- 技術的な能力だけでは、キャリアはある段階で限界にぶつかる
- 影響力を高めるには、技術力、プロダクト思考、プロジェクト実行力、人との協働力という4つの軸をバランスよく伸ばす必要がある
- 弱みを見つけて成長するには、フィードバックと謙虚さが鍵であり、特に尊敬する人からのフィードバックを受けて行動に移すことが最も速い方法
- 単に仕事ができるだけでなく、見せて共有することが必要であり、エージェンシー(agency、主体性)を持って自ら機会を作り実行する姿勢が重要
- 最終的に欲しいものを得る道は、それにふさわしい資格を身につけることであり、これは努力以上の成長のために必ず必要なアプローチである
キャリアアドバイスの曖昧さ
- キャリアアドバイスは、人によって良い助言の基準が異なるため曖昧である
- 同じ肩書きを持つ2人でも、必要な助言は大きく異なることがある
- ある人は好きな仕事、別の人は意味のある仕事、また別の人は昇進を求める
- したがって唯一の答えはないが、共通して技術的な能力はキャリアの出発点である
- 採用された理由である中核業務で卓越していなければならず、初期はそれによって注目される
- 例:より良いコード、レポート、デザインは自然に評価される
技術力だけでは足りない
- 初期には技術的な能力だけでも認められ、成長できる
- しかし、ある時点を過ぎると技術的な能力だけでは差別化が難しくなる
- 同僚たちも同程度の技術力を備えている
- より大きな影響力を発揮するには別の能力が必要
影響力拡大のための4つの能力
- 成功する取り組みは、4つの中核的な能力の組み合わせによって完成する
- 技術的な能力: 選んだ専門分野での熟練度
- プロダクト思考: 価値ある仕事を見極める力
- プロジェクト実行: 計画を実現する力
- 対人スキル: 他者と協働し、影響を与える力
- この4つの能力は、あらゆる成功したプロジェクトに不可欠である
- 意味のある仕事を実際に起こすこと
- 例:プロダクト開発、チーム協働、プロジェクト完了のすべてに、この能力の調和が必要
能力を伸ばす方法
- 4つの領域は時間とともに自然に身につくが、意識して鍛えることでより早く成長できる
- 自分の弱みを見つけるには、フィードバックと謙虚さが鍵
- フィードバックは改善点を示し、謙虚さはそれを受け入れさせる
- 尊敬する人にフィードバックを求め、すぐに行動へ移す
- メンタリング、プロジェクト提案、成果物の発表などで能力を強化する
公に行動する
- 仕事の成果は、自分から語らなければ認められにくい
- 仕事をしてその結果を公に示すことが重要であり、**「仕事が勝手に語ってくれる」**という前提は誤りである
- 公の場で作業を共有し、結果を知らせる習慣が必要
- 例:プロジェクト発表、チーム内共有、メンタリング活動
エージェンシーの重要性
- **Agency(主体性、自律的な実行力)**は、学歴、資格、運よりも強力な要素である
- **高い主体性(High-agency)**を持つ人は、物事を主体的に実現する
- **低い主体性(low-agency)**の人は、機会を待ちながら停滞する
- 主体性は選べる特性であり、自ら行動を選べばよい
結論とおすすめ資料
- キャリアの成長には、努力だけでなく戦略的なアプローチが必要
- 単に一生懸命働くだけでなく、影響力の拡大に集中すること
- 努力と成長の差は、弱みの補完・可視化・エージェンシーの実践にかかっている
- 長期的に望むものを得る最善の方法は、それに見合う資格を身につけることである
- おすすめ書籍
- The Staff Engineer’s Path by Tanya Reilly: キャリア管理に関する深い洞察を提供。毎年読み返している
2件のコメント
本当に必要だった文章です。漠然と「もっと頑張る」ことばかり考えていましたが、具体的な方向性を示してくださってありがとうございます。
特に「仕事が勝手に語ってくれる」という思い込みの部分は胸に刺さりました。数年前、良い成果を出したのに評価されなかった経験を思い出します。可視性の重要性を遅ればせながら気づきました。
Hacker Newsの意見
「Being goodだけでは十分ではない」という言葉には本当に共感する。実際、会社では自分が得意なXという仕事に集中してその評価を受けたいと思っていても、上司や同僚が求めている仕事はXだけでなくYやZも含まれていることが多い。お互いに求めているものが違うので、会話に誤解が生じてもどかしさを感じることが多い。人生では努力や能力と関係なく不公平なことが起こる。こういう状況では柔軟に対処するソフトスキルがますます必要になる。ただ、その記事は自己啓発っぽさが強すぎるのが残念
もし自分の周りの同僚がみんな技術的に優秀なら、本当に良い環境にいるということ。普通、有能な人はあちこちで必要とされるので、一緒に協業する機会はほとんどなく、こういう状況はものすごい幸運
Agencyという概念は本当に重要なポイント。ただ、必ず自分からマネージャーのところへ行って話し、自分がやったことを明確に伝える必要がある。家族など会社の外での責任が少ない社員は、表面的には主体的に見えるかもしれないが、実際には効果性が低いこともある。特にsenior engineerでagencyが低く見えていた人が休暇に行くと、その不在がより大きく感じられる。自分が組織に与えている影響を上司にはっきり伝えることが重要。効果性を証明するためにブログやダッシュボードだけに気を取られるのは非効率
苦労して学んだ単純な教訓がある。ソフトウェアやプログラムの目的はビジネスの収益を増やすことであり、結局すべてのレベルで人が最も重要
残念ながら、自分が経験した会社にはこの助言は当てはまらない。どれだけ優秀でも、生産性が高く仕事が速ければ、結局はもっと多くの仕事を渡されるだけ。むしろスキルは自己満足のために使ったほうがいい。昇進を期待するより、自分自身の成長に集中するほうが賢明
Jason Lengstorfの名言を引用したい。「キャリアはパイ食い競争で、勝者への賞品はもっと多くのパイだ」 (リンク)。能力を伸ばすことも戦略的に考えるべき
ジュニアによくする助言がある。黙って働くだけではなく、積極的に知らせる必要がある。良い結果を出したなら、マネージャーが見える場所に質問だけでも残しておくこと。マネージャーは、あなたが思っている以上にあなたのやったことを知らない場合が多い
「影響力を高める」「結果を生み出す人(High-agency)が仕事の主導権を握る」「最良の昇進方法は、それにふさわしい資格を備えること」という助言については、実際には何の問題を解決しようとしているのか曖昧な部分が多い。特に昇進を目標にするなら、社内昇進より転職による外部昇進のほうがはるかに速い。社内昇進が難しい理由は、実質的に社員の価値を定量化しにくく、空きが出るか新しいポジションが作られないと機会がないから
エンジニアリングの次に重要なスキルは「書くこと」だと思う。pg、tptacek、patio11のような人たちが有名になったのは、自分の知っていることを上手く、そして頻繁に世の中へ伝えてきたから。社内Wikiでもよいので、頭の中の知識を整理して残しておくことが重要
同僚と協業するとき、文章を書くのが上手いことは確かに役立つ。ただ、昇進や影響力を証明する手段になるのは、その文章が「証拠」として使われるときに限られると思う
原則としては強く同意する。ただ、すべての組織で文章力が通用するわけではない。口頭コミュニケーション中心の文化の組織も多い。そうした文化を文章文化に変えるには仲間が必要で、時間もかなりかかる
簡潔に書く能力も重要。人間は短い文章を好むのだから、Wiki文書を必要以上に長くする必要はない
私が働いている場所では、文章力の重要性を感じない。誰もどう書くかをあまり気にせず、読む理由があるときにだけ読む雰囲気
「結局、本当に資格があるときに望むものを得られる」という一節がとても好き。「主体性」という特性も、どこでも報われたり認められたりするわけではない。ただ指示に従うだけの仕事しか求めない職場もあるので、そういう場所は避けるべきだと助言したい
記事に出てくるキャリア助言は、どれほど意図が良さそうでも、結局その大半には大きな意味がないように見える。たとえば会社が買収されて何年も誰も昇進できないこともあるし、吃音があって昇進に制約が生じることもある。唯一現実的な助言は、「昇進を望むなら、自分を昇進させられる上の人たちの動機を把握し、彼らがあなたを昇進させることに利益を感じるようにしなければならない」ということ
上の助言のように、昇進させる側の動機に合わせて自分の成果物を調整するのは確かにそうだが、こうした単純化されたアプローチはしばしば逆効果にもなる。新入社員の中には、報酬ばかりを狙って「四次元チェス」のように社内政治へ過度に集中する人が多いが、これはかえって見抜かれやすい。賢いマネージャーは、社員がインセンティブに過剰反応していると、むしろそれを確認して望ましい行動だけを促す方向へ誘導する。逆に非倫理的なマネージャーは、こうした社員の特性を利用して報酬を約束し、より多くの仕事をさせる。結局昇進はさせず、さらに多くの仕事だけを引き出す悪循環が続く
この記事を「どうすれば昇進できるか」についての文章としては読まなかった
私も吃音のあるジュニアエンジニアだ。本当にこれが昇進の永続的な障害になるのか気になっている。言語療法も考えているが、年齢を重ねてからでも効果があるのかよくわからない
「Sales(営業)」はスキル一覧に必ず入れるべき。もし「プロダクト思考、プロジェクト実行、人の管理」に強みがないなら、営業チームと協力して技術的な助言や提案書の技術パートを担当することもできる。そうすれば昇進の可能性は非常に高くなる。徐々にセールスパイプライン、BD(business development)、ディール成立の過程を学び、どの取引が有利かを判断してリーダーシップに貢献することもできる。技術力と営業力の組み合わせはキャリアに大きく役立つ