1 ポイント 投稿者 GN⁺ 2025-11-18 | 3件のコメント | WhatsAppで共有
  • ChromeでのXSLTサポート終了は、グーグルがオープンウェブの中核技術を弱体化させる措置であり、セキュリティ問題を理由に挙げながらも、代替技術を提供せずに機能を削除した
  • グーグルはブラウザ内の標準機能の代わりにJavaScriptベースのポリフィル(polyfill) を提案したが、これをブラウザに組み込まず、実装の負担を開発者に転嫁した
  • こうした決定はRSS・XMLベースの独立したウェブ生態系の弱体化につながり、MozillaやAppleも同様の方向に進んでいる
  • 記事は、WHATWGがもはやオープンウェブの守護者としての役割を果たせず、大企業の利益を中心にウェブ標準を統制していると批判する
  • ブラウザ拡張性の縮小やDRM標準化によって、ユーザーの統制権が弱められたウェブ構造が固定化しつつあり、これに対抗してRSS・XSLT・JPEG XLなどの開放技術の継続利用と抵抗を呼びかけている

XSLTサポート終了とグーグルの動き

  • グーグルはChromeでXSLTサポートを廃止し、セキュリティ脆弱性を理由に挙げたが、代替ライブラリや改善策は提示しなかった
    • 既存のFLOSSライブラリのセキュリティ問題を口実にしたのだと批判している
    • より安全な言語で書かれた最新のXSLT実装を導入する機会すら活用しなかったと指摘している
  • グーグルが提示したJavaScriptポリフィルは、ブラウザ内蔵ではなく外部呼び出し方式でしか提供されず、非標準的で非効率な代替手段と評価されている
  • 記事は、この措置がRSSとXMLベースの独立ウェブの基盤を弱めようとする意図的な行為だと主張する
    • ポリフィルが不十分であるか、十分であったとしてもグーグルがそれを内蔵しない理由は、XSLTの利用そのものを抑制することにあると分析している

「Do. Not. Comply.」— 抵抗の呼びかけ

  • 筆者は、ポリフィルの導入やXMLの修正に応じるのではなく、ブラウザでのXSLTサポートの復元を求めるべきだと強調する
  • XSLT、MathML、SVG、SMILなどの標準技術を引き続き使い、ブラウザの非標準的な挙動をユーザーに知らせる警告ボックス(infobox) を維持する計画だという
  • グーグルの決定は技術的理由ではなく、政治的・商業的動機によるもので、オープンウェブを統制しようとする試みの一環だと説明される
  • MozillaやAppleも同様の方向に進み、ブラウザをユーザーエージェント(User Agent) ではなく、監視資本主義の道具として設計していると批判している

WHATWGとウェブ標準の歪み

  • WHATWGは当初、オープンウェブのための協議体だったが、現在では大企業中心の閉鎖的組織へと変質したと評価されている
  • この団体はウェブを知識の保管庫ではなく「アプリケーション配布プラットフォーム」へと変えつつあり、ユーザーの統制権よりも企業の収益最大化を優先している
  • ブラウザはもはやユーザーの代理人(User Agent)ではなく、企業の利益のための統制ツールとして機能している
  • こうした変化は、W3Cが目指した開かれたウェブのビジョンと真っ向から衝突すると指摘している

新たなブラウザ戦争の必要性

  • 現在のブラウザ市場はGoogle・Apple・Mozillaを中心としたエンジン依存構造で、独立した代替はほとんどない
    • Vivaldi、LibreWolf、WaterFox、Pale Moonなどの代替ブラウザが言及されるが、その大半はBlinkやGeckoエンジンに依存している
  • Pale MoonはRSSとJPEG XLサポートを維持している数少ないブラウザとして評価されている
  • 記事は、ユーザー対企業の戦争、すなわちウェブの統制権を取り戻すための新たなブラウザ戦争が必要だと主張する

もうひとつのウェブの可能性 — Geminiと開放プロトコル

  • HTTP・HTML中心のウェブ以外にも、Geminiプロトコルなどの新しいインターネット空間が存在する
    • Geminiはシンプルな構造とセキュリティ・認証の組み込み機能を備えた軽量プロトコルで、グーグルの影響圏の外で運用されている
  • しかし問題は技術ではなく社会的構造であり、技術そのものは依然として有効だと強調している
  • ブラウザはプロトコルやフォーマットによって差別してはならず、Markdown・AsciiDoc・Gemtextのような軽量マークアップフォーマットの統合サポートが望ましいとしている

プラグイン削除とウェブ統制の強化

  • かつてのNPAPIプラグインインターフェースは多様なフォーマットやプロトコルをサポートしていたが、グーグルは2013年から段階的に削除した
    • その結果、ウェブの拡張性と実験的技術の導入経路が遮断された
  • プラグイン削除後に登場したEncrypted Media Extensions(EME) はDRMを標準化し、W3Cの開放原則を損なったと批判されている
  • ブラウザ拡張はセキュリティを名目にした機能制限付きの代替物であり、とりわけManifest V3は広告ブロック機能を弱体化させる
  • こうした変化は、ユーザーの制御権の縮小と企業統制の強化につながったと分析している

「A mesh of building blocks」— 理想的なウェブ構造

  • 理想的なウェブはプラグインベースのモジュール構造であり、新しいプロトコル・フォーマット・スクリプト言語を自由に追加できるべきだ
  • もしそうした構造であれば、RSS・SMIL・XSLT・XQuery・XHTML2 などは継続的に発展していたはずだと述べている
  • しかし現実には、Googleがウェブの進化の方向を独占的に決定する構造へと変わっており、これを取り戻すためにはユーザー主導の抵抗が必要だと結論づける

Resist — 抵抗の宣言

  • Do not comply. Resist. 」というスローガンのもと、次のような行動を呼びかけている
    • RSSの利用を維持する
    • XSLTを使い続ける
    • JPEG XLを標準画像フォーマットとして採用する
    • ブラウザの非標準的な動作を「サイトの不具合」ではなく「ブラウザの欠陥」とみなす
  • これは単なる技術選択ではなく、オープンウェブを守るための実践的な抵抗として提示されている

Post Scriptum と反応

  • XSLT関連プロジェクトとしてxslt.rip筆者の個人サイトを紹介し、XSLTでSVGを生成する試みについて言及している
  • Hacker NewsやLobste.rsなどで議論が続いたが、多くのコメントはXSLTの重要性を過小評価していたと指摘している
  • 筆者は、XSLTはサーバーレンダリングより効率的であり、とくに小規模・セルフホスティング環境で有利だと強調している
  • 結論として、XSLTのような開放技術を継続して使うことが、オープンウェブの生存に向けた中核戦略であることを改めて確認している

3件のコメント

 
devsepnine 2025-11-21

なぜ組み込まないのかと言われるけど、逆にあえて組み込まなければならない理由もなさそうだけど..

 
GN⁺ 2025-11-18
Hacker Newsの意見
  • ブラウザから XSLT を削除するのは、ずっと前から必要だったことだと思う
    私は libxslt の元メンテナーとして、この決定の背景になった事情をある程度知っている
    さらに興味深いのは、Chromium が Rust ベースの XML パーサへ移行しようとしている計画だ
    現在は xml-rs が有力視されているが、これは XML の一部しか実装していない
    つまり、Google は標準を完全には満たさない XML サポートを選ぼうとしているように見える

    • Google が 標準を無視する動きを見せているのは興味深い
      昔の Internet Explorer 5.1 の時代のように、市場シェアを背景に標準を無視していた頃を思い出す
    • ブラウザは XML 処理に向いたプラットフォームではないと思う
      XHTML が HTML5 に押し負けて以降、XML 関連の複雑なコードは自然と消えつつある
      Rust に移して セキュリティ上の攻撃面を減らすことは合理的な選択だ
      残る XML パースは JS の polyfill や wasm で代替できる
    • Chromium issue tracker によると、xml-rs の標準準拠の問題を解決しようとする作業が進んでいる
      私は Chrome チームで働いているが、この作業には直接関わっていない
    • 「不便なら消す」という態度は、Web の 『所有者中心の文化』 を強める
      昔の Web はサイト運営者が主体で、ブラウザは彼らの 道具(召使い) だった
      今の方向性は、その哲学から離れつつある
    • XML 全体を実装しないのは合理的だ
      XML は Billion Laughs 攻撃のようなデータ爆発型の脆弱性を許してしまうからだ
      関連説明
  • RSS フィードをブラウザで表示するのに XSLT が必須だという主張は大げさだ
    JavaScript でも十分可能で、Google の polyfill もそのように動作する
    私は何千行もの XSLT を書いたことがあるが、JavaScript のほうがずっと良いと思う
    XSLT は今やセキュリティ上の理由で削除されるべきだ
    関連発表は OffensiveCon 2025 で扱われる

    • XSLT は宣言型言語で、非開発者でも簡単に HTML テンプレートを作れる利点がある
      JS の代替手段は複雑で、参入障壁が高い
      単純な個人 Web ページ作成が難しくなることで、『オープンな Web』の精神が弱まる
      RSS が消え、Facebook のようなプラットフォームに依存する現象がその結果だ
      Web Components ドキュメント 参照
    • JS は進化し続けているが、XSLT は 安定した標準として残っている
      独立系ブラウザが急速に進化する JS エコシステムについていけず消えていった記憶がある
      昔の Konqueror が懐かしい
    • YouTube の発表動画 を見ると、document() 関数のセキュリティ問題が分かる
      これを見て、XSLT 削除は妥当だと感じた
    • XML 文書に JS を適用するには
      <?xml-stylesheet type="application/javascript" href="https://example.org/script.js"?>;
      のような形式をサポートする必要がある
      しかし現在の実装では、XSLT レベルの体験を JS で完全に置き換えるのは難しい
    • XSLT 削除の影響を受ける人はごく少数だと思う
  • Google がオープンな Web を殺しているという主張には同意するが、XSLT は根拠として弱い
    ほとんど使われていない複雑な機能で、メンテナンス資源を減らすための決定に見える
    RSS/Atom フィード表示のためには、ブラウザに 直接サポート機能を入れるほうが良い

    • しかし影響を受けるサイトには 公共機関・大学など重要度の高いものが多い
      利用頻度だけで判断すべきではない
      重要な利用者と協力して、段階的に廃止すべきだ
    • RSS の内蔵サポートのほうが良いが、その可能性は低い
  • 「オープンな Web」と XSLT にはあまり関係がない
    オープンな Web とは、誰でもサーバーを運営し、サイトを作り、ブラウザを開発できる環境を意味する
    XSLT はすでにずっと前に死んだ技術で、削除で壊れるサイトもほとんどない
    むしろ セキュリティ脆弱性の除去という効果がある

    • WHATWG がブラウザ機能の有用性を決めるのは危険だ
      脆弱性があったのは XSLT 自体ではなく libxslt 実装のほうだった
      代替実装を作ることもできたのに、Google が機能を『殺す』ことを選んだのが問題
    • RSS は今でも ポッドキャスト分野で活発に使われている
      ただし人々は今や個別サイトの購読よりも ソーシャルフィード中心の消費を好む
      これは技術の問題ではなく、ユーザー行動の変化
  • XSLT 廃止に不満を言う人の中で、実際の利用理由を明確に説明している例はほとんど見たことがない
    多くは単なる 抵抗の象徴として言及している

    • 今回の論争は、ブラウザが主要機能を 初めて削除した事例だから起きた反発だ
      20年以上にわたって「Web ページは永遠に見られる」という期待があったからだ
      libxslt のメンテナーがセキュリティレポート対応の負担で辞任し、
      ブラウザベンダーは費用を払うより 機能を削除するほうを選んだ
    • XSLT は最初から 扱いづらく非効率な技術だった
      これを反抗の象徴として使うのは、自分で自分を苦しめるようなものだ
    • XSLT は企業向けバックエンドでしか使ったことがなく、ブラウザ対応があることすら知らなかった
      必要なら polyfill やサーバー側変換で十分代替できる
    • 私は XSLT を使ったことがあるが、XML を別の XML に変換する 抽象的な関数型言語
      RSS/Atom フィードを見やすく変換するのに使っていた
    • RSS/Atom フィードを 一般ユーザー向けに見やすくするために XSLT は有用
      私が作った rss.style サイトでその違いが見られる
  • Mozilla が RSS を削除したのは Google の圧力のせいではなく、
    ユーザーが RSS を望まなかったから
    Google はむしろ、オープンな Web の発展に最も多く投資してきた企業の一つだ
    WHATWG が Web を アプリケーションプラットフォームへ変えようとしているのは、開発者とユーザーの需要の結果だ
    Blink は オープンソースなので、fork を維持することも可能だ

    • 「市場の需要」という表現は不正確だ
      RSS は一般大衆には技術的すぎて、Google が Reader を終了させたことで
      ソーシャルメディアがその座を占めるようになった
    • Microsoft も過去に Office でオープンなエコシステムを広げるふりをしながら、
      結局は 独占構造を強化した
      Blink がオープンソースであることだけでは、真の開放性は保証されない
    • Web アプリ中心へ向かうのは、開発者より 顧客の期待によるものだ
    • たとえ大多数の利用者が使わない機能でも、
      存在自体で害がないなら、わざわざ削除する必要はない
  • 筆者の主張には一部共感するが、
    ブラウザが Gopher までサポートすべきだというのは 複雑性の過剰
    Chrome プロジェクトの立場では、単純化のための決定に見える

    • XSLT は 事実上死んだフォーマットで、メンテナンス負担とセキュリティリスクが大きい
      削除は合理的で、Web 業界の大半も同意するだろう
    • JPEG XL は XSLT よりはるかに説得力のある事例だ
      C 言語ベースの XML パースは常に セキュリティ上の恐怖を感じさせる
    • 単純化したいなら機能を完全に消すより、
      拡張機能(extension) の形で分離するほうがよい
    • 「Web Bluetooth」のような複雑な機能を作った会社が、
      単純化を理由に古い機能を削除するのは 矛盾している
    • 機能を維持するか削除するかは 政治的な決定
      どちらにせよ誰かが不利益を被る
  • 自分のブログを XML/XSLT に変えようと思う
    どうせ誰も読まないので、これからは アクセス不振を Chrome のせいにできる

  • Google のファンではないが、XSLT 削除は Web API の複雑さを減らす好機
    Ladybird のような独立系ブラウザにとっては負担軽減になるかもしれない
    結果として Google の独占力を弱める可能性すらある

    • ただ実際には多くの議論が起きていて、
      「大きな反発なく」進んでいるとは言いがたい
  • この10〜15年、Web 標準は特定の ニッチな要件をブラウザに取り込もうとする流れだった
    XSLT 削除と polyfill 提供は、複雑さをブラウザの外へ押し出す方向に見える

 
rtyu1120 2025-11-19

2025年にXSLTをサポートすべきだという話は新鮮ですね……RSS などのスタイリングで一時的に使われるのは事実ですが、汎用的によく使われていると見るのは難しいのではないでしょうか