- ヘルシンキ大学化学科の研究チームが、超塩基(superbase)-アルコール化合物を用いた新しい二酸化炭素回収技術を開発
- この化合物1gは156mgのCO₂を直接吸収し、窒素・酸素など他の大気成分とは反応しない
- 回収されたCO₂は70°Cで30分加熱するだけで放出され、再利用が可能で、既存技術の900°C以上の熱処理よりエネルギー効率が高い
- 化合物は無毒・低コストで、50回再利用後も75%の性能を維持し、100回後には50%を維持
- 研究チームはこの化合物を実証規模のパイロットプラントで試験する予定で、シリカや酸化グラフェンと結合した固体版の開発を進めている
新しい二酸化炭素回収化合物の開発
- ヘルシンキ大学化学科で、大気中の二酸化炭素を直接回収する新しい化合物を開発
- 化合物は超塩基(superbase)とアルコールの結合体で構成
- 1gの化合物が156mgのCO₂を吸収し、窒素・酸素など他の大気ガスとは反応しない
- 既存の回収技術より吸収容量に優れ、**未処理の大気(untreated ambient air)**でも効果的
CO₂放出と再利用効率
- 回収されたCO₂は70°Cで30分加熱することで容易に放出可能
- 放出されたCO₂は純粋な形で回収され、再利用可能
- 既存化合物は900°C以上の高温を必要としたが、今回の化合物は低温で再生可能
- 化合物は繰り返し使用可能で、50回使用後に75%、100回後に**50%**の吸収能力を維持
化合物の構成と特性
- 研究チームはさまざまな塩基を実験し、最適な組み合わせを探索
- 最終的に1,5,7-triazabicyclo[4.3.0]non-6-ene(TBN)をベンジルアルコールと結合し、最適な化合物を導出
- 化合物は無毒性で、構成成分はいずれも低コストで生産可能
- 実験は約1年以上行われ、最適な組み合わせを導出
産業規模への適用計画
- 研究チームは化合物をグラム単位の実験から産業規模のパイロットプラントへ拡大する計画
- そのために液体化合物を固体形態に変換する必要がある
- **シリカ(silica)や酸化グラフェン(graphene oxide)**に結合させ、CO₂との相互作用を強化する予定
研究の意義
- 今回の技術は、低温・低コスト・無毒性の特性を備えた持続可能な炭素回収ソリューションとして評価される
- 今後、産業的応用可能性を検証するための実証実験が進められる予定
- 研究はザフラ・エシャギ・ゴルジ博士研究員が主導し、ヘルシンキ大学の革新的な研究成果として発表された
1件のコメント
Hacker News のコメント
以前書いたコメントを要約して持ってくると、空気中から CO2を分離 するのが難しい理由は、その濃度が低すぎるからだ
大まかに言えば、空気は窒素 78%、酸素 21%、アルゴン 0.9%、CO2 は 0.04% 程度で、実質的に 四捨五入の誤差レベル だ
だから「そもそも排出しない、あるいは排出地点でその場で回収しよう」というアプローチのほうがずっと現実的だ
大気全体に希薄に広がっているのに、人間の時間スケールで意味のある濃度勾配を作れるのか疑問だ
飛行機のような例外を除けば、太陽光・風力・バッテリー・断熱材・ヒートポンプなどにエネルギーを使うほうがずっとよいと思う
この分野の研究自体は興味深く、応用可能性も多いだろうが、地球規模の CO2 除去 は現実的には不可能なスケールだ
結局のところ解決策は「そもそもあまり排出しないこと」しかない
政治的意思が不足しているのに、巨大な回収・隔離システムを構築する意思が生まれるとも思えない
「私たち」が協力しなければならない部分こそ、結局は政治的意思を必要としているのではないかという疑問もある
エネルギー効率より 体積効率 が問題で、現状では吸着剤は kg あたり数十 g の CO2 しか捕捉できない
こうした材料が改善されれば、産業応用も可能になるだろう
ちなみに cottongrass のような植物はツンドラでも育つので、炭素回収とバイオ材料生産を同時に行える
電力単価が低いときにはむしろ経済的かもしれず、化石燃料採掘を代替できれば 実質排出ゼロ に近づける可能性がある
現在の排出ペースを見ると、20年以内に家庭用 CO2 スクラバー が必要になるかもしれない
今は ソーダ石灰 (Ca(OH)₂) が標準で、1g あたり 250mg 程度の CO2 を吸収する
新技術の利点は 加熱で再利用可能 だという点で、室内空気清浄に役立つ可能性がある
室内が 2000〜3000ppm まで上がることは珍しくなく、700〜1000ppm あたりから集中力低下が始まる
熱交換換気装置が役立つ
既存の研究用吸収剤も可逆的ではあるが、エネルギー消費が大きい のが問題だ
学校の空気質改善にも効果がありそうだ
ただし 回収後の処理 が核心的課題だ
今のところ 生物由来の炭素貯蔵 が最も効率的な隔離方法だ
バイオ炭の湿式貯蔵や炭素ブロックの乾式貯蔵が有望だ
こうした方法は 低エネルギー・モジュール型 なので DAC より現実的で、炭素通貨システムの基盤になる可能性すらある
直接空気回収(DAC)は スケーリングの限界 のため経済性がない
排出源近傍での回収のほうが現実的だが、補助金なしでは不可能だ
IRA 法案基準では 1 トンあたり約 50 ドル水準だ
たとえば 海藻や植物プランクトン を大規模に収穫して隔離する方式だ
私たちは借金を負っているようなもので、その返済にはほとんど 想像もつかない規模のエネルギー が必要になる
50年以内に解決できる可能性は低いと思う
Lake Nyos 災害 のように漏出時には大規模な人的被害が起こり得る
むしろ 核廃棄物のそばに住むほうがましだ と感じるほどだ
記事タイトルは 「比較的効率的な CO2 回収法」 のほうが正確だ
絶対的な効率ではなく、既存溶媒に対して改善されたというレベルにすぎない
結局 経済性 がすべてを決める
木を植えるほうが安く、木材収益まで考えればこの方式は非効率かもしれない
森林は枯れれば再び CO2 を放出するので、恒久的貯蔵 が必要だ
関連記事: The Guardian – Africa forests transformed from carbon sink to carbon source
大気中 CO2 を 1980 年水準まで下げるには、山脈規模の物質 を動かさなければならない
何百万台ものトラックが必要で、結局エネルギー投入は莫大になる
木を植えたとしても、結局誰かがそれを伐って使うだろうから、エネルギー的に不利な形 で埋めなければならない
大規模植林は土地やインフラ移動、維持管理などによる 副次的排出 が大きく、効率が悪い
結局 CO2 回収や 太陽遮蔽技術 を併用しなければならない
気体のまま回収すると長期貯蔵が難しく、人工湿地 のような方式が代替案になり得る
海 が最高の炭素回収装置だ
ここ10年で sargassum 海藻 が急増しており、CO2 増加が原因の可能性がある
これを回収して砂漠や不毛地に埋めれば、土壌肥沃化と 炭素固定 を同時に達成できる
干ばつ後のリン酸塩流入が急増し、海藻繁殖が増えたという分析だ
大規模隔離のアイデアの大半は、結局 永久機関のような幻想 で終わる
関連資料: Ocean Visions – Ocean Alkalinity Enhancement
記事で言及されている実際の研究は ACS 論文 にある
中核物質は 1,5,7-triazabicyclo[4.3.0]non-6-ene というスーパーベースだ
水系アミン溶液も 200°C 未満で再生可能だが、メディアが 誇大マーケティング をしたように見える
記事では エネルギーコスト に触れていない
この液体は 100 回未満の再利用が可能で、CO2 を放出するには 70°C に加熱する必要がある
結局、回収・加熱・処理のすべてで エネルギー消費 が大きい
1g の CO2 を回収するのに 1g 以上の CO2 を排出するなら意味がない
ゼロカーボンエネルギー が非常に安くならない限り、大規模適用は難しいと思う