Emacsをあなたの孤独の要塞として考えてみることを勧めたい
(martinsos.com)- Emacsは単なるエディタやIDEを超えて、通知なしで静かに立ち上がり、予定・タスク・記録を集約するデジタルなホームベースになりうる
- デイリーアジェンダでは、Google Calendarの予定、今日のタスク、未完了のタスク、メモ、GTD inboxをまとめて見られ、項目ごとのページと時間追跡を通じて作業を続けられる
- 複雑な仕事はタスクページで要件、リンク、ブレインストーミング、TODO、見積もりを整理し、LLMチャット、ターミナル、magit、ファイルマネージャを同じ流れの中で使う
- Emacsは「オペレーティングシステム」よりも Fortress of Solitude のような個人的な避難所として見るほうが自然で、50年にわたる継続性と拡張性がホームベース感を生み出してくれる
- Org modeはMarkdownの代替よりも広いプラットフォームのように機能し、ブログ、設定、生産性システム、ノート、AIチャット、文芸的プログラミングまでつなげる
Emacsをデジタルなホームベースとして使う
- Emacsは、コンピュータを起動したら最初に開く デジタルなホームベース として定着しうる
- 暗い紫色の空白画面とランダムなモチベーション文句が表示される
- 反応を求める通知や注意を奪う要素がなく、慣れ親しんだ落ち着いた作業空間になる
- デフォルトで開く scratch buffer は新しい文書のための白紙というより、ユーザー自身が意味を与える自由なキャンバスに近い
- こうした使い方は、固定観念的な「熱狂的なEmacsユーザー」のイメージとは異なる
- Cを長く使っておらず、最近は主にTypeScriptと少しのHaskellを使っている
- スタートアップのfounder/CTOとして、コーディングよりも採用、管理、レビュー、メール、マーケティング、戦略立案に多くの時間を使っている
- メールとウェブブラウジングはChromeで行い、Notion、G Suite、Discord、LLMも使っており、IRCにはなじめなかった
予定、タスク、記録を一か所で扱う
- Emacsを開いたあと、
<space> o dですぐに デイリーアジェンダ を開ける- デイリーチェックリストが表示される
- Google Calendarと同期された今日のイベントが表示される
- 今日計画したタスクと、前日までに終えられなかったタスクが一緒に表示される
- 通常のメモと、GTD方式のタスクinboxが含まれる
- タスクやイベントの上で
eを押すと、その項目の ページ が開く- そのページでメモを残し、作業を進める
- 現在処理中のタスクに「clock in」して作業時間を追跡する
- 時間追跡は集中の維持に効果的で、後から時間レポートを作ることもできる
- 仕事が終わると、
<space> o c w jで ジャーナル を書く- 仕事の日を振り返る数文を書く形で使っている
複雑な作業を展開する環境
- 複雑な作業は、Emacsの中でタスクページを開いて整理することから始まる
- コーディング作業、採用戦略、ランディングページのコンテンツ改訂、次のスプリント計画、長いメールやDiscordメッセージの作成といった作業に使う
- わかっていることを書き出し、要件を定義し、関連資料のリンクを集める
- ブレインストーミング、サブタスク作成、TODO状態の指定、時間見積もりまでを一か所で行う
- Emacsの中では複数のツールが同じ流れでつながっている
<space> i cは選択した LLMモデルとのチャット を開き、開いているバッファとユーザー定義ツールにアクセスできる<space> 'はターミナルを開き、ターミナルからClaude CodeやOpenCodeのようなツールも実行できる<space> d dはファイルマネージャを開き、<space> g gはGit作業用のEmacsインターフェースである magit を現在のプロジェクトやバッファの文脈で開く<space> a wは執筆に集中できるよう、ウィンドウを一つだけ残し、テキストを画面中央に配置する Zen mode に近い状態へ切り替える
- 移動、テキスト編集、検索、ウィンドウ操作が同じキーバインドとコマンド体系の中で続くことで、複数のワークフローが一つの統合環境の中で滑らかにつながる
「オペレーティングシステム」より「孤独の要塞」
- Emacsを「オペレーティングシステム」と呼ぶと、過度に複雑で不要なツールのように見えることがある
- すでにOSの上でEmacsを動かしているのに、なぜ別のオペレーティングシステムが必要なのかという疑問が生まれうる
- 「コンピューティング環境」という表現も、Emacsを深く使う前の新規ユーザーにはあまり響きにくい
- Emacsは SupermanのFortress of Solitude のようなものとして捉えられる
- 回復し、癒やされ、考えをまとめ、次の行動を計画する場所という比喩がよく合う
- 装備、記念品、実験室がすべて自分向けに構成された個人的な空間であり避難所でもあるという点がEmacsに似ている
- Emacsがホームベースのように機能する理由は、柔軟性と持続性にある
- 非常に柔軟で拡張可能なので、個人的で固有の空間にできる
- 50年間存在してきた独立的で長く続く技術であり、流行や単一企業の支配に大きく左右されない
- 考えをまとめ、計画し、書き、知識ベースを作り、創作できる空間を提供する
- 自分に合ったツールとワークフローを自分で作れる
- ユーザー自身が形と意味を与えられることが核心である
- 思いどおりにできる自由があり、消えないだろうという期待がホームベースとしての感覚を作る
- ひらめきがあればEmacsで書いたりコーディングしたりし、道に迷ったり圧倒されたりしたときはEmacsで改めて整理し計画する
- 休息になりそうな楽しい作業としてEmacs設定を磨き、振り返りはジャーナルに残して後で見直す
見方が変わったきっかけ
- 最初にEmacsを使ったときは、すばらしいコードエディタであり挑戦課題のようなものとして受け止めていた
- 大学時代に使い始め、兄弟がVimを選んだことへの対抗的な選択のようにも感じていた
- その後数年間は主にコードエディタとしてしか使わず、それ以上の可能性には気づいていなかった
- Emacsをより広く使い始めたきっかけは、コーディングの減少と管理業務の増加 だった
- コーディングが減り管理業務が増えるにつれ、非コーディング作業でもキーボード中心UXの滑らかな体験を求めるようになった
- その過程でEmacsとOrg modeをさらに学び、コミュニティにもより深く関わるようになった
- Emacsが持つ潜在力をもっと広く見られるようになった
Org mode
- Org mode はEmacsを代表するmajor modeの一つで、Emacsをホームベースとして使ってみたいなら深く見てみる価値がある
- 最初は少し機能が増えたMarkdown代替のように見えるかもしれない
- 実際には、Emacsコミュニティが収束してきた プラットフォーム に近く、Emacsの拡張性と結びついて多様なワークフローやツールを作る基盤になる
- Org modeは執筆と設定の基盤として使われる
- このブログ記事はOrg modeで書かれている
- ブログ全体は Emacs Lispで実装 されており、Org modeで動いている
- Emacs全体の設定もOrg modeで書かれている
- Org modeで可能な作業範囲は広い
- プレゼンテーションを作れる
- Jupyter Notebookを思わせる 文芸的プログラミング に使える
- GTDに似た生産性システム として使える
- org-roam、denote のようなノートシステムとつながる
- gptel を通じてAIチャットインターフェースとして使える
- スプレッドシートやNotionのようなデータベースシステムとしても活用できる
AI時代のEmacs
- エージェント型AIのせいでエディタは過去のもので、CLIさえあればよいという話があっても、Emacsの役割はエディタに限定されない
- Emacsはエディタではなく、ホームベースでありコマンドセンターとして使われる
- 生成AIの台頭は、むしろEmacsをもっと使いたくさせる要因として働いている
- 急速に変化する技術や最新ツールを追い続けなければ取り残されるという圧力の中で、安定した基盤 のように感じられる
- 自分の考えに耳を傾けられ、今あるもので十分だと感じられる場所になる
- AIのおかげで、Emacsを望みどおりに設定することも以前より簡単になった
1件のコメント
Lobste.rsの意見
「典型的な狂ったEmacsユーザー」だなんて、決めつけがひどい。自分には地下室すらない
死ぬときの最後の言葉は C-x C-c であってほしい
M-x close-coffin-and-buryコンピュータの電源を入れたら真っ先にEmacsを開くのではなく、Emacsを開いて初めてコンピュータの電源が入ったと見なせる
最近のEmacsコミュニティを追うには、rmsに遭遇せずにはいられないのか気になる
最近はLobstersの emacs タグもいい場所だ
スレッド全体はこちら: https://lists.gnu.org/archive/html/…
インターネットなしで過ごした一週間があり、そのときEmacsを学び始めた。マニュアルを読んであれこれいじる時間は、かなり魔法のようだった