより重要である

コンピューティングでdaemonとなったマクスウェルの想像上の存在

  • Richard SteinbergはFernando J. Corbatoに、コンピューティングで daemon という単語がどこから来たのかを質問した
    • 質問には、Project MACチームが1963年にIBM 7094でこの用語を初めて使い、最初のdaemonがファイルシステムをテープに自動バックアップするプログラムだったという説明が含まれていた
    • Steinbergは、daemonが「Disk And Executive MONitor」の頭字語だという説明も正しいのか確認しようとした
  • Corbatoは、自分のグループがそのころ daemon という用語を使い始めたのは事実だと答えた
    • ただし、「Disk And Executive MONitor」という 頭字語の説明 は自分にとって初めて聞く話だった
    • 実際の発想の源は、物理学と熱力学の Maxwell's daemon だったと述べた
    • Maxwell's daemonは、速度の異なる分子を分類しながらバックグラウンドで疲れることなく働く想像上の存在だった
    • Project MACグループは、システムの雑務を処理するバックグラウンドプロセスを説明するためにこの語を使った
  • Take Our Word For Itの以前の説明は、demondaemon の綴りと意味の変化もあわせて扱っている
    • 2つの単語はかつて互いに置き換えて使われていた
    • demonは中世ラテン語を通じて英語に入り、daemonは古典ラテン語から入った
    • 14世紀後半には、「daemon of Socrates」のように「守護する、または内在する霊、genius」という意味で使われていた
    • その後、聖書翻訳の影響で demon は「悪霊」の意味を持つようになった
    • 16世紀後半には、一般的な超自然的意味が daemon の綴りに、邪悪な意味が demon の綴りに分かれ始めた
  • Maxwell's daemonの説明は、コンピューティングにおけるdaemonの役割に直接つながる
    • James Maxwellは、閉じた容器を2つに分け、小さな扉を通して分子の速度に応じて通過の可否を決める想像上の存在を考えた
    • この存在は分子の速度、すなわち温度を観察し、条件に応じて扉を開け閉めする
    • システムプロセスであるdaemonがほかの作業を監視し、定められた動作を実行する姿はこの比喩に似ている
  • Project MACでともに働いたJerome H. Saltzerも、Maxwell's demon 語源説を確認した
    • Saltzerは、daemonの誤った頭字語説がどこで始まったのかを追跡中である
    • Take Our Word For Itは、以前の号の説明をこの確認に合わせて修正したと述べている

「with au jus」が不自然に見える理由

  • Brad Danielsは、au jus が文字どおりには「with juice」を意味するが、「sauce au jus [de beouf]」の省略形なので、「with au jus」は見た目ほど誤った表現ではないと考えている
  • Fred Wellsは、avec がフランス語で「with」、au が「in」だと指摘した
    • これに対して、この場合の au は通常「with」と訳されると反論している
    • 例として cafe au lait を挙げ、「coffee in milk」とは言わないと説明する
  • Richard Hershbergerは、「with au jus」を英語文法の観点から自然に解釈している
    • 英語の構文には前置詞が必要であり、「au jus」には英語式の前置詞がないため、話者が「with」を加えたという説明である
    • もとのフランス語の中に前置詞が含まれていても、全体の構文が英語として受け入れられ、英語文法に合わせて再分析されるなら重要ではないと見る
  • Take Our Word For Itはこの説明に同意していない
    • 「apple pie with a la mode」とは言わない、という例を挙げている
    • au jus を前置詞句として分析しないなら、形容詞のように扱うべきだと考えている
  • Jane Harringtonは、カナダの二言語ラベルで生じる表現を紹介している
    • 「The Jeux Canada Games」や「old fort cheese」のような例がある
    • こうした表現は、複数言語が混ざった macaronic phrase の例として分類される

rabbit関連語のつながり

  • Jane Irish Nelsonは、Welshのrabbitを表す語 cwningen がSpanishの conejo に似ているのかと質問した
  • Jeff Leeは、Welshの cwningen とEnglishの cony がLatinの cuniculus と関係しているのかを尋ねた
    • 彼はAnthony Copleyの1595年の本 Wits Fittes & Fancies に出てくるラテン語の冗談を引用している
    • その冗談では、ウサギを盗みに行った学者たちが「Ecce cuniculi multi」と言うとウサギたちが逃げ出し、「ウサギがラテン語を聞き取れるとは誰が思っただろうか」というオチになる
  • 答えは、rabbitに関する単語はすべてつながっている、というものだった
    • 英語形とWelsh形は Latin に由来する
    • Latinはこの単語を古代イベリア語から借用したと考えられている

頭字語のように見えるが頭字語ではない語

  • Brad Danielsは、「ATM machine」「PIN number」のような重複頭字語表現とともに、「please RSVP」「RAM memory」を例に挙げている
    • RSVPRépondez S'il Vous Plait で「please respond」を意味するため、「please RSVP」は「please respond please」のように見える
    • RAM memory は、RAMのMがすでに「Memory」を意味している点で重複表現である
  • Michael Talbertは、golf が「Gentlemen Only Ladies Forbidden」の頭字語だという説明を否定する際、その語を構成する単語がgolfの成立時期とされる時代には現在の意味で存在していなかった点も指摘できたはずだと述べた
  • Take Our Word For Itは、golfは頭字語ではない と明言している
    • すでにgolfの語源を扱っており、その頭字語説が時代錯誤だという説明まで繰り返す必要はないと見ている
    • 英語で頭字語から来た単語は少なく、20世紀以前の頭字語由来はさらに少ないと説明している
    • 例として sonarradarscuba が頭字語由来の単語として挙げられている
    • posh を頭字語由来とみなす試みは認めず、okay も頭字語には数えない

piri piriと末尾の短い反応

  • Simon Rumbleは、Piri Piri を主にNando'sチェーンで見かけており、ポルトガル語起源を支持するリンクもあると述べた
    • ただし、ポルトガルが植民地活動をしていたため、実際の起源はポルトガル語ではなく植民地の言語である可能性にも触れている
  • Alan Wachtelは、Kenyaでは pilipili がSwahiliで「pepper」を意味すると説明している
    • Kenyaでは英語以外に広く使われる言語がSwahiliだという
    • Oxford Standard Swahili-English Dictionary によれば、pilipili はPersianの語に由来する
    • PersianはSanskritと近い関係にあり、Sanskrit pippali との類似が明らかだと見ている
    • 彼はHebrewの pilpul も連想したとし、Aramaicの語でありHebrewと同系の「pepper」関連語だと付け加えた
  • Catherine Hackettは、etc. はLatinに由来し「and the rest」を意味するとして、サイトは「hopelessly WRONG」だと批判した
    • 返ってきた反応は短い「Er... sure.」だった

1件のコメント

 
GN⁺ 2024-10-21
Hacker Newsの反応
  • *nix の世界には暗いけれど面白い用語がたくさんある。デーモンがシステムを動かし、新しいファイルは umask が不要な権限を取り除く前は 666 を与えられる
    親は自分自身を殺す前に子を殺し、時には ゾンビ も始末しなければならない

    • 出典: https://devrant.com/rants/1101391/my-daily-unix-command-list...
      unzip; strip; touch; finger; mount; fsck; more; yes; unmount; sleep
    • 出典: https://www.unixprogram.com/churchofbsd/index.html
      ある日レストランで弟子に プロセス制御 を説明していた。子ども(子プロセス)が応答しなければ kill しなければならず、子どもが自分で死ぬようにアラームを設定することもできると話していた。親は wait3 で待って、子が死んだことを確認しなければならず、そうしないとゾンビになると説明した
      向かい側にいた女性の恐怖に満ちた表情は忘れられない。コンピュータソフトウェアの話だと説明しようとしたが、もう手遅れで、たぶん警察に通報しようとして怯えて逃げていった。何が起きるか確かめるために長居したいとも思わなかった
    • 現在のプロセスを kill する意味で kill self のような語を検索していると、自殺防止案内のポップアップを見るのは、ほとんど通過儀礼のように感じる
    • ゾンビ はすでに死んでいるので kill できず、wait で回収することしかできない。だから init が孤児プロセスを引き取り、いつか死んだら回収できるようにする
    • 時には 孤児プロセス も kill しなければならない
  • 引用文には daemon.co.uk が英国のWebサイトを多数ホスティングしていた場所だとあるが、社名の由来かどうかはともかく、ドメインは daemon ではなく demon.co.uk だった
    たとえば何年か pretence.demon.co.uk のアカウントを使っていた
    https://en.m.wikipedia.org/wiki/Demon_Internet

    • 90年代に daemon.co.uk は聞いたことがなく、同じく Demon のアカウント を持っていた
  • デーモンの話のすぐ下にある a la modeau jus の議論がとても興味深い
    この2つの表現をよく知らなかったので調べてみたら、a la mode はアメリカの料理表現で「アイスクリームを添えて提供する」という意味で、au jus もアメリカの料理表現で「グレイビー」や「肉汁」という意味だった。どちらもフランス語の前置詞句に由来するが、英語に借用された後はもはや元の構造は重要ではない
    a la mode は「アイスクリームを添えて提供する」という新しい副詞表現になったので pie a la mode は成立するが、pie with a la mode はおかしい。逆に au jus は「肉汁/グレイビー」という名詞表現になったので、sandwich with au jus と言うべきで、sandwich au jus は本来の意味では不自然だ
    興味深いのは、言語は自分の考えるあり方であるべきだと信じる 規範主義者 にとって、この変化が癪に障るという点で、そのWebページの作者もそう見える

    • さっそく自分の デーモンpilipili au jus de cuniculus を料理するよう命じた。では、目を開けてもいいという危険を冒してみようと思う
    • sandwich au jus と言うことはできるが、この場合はグレイビーそのものではなく、グレイビー付きのサンドイッチ を指す
    • 最近一緒にいた人が au jus を「ソース」みたいにずっと使っていた。「それは an au jus にできそうだね」「横に an au jus を添えたら本当においしそう」みたいな感じだった
  • 「警告: この段落は科学に関する内容です。この話題が過度の不安を引き起こすなら、読み終わるまで目を閉じていてください。」
    すばらしい

  • タイトルを読んだ瞬間に「これは Maxwell だな?」と思った。こういうのを当てたときの楽しさは不合理なくらい大きい

    • 筆者は最初、その奇妙な 逆アクロニム で意表を突こうとしたようだ
  • Apple II のゲーム Dr. Maxwell's Molecule Magic で Maxwell のデーモンを知ったのを覚えている。そのゲームではプレイヤーがデーモン役を務める
    十分に高い圧力で気体分子を閉じ込めるために障壁をオンオフし、十分だと思ったらロケットを発射して結果を確認する。成功するとロケットが画面の外へ飛んでいき、月の上の宇宙飛行士が「Hi, Mom!」と言う画像が出た。音声は Apple II スピーカーの PWM で再生されていた
    11歳の自分は簡単に楽しめた。特にロケット、ロボット、科学が出てくるとなおさらだった

  • 以前のスレッド:
    [2023] https://news.ycombinator.com/item?id=35283067 (コメント24件)
    [2022] https://news.ycombinator.com/item?id=31069163 (コメント127件)
    [2018] https://news.ycombinator.com/item?id=16299583 (コメント46件)
    [2011] https://news.ycombinator.com/item?id=2691752 (コメント45件)

  • daemon という単語自体とは別だが記事内容に関連して、「結局 量子力学 の理論が、なぜそれが機能しないのかを示した」という主張に少し驚いた
    情報理論の側の議論は知っていて、Wikipedia にも同じことが書いてある。ここで「量子力学」と言っているのがその話なのか、それとも Maxwell のデーモンに対する別の反論があるのか気になる
    1: https://en.m.wikipedia.org/wiki/Maxwell's_demon#Criticism_an...

    • デーモンが速い分子だけをドアから通す能力は、分子の 位置と速度 を同時に知る必要があることに依存しているように思える
    • 計算が正しければ、たぶん実際に有用な仕事はほとんどできない気がする。宇宙の残りの部分と極度に相関した状態になるのを避けるには複雑すぎるからだ
      たとえ可能だとしても、ほとんどの現実的な状況では標準的な 超知能 より優れているとは思えない。失うエネルギーより多くのエネルギーを取り戻そうとしているのでない限り、そしてそんな回収は無茶な仮想物理学なしには安定して可能には思えない
  • いつも生きているプロセスを指すのだから、コンピュータの中に住む小さな 悪魔 みたいなものだからそう呼ぶのだと思っていた

  • もちろん用語の語源ではないだろうが、記事内容に関連して、Lovecraft が Lactantius から引用した文句はかなりしっくりくるといつも思っていた
    「悪魔は、存在しないものを存在するかのように人々に見せることができる。 -- Lactantius」