- Y Combinatorは長年、人々にもっと挑戦してほしいアイデアを集め、それをRequest for Startups(RFS)という形で共有してきた
- このリストに載っていないアイデアも十分に価値があり、このリストにあるアイデアが創業者がすでに関心を持っていた分野であれば、YCがそれに共感し支援しているという点で動機づけになる可能性がある
- ここに挙げたアイデアがYCの投資対象のすべてではないので、自分のやりたいアイデアがあるならためらわずに応募してほしい
Spring 2025
Introduction
- 最近のAIの急速な進歩により、新たに開かれた起業機会が数多く生まれている
- Operator、Computer Useなどの機能によってAIが実際のコンピュータやWebを活用できるようになり、以前よりはるかに多くの領域に適用可能になった
- OpenAIのo1/o3、Deepseek R1のようなモデルの登場により、AIが人間を上回る事例が生まれており、それを支えるコンピューティングインフラも重要になっている
A Secure AI App Store
- ユーザーのデバイスにインストールされる新しい形のAIアプリストアとOSレイヤーを望んでいる
- 主な機能
- プライバシー保護: ユーザーの許可なしにカレンダー、ファイル、閲覧履歴などへアクセスできないようにする
- 共有メモリ: ユーザーの過去のアクション、好み、文脈をOSレベルで一貫して管理する
- アプリレビュー/キュレーション: 信頼できるAIアプリだけを紹介できるよう、事前検証の仕組みが必要
- 開発者支援: AIアプリ開発に必要なAPI、たとえばコンピュータ操作、LLaMAのバージョン管理、アクセス権限の制御などを簡単に提供する
- 決済機能: 有料アプリの決済やサービス利用料金の支払いをサポートする
- ビッグテック企業以外にも、スタートアップが十分にイノベーションを主導する機会があると見ている
Datacenters
- AIインフラ需要の増加によりデータセンターを急速に増やす必要があるが、現在は建設速度やコストが課題になっている
- 電力インフラ、冷却、資材調達、プロジェクト管理など、さまざまな面でイノベーションが必要である
- 建設計画から保守までソフトウェア自動化によって24時間ロボット運用が可能な「lights out」センターを構想している
- スタートアップがこの分野に参入して新しいソリューションを打ち出すことを期待しており、YCはそれを積極的に支援したいと考えている
Compliance and Audit
- 米国と欧州では全労働者のおよそ1%がコンプライアンスまたは監査関連の業務を担当している
- 規制拡大(GDPR、Dodd-Frank、AML/KYC、ESGなど)により、コンプライアンス業務量は継続的に増えている
- LLM(大規模言語モデル)を使えば、膨大な文書を素早く分析し、問題点を見つけ出せる
- サンプル点検の代わりに、全データに対する「リアルタイム監査」が可能になる
- 今後、多くのコンプライアンス業務が自動化されると予想される
DocuSign 2.0
- 電子署名プラットフォーム(DocuSignなど)は複雑な書類手続きを簡素化するが、依然として次の点が難しい
- 文書テンプレートの作成
- 重複情報入力の防止
- 文書の誤り修正
- 複雑な用語の説明
- 他のソフトウェアとの統合
- AIベースで書類の自動作成、音声インターフェース、状況別に最適化された書類生成などが可能になっている
- このような「文書署名」ソリューションを根本から再設計するスタートアップを探している
Browser & Computer Automation
- AIがWebブラウザやデスクトップアプリを使えるようになったことで、実質的にあらゆるサイトやアプリが「API」のように変わる
- これにより、コンピュータ上のあらゆる作業(ワークフロー)を自動化する数多くのサービスが登場しうる
- 有望なオープンソースツールも存在しており、スタートアップにはそれを積極的に活用してほしい
AI Personal Staff for Everyone
- 以前はごく一部の富裕層だけが享受していた「個人向け専門家サービス(家事・税務・法務・資産管理など)」をソフトウェアで大衆化できる
- 写真分類や個人運転手のように、以前は高所得層しか使えなかったものが、現在ではアプリやAIによって誰でも利用できるようになった例がある
- 税理士、弁護士、トレーナー、教師など、さまざまな役割をAIで代替または支援できる
- 個人秘書・支援者の役割を担うAIスタートアップを望んでいる
The Future of Software Engineering
- すでに多くのAIが優れたコードを書き出している
- 将来もソフトウェア開発者は引き続き必要だが、自らコードを書くより、多数のAIエージェントを指揮して製品を作る形になる可能性が高い
- QA、デプロイ、セキュリティ、多言語対応、運用など、さまざまな作業もAIが大半を処理するようになる
- 「小規模な組織のエンジニアが多数のAIエージェントを効率よく管理し、大規模ソフトウェアを作る」ためのツールが必要である
AI Commercial Open Source Software (AICOSS)
- オープンソースのエコシステムと、それを商業的に支援するスタートアップのパターンは過去にも成功してきた(Linux-RedHat、Git-Githubなど)
- オープンソースAIを企業が実際に導入・運用できるよう支援するサービスには大きな機会がある
- DeepSeekなど多様なプロジェクトが登場しており、それを活用して企業向けソリューションやコンサルティングを提供するモデルが可能である
- オープンソースAIを基盤にB2B支援を目指す起業を期待している
AI Coding Agents for Hardware-Optimized Code
- AIハードウェア開発はソフトウェアの制約のために進展が遅れることもある
- CUDAによるNVIDIAの独占のように、カスタムシリコンやAMDなどの性能がソフトウェア最適化不足によって過小評価される例がある
- Deepseek R1、OpenAI o1/o3のような推論モデルを活用して、高難度なハードウェア最適化コードを自動生成できれば、新たな可能性が開ける
- さまざまなハードウェアプラットフォーム間の依存度を下げ、エコシステム全体を再編できる機会がある
B2A: Software Where the Customers Will All Be Agents
- インターネットトラフィックのかなりの部分は、すでに人間ではないプログラム(スクレイパー、自動化スクリプトなど)によるものである
- AIエージェントが本格化すれば、Webサービスを人間だけでなくAIエージェントにも直接提供しなければならない時代が来る
- 例: エージェント専用の決済API、ホスティング利用クレジットの購入、エージェント間の契約締結支援など
- このような「AIエージェントを顧客とする」ソフトウェアを専門的に開発する起業も有望である
Vertical AI Agents
- 以前はインタラクティブなWebアプリの発展によってB2B SaaSが急成長したが、今後は特定ドメインの課題を自動化する「バーティカルAIエージェント」が急成長すると見られる
- AI税務会計、AI医療請求、AI電話相談、AIコンプライアンスなど、すでに多くの事例が存在する
- 実際のドメイン課題を解決するには、深いエージェント構造、既存レガシーシステムとの統合、ドメイン知識が必要である
- 人間レベルの性能を出せれば急速に成長すると期待されており、まだ大きな潜在力を持つ分野が多い
Startup Founders with Systems Programming Expertise
- DeepSeekの論文などが示すように、ハードウェア資源を極大化するための低レイヤー技術力の重要性が高まっている
- Googleの創業者やJohn Carmackのように、ソフトウェアスタック全体を貫いて理解する能力はイノベーションに大きな影響を与えてきた
- 限られたリソースを乗り越え、最適化を追求する執念はスタートアップの強力な競争力になりうる
- YCはこのような低レイヤーのシステムプログラミング専門性を持つ創業者を積極的に探している
Inference AI Infrastructure in the World of Test-Time Compute
- 以前は大規模モデルの事前学習に多くの計算資源が投入されていたが、今では推論(Inference)の過程でも大きなリソースが求められている
- 複雑な推論モデルを頻繁に呼び出すAIアプリの増加により、インフラコストが急騰する可能性がある
- 新しい方式の推論向けインフラ、GPUワークロード最適化、コスト削減ソリューションなどが必要である
- 「インフラ最適化」のように目立たないが不可欠な分野で大きな機会が生まれると予想される
1件のコメント
2024.02 YCのRequest for Startup(スタートアップへの要請)
1年前と比べると、すべてがAI中心に変わりましたね。
昨年は機械学習、宇宙、気候、空間コンピューティングなどもありましたが、今ではもうすべてが「AIのための/AIを活用した」になっていますね。
「商用オープンソース企業」が「AICOSS(AI Commercial Open Source Software)」に変わったのも興味深いです。