ときには絶対に価格で競争してはいけない
(longform.asmartbear.com)- 単に 価格が安いという理由だけで勝負すると、結局 誰もが破壊的な価格競争 の中で疲弊する
- しかし 戦略的に弱みを意図的に選び、それによって構造的な強みを作るなら、安い価格も強力な武器 になり得る
- Costco、IKEA、Southwest、Vanguard はいずれも 特定の顧客層にだけ最適化された製品 を提供し、不便な弱みや制約をあえて選ぶこと で 模倣不可能なシステムを構築 している
- SaaS であれオフライン企業であれ、収益構造が製品単位ですでに成立していること、そして 拡大のための外部資金がなくても成長可能な戦略 を持っていなければならない
- 「安さ」が単なる戦術ではなく、全社的な戦略の結果 であるときにのみ 競争力 になる
「価格で競争するな」
- みんなそう言うが、顧客は低価格を求めており、Costco、IKEA、Amazon、H&M などは低価格戦略で成功してきた
- では、なぜ低価格で勝負してはいけないと言われるのだろうか?
- 同じ顧客層の同じ課題を同じ方法で解決する類似製品 は、結局 価格以外に差別化要素がない
- 価格を下げれば相手も追随し、結局 マージンが消滅 して、誰もが 開発、マーケティング、顧客サポートなどへの投資余力 を失う
- 例: 20% の値下げには 25% の顧客増加 が必要で、利益ベースでは 10% 値下げ = 利益 50% 減少 となる
- この計算式こそ、私を含む多くの専門家がブートストラップ創業者に 「価格を上げろ」 と口酸っぱく言う理由だ
「低価格では再投資の余地も、利益を残す方法もない」
- 新しい創業者は、製品がまだ未完成だと感じているため、自信不足から低価格を設定する
- 値上げする代わりに、「安いから試してみる」顧客 だけを集め、結果として サポートコストだけが増える
- 結局、仕事を切り上げることもできず、成長もなく、投資余力もない
- では「価格で競争するな」は真理なのだろうか?
- いや、最安値を提示することは優れた戦略になり得る
- ジェフ・ベゾスは 「あなたのマージンは私のチャンスだ」 という有名な言葉を残した。競合が利益を確保しているとき、Amazon はより安く売る
- 競合が価格を維持すれば市場シェアを奪われ、価格を下げれば Amazon が競合の利益を破壊する
- では、なぜ Amazon にとって賢明なこの戦略が、私たちにとっては愚かな選択になるのだろうか?
完成された戦略としての低価格
- 核心条件はこれだ。価格は戦略の副産物でなければならない
- 値下げが 最後の手段 ではなく、戦略的な構造決定の結果 であるべきだ
- 弱みを戦略的に受け入れ、その結果として競合が模倣できない 強みを確保する 方法である
- 弱みを特別な強みへと導く 相互連結された低価格戦略 の事例
- Costco
- 大容量パッケージ + 高品質 の組み合わせで単価を下げる
- 店舗内装の簡素化、商品種類の限定、会員制の収益構造など、相互に強化し合う戦略
- 14% マージン上限ポリシー、従業員福利厚生の強化なども独自構造の一部
- Southwest Airlines
- 単一機種の航空機、短距離中心の路線、二次空港の利用 などで運営コストを削減
- 手荷物連携不可、ビジネスクラスなしなど、不便さを受け入れた 構造
- 他社も模倣したが成功しなかった → 弱みを受け入れなかったため
- Vanguard
- ファンドマネージャーのいないインデックスファンド で 2% の手数料を除去
- 一部の消費者は「本物の専門家がいないファンド」と敬遠したが、長期リターン + 手数料 を考えるとかえって優位だった
- 構造的に低いコスト が核心的な強み
- IKEA
- セルフ組み立て という不便な選択が、物流、陳列、人件費の削減 の核心的な鍵
- 世界共通の商品群、ショールーム導線の最適化、低品質の合理化もすべて一つの戦略構造
- 「家具を安く買いたい人」にとっては完璧な価値提供
- Costco
Low-cost 戦略に多額の資金調達は必要ない
- 最近の SaaS Playbook では、「低価格」戦略を実行するにはかなり大規模な VC 資金調達が必要だと語られる
- これは論理的だ。低価格ビジネスモデルは規模を拡大してこそ利益が出る
- しかし上の企業はすべて、少ない初期資本で収益性のある構造を素早く確保した
- Costco: 最初の店舗費用は $5M で、$30M の小規模公募で IPO。会員費収入で固定費の大半を賄い、きわめて低い商品マージンで事業を運営
- Southwest: 初期投資は $560K、3 都市から開始。すぐに利益を出したため、外部資金なしで事業を拡大
- Vanguard: 初期資本は $2M、人件費はほぼなし。最低限の運営費だけで済んだ
- IKEA: 資金の大半を 事業収益から自己調達。世界展開も主に利益の再投資で実現した
- これらは資材、サプライチェーン、在庫、建物を持つ物理的な企業だ。ソフトウェア企業なら、これ以上の投資なしで同等のサービスを提供できるはずだ
成功する低価格戦略の共通要素
- 多くの顧客が嫌がる可能性のある 弱みを戦略的に受け入れ、市場の一部セグメントを狙う
- その 弱みゆえに競合が模倣できない 構造を形成する。競合は強みは真似したがるが、弱みは真似しない。しかしその弱みこそが強みを生み出すのに不可欠
- 製品単位で収益性を確保 する(SaaS なら 70% 以上の Gross Profit Margin、1 年未満の短い CAC 回収期間など)
- 利益を配当や消費に回すのではなく、事業拡大に再投資 する
- 運営革新に集中 する(単価削減、効率化など)
- 狭いターゲット市場から始め、段階的に拡大する
- 価値に基づく長期戦略を維持 し、短期的な便宜との妥協をしない
結論
- 価格が 唯一の差別化要素 なら、それは戦略ではない。ただ Commoditization と価格競争を招くだけだ
それは単に安っぽい(cheap)だけで、手頃な(affordable)価格ではない。ビジョンが足りないだけで、緻密な戦略ではない
- 低価格が 事業構造、コスト構造、製品間のトレードオフ、競合が下げられない/下げないような意思決定 の結果であるとき、それは強力で勝てる戦略になる
- 安さのために安売りするのではなく、安く作っても利益が残る構造を設計しなければならない
- 低価格戦略とは「安い」という言葉ではなく、安く売っても利益を残せるよう設計されたビジネスモデル であるときにのみ機能する
1件のコメント
これは不可能か、少なくとも大半のケースでは実現不可能な話です。
IT分野の多くは人件費と人員の付随コストが高く、SWの場合はなおさらです。
その文章の事例(Amazon、Costco、Vanguard、IKEA)は、ほとんどが人件費を削減する方向でコストを下げ、(許容可能な不便さを)安い料金に対する見返りとして顧客自身に負担させているものです。
IT分野でそれをやると、たいていは潰れるか、Amazon/クーパンのように従業員を酷使したり、SPCのように従業員を死なせる構造になってしまう場合が多いと認識しています。
もちろん、再投資可能で積み上げ可能な利益を出せる(+適正な品質を維持しながら)限りにおいては、戦略的にできるだけ低コストを目指すべきだという点には、原則論として同意します。
低価格は競合の参入を防ぎ、消費者にとって真っ先に検討される対象になり得る重要な要素です。