RSSと情報フィードのコントロールをたたえる
(blog.burkert.me)- インターネット上のコンテンツ消費は、クローズドなプラットフォームとブラックボックスなフィードアルゴリズムによって、ますます左右される傾向にある
- こうした環境において、RSS(Really Simple Syndication) は、ユーザーの情報選択の権利を守る優れた代替手段である
- RSSでは、ユーザーが自分でフィードを管理し選別できるため、アルゴリズムベースのフィードの問題から離れられる
- RSSリーダーを活用すれば、広告やおすすめ記事などの気を散らす要素なしに、さまざまな関心分野ごとにコンテンツを効率よく分類・消費できる
- RSSの導入と活用に役立つヒントやサービスも豊富にあり、手軽に始められる
インターネット上のコンテンツ消費の変化と問題
- 近年、インターネットにおけるコンテンツ消費の方法は、ますますクローズドなプラットフォームとアルゴリズムベースのフィード中心へと変化している
- こうした変化により、多様な情報よりもエンゲージメント誘導と広告露出の最適化に重点が置かれるようになっている
- その結果、ユーザーは望まない釣り的なコンテンツや情報の混乱にさらされる
- しかし、この問題にはアルゴリズムやソーシャルメディアが登場する以前から解決策が存在していた
- RSSは、Webサイトが標準的なフィード形式で更新情報を提供できるようにするシンプルなフォーマットである
RSSの利点と本質
- RSSは、ユーザーが購読フィードを自分で自由に選んで受け取れるようにしてくれる
- 最新コンテンツを逆順(新しい順)で受け取ることができ、ユーザーは欲しいソースだけを厳選できる
- ポッドキャスト分野などですでに広く使われており、多くのコンテンツサイトが標準でRSSフィードをサポートしている
- アルゴリズムなしで自分で情報量と種類をコントロールするため、不要なコンテンツに触れる可能性が低い
- Reader、FeedMe のようなRSSアプリを使えば、スマートフォンでも手軽に活用できる
アルゴリズムベースのフィードの限界
- 本文中の個人的な経験にもあるように、Facebookのようなソーシャルメディアは、長期的に意味のある情報を届けるうえで難しさが多い
- 投稿の氾濫やアルゴリズム上の優先順位の問題などにより、ユーザーが本当に見たい重要な情報だけを見る方法が乏しい
- 広告主とプラットフォームの収益化への欲求が、ユーザーの情報探索より優先されてしまう
- 結局のところ、アルゴリズムの流動的な基準では、個々のユーザーのニーズを完全に満たすのは難しい
- 刺激的で混乱を招くフィード設計によって、情報消費体験の質は大きく低下する
RSS活用の実際の利点
- ユーザーはRSSフィードをフォルダごとに分けて、関心分野別の情報消費ができる
- 例: 「Fun」フォルダでは The Oatmeal、xkcd などユーモア系コンテンツだけ、「Reads」フォルダでは長文だけ、arXiv ではAI論文だけを購読できる
- 一貫したUI/UXが提供され、広告やおすすめ記事など注意をそらす要因を完全に省ける
- 必要であれば元サイトでコメントを直接確認できるが、RSSの独立した環境では不要な時間の浪費を防げる
- ブラウザのリーダーモードと異なり、RSSリーダーは常に同じフォントとレイアウトで快適な読書環境を提供する
RSS入門と活用のヒント
- よく訪れるサイトやニュースレターを購読しているWebサイトのかなりの割合が、RSSフィードを提供している
- RSSアイコン、feed という語、Lighthouse などのフィード探索ツールで簡単に見つけられる
- Muspy のように、アーティストの新譜をRSSまたはメールで受け取れるサービスもある
- The Old Reader や Feedly など、初心者向けのサービスから使い始めるのがおすすめで、OPMLフォーマット対応によりいつでも自由にサービス移行できる
- フィードが増えてきたら、フォルダ/カテゴリーで分けて関心ごとに管理すると効率的である
- オフライン環境でも新しいコンテンツを自動ダウンロードできるため、飛行機内などでも途切れない読書体験が可能である
- 一部のサイトでは、RSS内のほうが無料記事により自由にアクセスできる場合もあるが、倫理面の配慮は必要である
- 自分で構築したい場合は、FreshRSS、tiny tiny RSS、selfoss などのセルフホスト型オープンソースソリューションを使える
- 自分に合ったモバイルアプリをいくつか試して選ぶのがおすすめである
- RSSリーダーのブックマーク/スター機能も積極的に活用できる
- 主要メディアはカテゴリー別の個別フィードを提供していることが多いため、関心分野だけを選んで購読するのがおすすめである
- RSS APIを使えば特定のテーマだけを受け取ることもできる。例: arXiv のクエリ型RSS APIで「LLM」や「multilingual」の論文をフィルタリングできる
- 定期的に購読解除や整理を行い、興味のないフィードを片づければ、注意力の浪費を防げる
- 始めるのが難しければ、人気RSSフィードの一覧を参考にしたり、Google検索やブログのおすすめリンクから広げていくこともできる
結論
- RSSは、オープンな標準とユーザーによるコントロール性に基づく、情報消費の貴重な代替手段である
- 広告、釣り記事、アルゴリズムによる混乱から離れ、集中できる情報環境を提供する
- ユーザーのデジタル情報ダイエットと注意力の保護に効果的である
- 初心者から上級者まで、自分に合ったさまざまな方法とツールを活用できる
- 小さな変化で、より良いインターネット情報消費の経路を作ることができる
参考資料
- Molly White の「Curate your own newspaper with RSS」
- RSSフィード探し: Lighthouse、人気RSSフィード一覧
- セルフホスト型RSSリーダー: FreshRSS、tiny tiny RSS、selfoss、その他の代替手段
- カスタムRSS APIの例: arXiv クエリ
Happy RSS-ing!
1件のコメント
Hacker Newsのコメント
RSSが自分に合い始めたのは次のようなタイミングだ。
Feedbinに課金して使っているが、とても満足している
Firefoxが以前のようにRSSフィードのアイコンを直接表示してくれるといいのだが。最近は
view-sourceでソースコードからfeed、atom、rssという単語を探さなければならず、不便だFeed Preview 拡張機能を使ってみることを勧める
2つ目のコツはとても良いと思う。フィードリーダーで「投稿頻度」ごとに分けようとしていたが、ちゃんと試したことはなかった。やはりどこかしっくりこなかった。
それと、HNフィードが何なのか実はよくわからない。FAQなどで探してみたが、説明がいまひとつはっきりしない。文言はもっともらしいが、対象が正確に何なのかわからない。全投稿なのか、人気記事だけなのか、あるいは一定時間以上残った投稿だけなのか、最低何ポイント以上のものなのか、まったく見当がつかない
lenns.ioをぜひ使ってみてほしい(ちょっとした宣伝だ)。ソースの優先順位、ソースごとのアイテム数、カテゴリの優先順位などを自分で調整できる。欲しい分だけ受け取れるので、疲れずにちょうどよい体験になる。
自分で作ったものだが、誰でも試せるように公開している
2つ目のコツは本当に重要だ。自分も何年かRSSを使っていたが、全部読もうとしてストレスが大きくなり、やめてしまったことがある。
再開するときに自分なりのルールを決めた。すべてのフィードは週1回だけ更新し、記事を大量に生成するニュースフィードは毎週まとめて空にする(直近1週間分の記事だけ残す)。
自分はRSSフィードを、ずっと昔の週刊誌のようなものだと考えている。何かを見逃すかもしれないというFOMOの解消にも効果的だし、上がった直後に読まなければならないというプレッシャーもない
hnrss.github.io を使えば、ポイント基準やその他のフィルタでHNフィードを購読できる。
最近では、たいていのフィードサービスやアプリがWebページのURLを貼り付けるだけで自動的にRSSフィードを認識してくれる。この機能がないと不便だ
また積極的にRSSを使うようになったきっかけは、購読していたサイトを1つずつ見直して、次の基準で整理したことだ。
その後、最近ほかのプラットフォームで活発に書いている人たちの新しいブログを購読した。そのおかげで、久しぶりにRSSリーダーを本当に積極活用するようになった。
2つ目の基準に関連して言うと、昔人気だったブログがギャンブルサイトのスパムにフィードを乗っ取られるのを見るのは本当に悲しいので、そうなる前に整理しておくのがよい
自分のフィードには、国別のReutersやAPのような忙しいフィードが2つあるが、これは別フォルダに分けて、必要ならメインフィードから外せるようにしている。更新頻度が高すぎる情報はさばくのが大変で、いつも追いつけていない感じがしてストレスになる
何年も投稿のないところを、わざわざ購読解除しなければならない理由がよくわからない。長期間非アクティブなフィードを購読していても自分にはあまり不便がないので、解除すると何が良くなるのか気になる
多くの人はニュース消費における信号対雑音比(signal-to-noise ratio)を不満に思っているが、問題はニュースを提供するソースそのものではなく、本当に優れたRSSアプリが不足していることだ。
良いRSSアプリなら、強力な検索機能とタグ、ブックマーク、スコア付け、カテゴリ、あとで読むなど、さまざまな道具が必要だ。
ニュースソースをわざわざ消す必要はなく、フィルタや検索ツールさえうまく使えば欲しい情報だけ見られる。
理想的なRSSリーダーなら、Cloudflareやその他の無用な保護機構も回避して、RSS機能が壊れないようにすべきだ。
残念ながら最近のモバイルRSSアプリは、このあたりがかなり弱い。モバイルが主流なだけに惜しい。
本当に便利なものを使うには自前ホスティングが必要だが、多くの人はそこまでしようとはしない。
自分は個人的にRSSリーダーを自分で運用し、クライアントも自作した。KaraKeep(旧Hoarder)を知る前に作ったものだが、今では慣れすぎていて柔軟でもあるので使い続けている。
参考になりそうなリンクを挙げておく。
Django-link-archive - 自分のプロジェクト
ALL-about-RSS
rssisawesome.com
rssgizmos.com
awesome-rss-feeds
Inoreaderを使うと重複した投稿が自動で除去されて本当に便利だ(GoogleアラートのRSSフィードなどで有用)。フィードのフィルタリングもできるので、読む材料があまり雑然としなくなる
奇妙なことに、ブログ/フォーラム/RSSリーダーのような現代的なコミュニケーション手段は、Usenetニュースリーダーが30年前に備えていた機能にすらうまく追いつけていない気がする。スレッド化、検索、スコア付け、保存など、あんな昔でもみんなが使っていた機能だ。今はなぜこうした機能への需要が少ないのか不思議だ
本当のパワーユーザー向けRSS検索・フィルタリング機能が不足している点には同意する。
以前、Bleveのインデックス化を使ってキーワードの重み付けで各記事をスコアリングする実験をしていたが、時間がなくて進展していない。共有してくれたリンクを見てみるつもりだ
Facebookでエンゲージメントを高めるために無差別に1日に何度も投稿するバンドが増えた、という話については、自分は原因が逆だと思う。時系列フィード(chronological feed)、つまりRSSのような時系列ソートは、スパム的な投稿を誘発する。より多く露出したければ、より多く投稿しなければならないので、量の競争になる。だからFacebookなどはアルゴリズムフィードを導入したのだ。時間基準を外せば、品質中心の競争になる。
アルゴリズムによるキュレーションについてよく売り込まれる話は、個々人の好みに最適化されるというものだが、それは広告主の利益が入り込む前までの話だ。
要点は、キュレーションそのものが問題なのではなく、「誰が」選ぶのかが問題だということだ。フィードアルゴリズム自体は、現実の問題を解決してくれることもある。
だから、単純にRSSへ戻ることが答えだとは思わない。
自分は、ユーザーごとに個人の目的へ最適化された「algorithm as a service」が未来だと思っている
RSSは単なるプロトコルにすぎない。どんなアルゴリズムでも、カスタムRSSリーダーで実装できる。
今のAIブームに乗って、「RSS + AIアルゴリズムで作る分散型Twitter」みたいなアイデアがないほうがむしろ不思議だと思う
その文章を書いた本人だが、この点については意見が違う。
「時系列フィードはスパムを誘発する」という言い方には同意しない。スパムを投稿する人がいたら、自分はすぐ購読解除する。時系列であれアルゴリズムであれ同じことだ。
「algorithm as a service」は本当に面白いアイデアだ。一部のRSS集約SaaSはこうした機能を試しているが、自前ホスト可能なオープンソースのサービスではあまり見かけない気がする
すべては主観的だ。
Xだけの注意を消費すればYだけの価値が生まれる、ときっぱり言えるわけではない。
アルゴリズムが重要だという話は、占星術が重要だという話に近い。
実際に生成される情報の大半は、エンターテインメントかプラシーボにすぎない。
人間の脳が受け取れる最大量は非常に限られている。
人々は自分でその限界を認識していないので、生産者も消費者も実際の限度を超える情報を受け取り、「情報の価値」について幻想を抱く。
UNのAttention Economyに関する報告によれば、生成された情報のうち実際に消費されるのは0.05%にすぎない(10〜15年前の研究だ)
minifluxにソートアルゴリズムをパッチして、頻繁に投稿するチャンネルに偏りすぎないようにしている。自分の経験では、そのほうが結果はずっと良かった(もちろん自分のパッチが万人向けというわけではない)。
不思議なことに、RSSリーダーはこうした並べ替え方式で競争してもいないし、機能的にも柔軟性が低いことが多い。
ソーシャルメディアは「エンゲージメント」を目標にしているが、これは良い目標ではない。単純な時系列ソートですら、今のやり方よりはましだ
アルゴリズムをサービス化してユーザーごとにチューニングするという考えは、2017年ごろにLinkedInフィードの信号対雑音比の問題を考えていて思いついた。
自分のアイデアは、アルゴリズムのマーケットプレイスのような場があればいい、というものだ。
たとえば、
「広告/情報性の比率を把握して、70%がエディトリアル、30%が広告なら、広告成分が25%以下のものだけを表示する」
あるいは
「今月ほぼ同じ内容が25回入ってきたら、自動でふるい落として表示する」
関連投稿
自分のオープンソース個人プロジェクトを紹介したい。
動的WebサイトをRSSフィードに変換してくれる。
完全にステートレスなセルフホスト方式だ。
https://github.com/Egor3f/rssalchemy
現在は積極開発中ではないが、プルリクエストが来れば引き続きレビューするつもりだ。捨てられたプロジェクトではない。
デモページは閉じているが、反応があればまた公開するつもりだ
kill-the-newsletter.com も勧めたい。メールニュースレターをRSSに変換してくれるサービスだ
RSSの本質はキュレーションだ。そうでなければ「自分がコントロールするフィード」という概念が崩れる。FOMO(見逃すことへの不安)のせいでうるさすぎるソースを追加していくと、本当に重要なフィードが埋もれてしまう。
自分の場合、HNやSlashdotくらいならちょうどよいが、好奇心で「The Verge | All posts」まで追加したら、ひたすら「すべて既読」を押すようになってしまった。
これはサイトの問題というより、「自分の戦略不足」の問題だ
本当に読みたい個別ブログと、ただ大量の情報が流れ込んでくるニュースを分けられる(HNやSlashdotのような情報爆撃型フィードを、自分が見たいときだけ選んで見られる)。
未読件数がどんどん積み上がるプレッシャーもない
HetznerのVMでDockerを使ってFreshRSSをセルフホストしている。高速で、インターフェースもすっきりしていて、自分に必要な機能はすべてある。
FreshRSS公式ページ
verpex hostで月5ドルのリセラープランを買った。無制限ドメインと帯域、WHM、cPanel、FTP、SSHなど全部使える。
SoftaculousでFreshRSSをインストールするのに1分もかからなかった
自分は未読がたまるのが嫌で、リーダーを自作した。直近X日以内に上がった記事だけ表示する。
そのおかげで永続ストレージが不要になり、ホスティングもとても簡単だ。興味があれば ここですぐ見られる
わざわざリーダー全体をホストすることに、どんな意味があるのか気になる。単なるローカルアプリ以上の何か目的があるのだろうか
FreshRSSは本当に素晴らしい
安価なLLMをRSSフィードにつないで、個人向けアルゴリズムを作っている人がいるのか気になる。そういうオープンソースプロジェクトがあれば本当に便利そうだ
https://outerweb.org/explore
LLMは現在記事分類に使っており、今後は好みのチャンネル一覧をもとに推薦機能も追加する予定だ
RSSが好きすぎて、自分が不便に感じていた点(フィード探索、ポッドキャスト、情報過多など)を改善するRSSリーダーを自分で作り始めた。
自作のRSSリーダー