アリババクラウド、Qwen Conference 2026 Singapore 基調講演まとめ
(youtube.com)シンガポールで初開催された Qwen Conference の基調講演は、アリババクラウドが「エージェンティックAI時代」への転換を公式に打ち出す場となりました。シンガポール政府、アリババクラウドの経営陣、Nous Research、Fireworks AI、NVIDIA、PicsArt などのパートナー企業関係者が登壇し、モデル、インフラ、ツール、エコシステム全般にわたる変化を発表しました。中核メッセージは、「トークンを知能へ、知能を行動へ、行動をビジネス価値へ」と変換するフルスタックインフラを構築するというものでした。
発表の要点
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シンガポール政府との協力: デスモンド・タン国務大臣は、アリババクラウド、NTUC、STテレメディア・データセンターとともに、1,000社以上の現地企業・開発者・学生に対して生成AIおよびエージェンティックAIの実務教育を提供する協力計画を発表しました。「AIは労働者を置き換えるのではなく、労働者のために働く」という原則を強調しました。
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Qwen 3.7 Max 公開: コーディング、ツール利用(MCP プロトコルを標準サポート)、マルチモーダル、長時間実行(long-horizon)タスク能力を大幅に強化した新しいファウンデーションモデルが公開されました。SWE-Bench、IFBench、HLE など主要ベンチマークで最上位クラスの性能を記録したと説明しています。
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Qwen Cloud 発表:
qwencloud.comというエージェント専用ゲートウェイが公開されました。200以上のモデル、トークン課金プラン(月額30ドルの Standard から Max プランまで)、Skills/CLI ベースのワークフロー自動化機能を提供します。 -
Coder と Muron: ノートPCにインストールして使うバイブコーディングツール Coder と、クラウド上で24時間稼働するマルチドメインエージェント Muron を紹介しました。Muron はすでに43カ国で利用されており、アリババ社内でも5人・7日で Coder Works を内製構築したことが明かされました。
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エージェンティック・クラウドインフラ: MicroVM ベースのサンドボックス(ミリ秒単位の起動、テナントあたり1万同時セッション対応)、エージェント ID・ガバナンス・セキュリティ・メモリ・データプレーンを網羅するフルスタックが公開されました。MiniMax はこの上で 20〜40ms のコンテナ起動と 40% の TCO 削減を実現したとしています。
技術的な差別化ポイント
- フルスタック統合: シリコン(独自 PPU、第5世代 CIPU)からファウンデーションモデルまで、すべての階層を自社保有する数少ないハイパースケーラーであることを打ち出しました。
- エージェントネイティブクラウド: 人間が使う SaaS 中心の構造から離れ、エージェントが直接呼び出して利用する API とインフラへと、コントロールプレーン全体を再設計しています。
- オープンエコシステム: PyTorch Foundation のプラチナメンバーに加わり、Kimi、Zhipu、MiniMax、StepFun、Vidu など競合モデル企業まで Model Studio に受け入れ、マルチモデルハブを目指しています。
強みとして打ち出された点
- コスト効率: トークンプランによってコストの可視化と予算管理を実現し、Coder のモデル自動選択によりトークンコストを最大70%削減できると説明しました。
- 長時間実行能力: Qwen 3.7 Max は35時間連続実行で 1,000回超のツール呼び出し、平均10倍の高速化といった事例を示したと発表しました。
- 信頼性とセキュリティ: Gartner 2025 Access Management Magic Quadrant にアジア太平洋で唯一のベンダーとして掲載され、エージェントファイアウォールや ID Guard といったランタイムセキュリティを強調しました。
指摘された限界と課題
- 信頼構築の難しさ: Nous Research の Tommy Eastman は、同じタスクを再現可能な形で実行することが依然として大きな課題であり、モデル品質・human in the loop・エージェント間ガバナンスという3段階のアプローチが必要だと指摘しました。
- メモリボトルネック: Fireworks AI は、推論における最大のボトルネックは計算ではなく KV キャッシュメモリであり、マルチ階層ストレージとシステム全体の再設計が必要だと分析しました。
- CPU の再評価: NVIDIA は、エージェントの逐次的なツール呼び出し特性により単一スレッド性能の高い新しい CPU 需要が急増するとし、従来のクラウド CPU 設計の前提が揺らいでいると指摘しました。
エコシステム事例
- PicsArt: 1億3,000万人のユーザー基盤に Qwen Image、Wan、Happy Horse モデルを統合し、ペルソナキャスティングや動画広告制作といったエージェント型ワークフローを実演しました。Happy Horse 導入後、動画生成量が 72% 増加したと明らかにしました。
- グローバルハッカソン: 賞金総額 7万ドル規模の Qwen Cloud Global Hackathon と Happy Horse Awards 2026 を同時発表し、開発者とクリエイターの流入を狙いました。
Google カンファレンスとの比較
1カ月前に開催された Google Cloud Next 2025(4月)と I/O 2025(5月)も実質的には同じ方向を示していましたが、武器は異なっていました。
- Google の発表ラインアップ: Gemini 2.5 Pro Deep Think、Agent Development Kit(ADK)、Agent2Agent(A2A)プロトコル、第7世代 TPU Ironwood、Android XR グラス、Veo 3 まで、検索・デバイス・インフラをまたぐ発表が相次ぎました。
- Google のユーザー指標: AI Mode は 200カ国で 1億5,000万人、Gemini アプリは月間4億人に到達し、トークン処理量は1年で 9.7兆から 480兆へと 50倍に増えたという数値を公開しました。
- 戦略構図の違い: アリババがフルスタックの垂直統合と、オープンソース(450以上のモデル、累計ダウンロード20億件)および競合他社モデルの受け入れというハブ戦略を両立させている一方、Google は圧倒的なユーザー接点と自社 TPU、A2A 標準の先行確保で対抗しています。
- それぞれの弱点: Google は主力 Gemini をクローズドのまま維持し、発表の相当数が「coming soon」の段階にあり、アリババは米国・欧州市場へのアクセス性と、パネルで言及された信頼性・メモリボトルネックの課題を抱えています。
- 短期的な優位分野: 短期的には Google がユーザー規模とフォームファクタで、アリババはインフラ単価と非米国
アリババクラウドは、自社モデルの競争力だけではエージェント時代の主導権を握るのは難しいと見ており、シリコンからモデル・インフラ・ツール・エコシステムまでを垂直に束ねる一方で、PyTorch や競合モデル企業まで取り込む水平展開も同時に進めています。ただし、信頼性、メモリボトルネック、CPU アーキテクチャの再設計といった根本課題がパネル討論で繰り返し取り上げられたように、エージェンティッククラウドが実際のエンタープライズワークロードで約束した性能と経済性を証明できるかは今後の課題です。シンガポールを国際事業の拠点とし、米国のハイパースケーラーとの競争を本格化させようとする意図が、今回のイベント全体を通じて明確に示されました。
8件のコメント
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deepseek v4 proで実装し、qwen 3.7 maxでコードレビューし、gpt 5.5でオーケストレーションしているのですが、驚くほどコード品質が高いです。本当に人間がコーディングする時代は終わりつつある……
どのように環境を構築されたのか、お伺いしてもよろしいでしょうか?
DeepSeekって性能は良いですか? 変な動作を繰り返すので使っていませんでしたが
AIによる自動生成であっても、人間による検証は必要だという教訓的な記事ですね
quenではなくqwenではないでしょうか。AIが書き起こしをうまくできなかったようです
よく見ていますね、私は qwen に見えました(笑)
そうですね、私も読みながら「Quenって何だ??」となっていました