2 ポイント 投稿者 GN⁺ 2024-04-11 | まだコメントはありません。 | WhatsAppで共有
  • カナダ政府は、2024年予算案でAI競争力強化に向けた24億ドル(3.2兆ウォン)規模の支援策を発表
  • これは、カナダのAI分野における雇用拡大を加速させ、研究者や企業によるAIの開発・導入を支援し、それを責任ある形で実施できるようにするためのもの

主な投資内容

  • 20億ドルを投資し、カナダのトップレベルのAI研究者、スタートアップ、スケールアップ企業に向けて、計算資源と技術インフラを整備・提供
    • AI Compute Access Fundを通じて研究者と産業界に短期支援を提供
    • Canadian AI Sovereign Compute Strategyを策定し、カナダ所有のAIインフラ開発を促進
  • 地域開発庁を通じて2億ドルを支援し、AIスタートアップが新技術を市場投入できるよう後押しするとともに、農業、クリーンテック、医療、製造業などの主要分野でAI導入を加速
  • NRC IRAP AI Assist Programに1億ドルを投資し、中小企業が新たなAIソリューションを構築・展開して事業規模を拡大し、生産性を高められるよう支援
  • クリエイティブ産業などAIの影響を受ける可能性がある労働者向けに5,000万ドルを投資し、Sectoral Workforce Solutions Programを通じて混乱が見込まれる分野や地域社会の労働者に新たなスキル教育を提供
  • 5,000万ドルを投資し、AIの安全な開発と展開のためのCanadian AI Safety Instituteを新設
    • 利害関係者の意見を集約し、国際パートナーと協力して、高度なAIシステムや悪意あるAIシステムのリスクからカナダを守る方策を模索
  • Artificial Intelligence and Data Actの執行強化に向け、AI and Data Commissioner事務所に510万ドルを支援

引用

  • ジャスティン・トルドー首相は、「AIには経済を変革する潜在力があり、カナダの可能性は、明確なカナダの優位性を活用することにある」としたうえで、「2024年予算案におけるこれらの投資は、カナダ国民、特に若いカナダ人が高賃金の仕事に就けるよう助けるだろう」と述べた
  • クリスティア・フリーランド副首相兼財務相は、「本日、私たちは経済成長を促進するために大規模な投資を行っている」とし、「これはカナダがAIの世界的リーダーであり続け、最先端技術の前線に立ち続けることを可能にする。何より、AIを牽引するカナダ人により多くの高所得キャリアを意味するだろう」と述べた

背景情報

  • カナダは、開発、商用化、安全性の各面で世界トップレベルのAIエコシステムを有している
  • カナダ政府は2017年以降、科学的発見を支援し、国内の研究人材を育成し、世界トップクラスの研究者を誘致するために160億ドル超を投資しており、さらにカナダ全土のAIエコシステムとデジタルインフラの成長促進に20億ドル超を投資している
  • カナダは2017年に国家AI戦略を策定した最初の国であり、Pan-Canadian Artificial Intelligence Strategyを通じて、カナダがAIの世界的リーダーであり続けられるよう支援している
  • 連邦研究機関であるCIHR、NSERC、SSHRCは、2017-18年以降、AI関連研究に9億3,680万ドルの資金を提供してきた
  • NRC IRAPは2017年以降、AI関連企業に7億580万ドルの拠出を行い、1,111社と3,837件のプロジェクトを支援してきた
  • カナダ政府はまた、Sanctuary AI、半導体企業Ranovusなど急成長するAI関連企業に対し、Strategic Innovation Fundを通じて大規模な投資を行ってきた

カナダの責任あるAI導入

  • カナダは最近、Center for AI and Digital Policyの2024年版「人工知能と民主的価値」に関するグローバルレポートで、日本とともに80カ国中1位となった
  • 2022年6月に議会へ提出されたArtificial Intelligence and Data Act(AIDA)は、健康、安全、人権に最も大きな影響を及ぼすシステムに重点を置き、カナダ民間部門におけるAIシステムの責任ある設計、開発、利用を促進するために設計された
  • 2023年9月に発表され、Cohere、Ada、Coveo、BlackBerry、TELUS、OpenText、IBMなど主要テック企業が署名したVoluntary Code of Conduct on the Responsible Development and Management of Advanced Generative AI Systemsは、企業が生成AIシステムを責任ある形で開発・利用していることを示し、この技術に対するカナダ国民の信頼を強化できるようにするもの
  • 2020年にカナダ人工知能諮問委員会の下に設立されたAI Public Awareness Working Groupは、AIに対する一般の認識を高め、信頼を促進する方策を探る任務を担っている

カナダAI産業の現状

  • 2022-23年のカナダには14万人超のアクティブなAI専門人材がおり、前年比29%増となった
  • カナダは世界トップレベルのAI研究者の10%を擁し、これは世界で2番目に多い水準
  • カナダは、AI分野の女性人材の前年比増加率(2022-23年だけで67%増)で世界1位、G7諸国の中でもAI人材の増加率で1位を記録しており、2019年以降、1人当たりAI関連論文発表数でもG7首位を維持している
  • 2022-23年にカナダ投資家が出願したAI特許件数は前年比57%増となり、同期間のG7平均23%のほぼ3倍に達した
  • 2022年のカナダAI分野は86億ドル超のベンチャーキャピタルを呼び込み、カナダ全体のベンチャーキャピタル活動のほぼ30%を占めた
  • カナダはAI企業に対する1人当たり総資金調達額でG7中3位を記録しており、2019年以降、670社超のカナダAIスタートアップと30社のカナダ生成AI企業が100万USD超の投資を受けている

GN⁺の見解

  • カナダ政府による大規模なAI投資は、将来の成長エンジンを確保するための戦略とみられる。特に、AIコンピューティングインフラの整備、スタートアップ支援、中小企業のAI導入支援など、AIエコシステム全体を網羅する投資計画を打ち出した点が目を引く
  • ただし、AIによる雇用代替などの副作用への対策はやや不十分に見える。労働者の再教育に対する支援規模は相対的に小さく、具体策も示されていない
  • データ主権の確保と自国AI技術の競争力強化に向けたインフラ投資と戦略策定は望ましい一方で、保護主義に傾く懸念もある。国際協力もバランスよく模索する必要がありそうだ
  • 今回の投資が実際のAI技術発展と産業成長につながるためには、人材育成、技術の事業化、規制緩和など多面的な取り組みが必要になりそうだ。政府主導の大規模投資が非効率を生む可能性も考慮すべきだろう
  • 一方で、AIの開発と活用において安全性と責任を重視し、規制の枠組みを整えようとする試みは前向きに評価できる。ただし、急速に進化するAI技術の性質上、規制がイノベーションを阻害するおそれもあり、バランスの取れたアプローチが求められる
  • カナダの今回の投資計画は、他国のAI戦略にも影響を与えると見込まれる。各国政府がAI競争力の確保に向けて大規模投資に乗り出す可能性が高く、民間投資の呼び込み競争も一段と激しくなりそうだ

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