ソ連の宇宙飛行のための機械式航法コンピューター、Globus INK
- ソ連の宇宙計画では、アメリカの宇宙船とはまったく異なる制御装置や機器が使われていた。その中でも特に興味深い航法機器が、Soyuz宇宙船に搭載されたGlobusで、地球上の宇宙船の位置を表示するために回転する地球儀を使用していた。
- Globusは、宇宙船の位置を計算するために精巧なギア、カム、差動装置のシステムを使う電気機械式アナログコンピューターだった。正式には「宇宙航法指示器」という名称を持ち、ロシア語の略称で ИНК(INK)と呼ばれていた。
機能
- Globusの主な目的は、宇宙船の位置を表示すること。地球儀が回転し、プラスチック製ドームに固定された十字線が宇宙船の位置を示す。これにより宇宙飛行士は地球の様子を確認し、自分の位置を把握できた。
- 地球儀の横にある緯度・経度ダイヤルは、位置を数値で表示する。また、下部の光/影ダイヤルは、宇宙船が太陽に照らされているか影に入っているかを示す。これはドッキングに重要な情報だった。
- Globusには第2のモードもあり、逆噴射ロケットを点火して着陸を開始した場合に、宇宙船がどこに着陸するかを表示する。スイッチを切り替えると、地球儀が回転して着陸地点が十字線の下に来るようになる。
地球儀の制御
- 地球儀は、2つの軸に沿って回転できるよう固定されたシャフトに取り付けられている。地球儀の赤道は硬い金属片で構成され、装置の水平軸に沿って回転する。第2のギア機構は、地球儀を南北軸に沿って回転させる。
- この設計の重要な帰結は、軌道傾斜角が地球儀機構の角度によって固定されることだった。別の軌道には別のGlobus装置が必要であり、円軌道しか扱えないため、軌道変更時には役に立たなかった。
軌道速度と「コーン」
- Soyuzの軌道は約90分かかるが、高度によって時間は変わる。Globusには、軌道周期を分、10分の1分、100分の1分単位で調整できる調整ノブが備わっている。
- 軌道速度機能は、地球儀が軌道軸に沿って回転する速度を増減させることで実現されている。固定された1ヘルツパルスを使用するGlobusで可変速度を生成するのは難しかった。
電子装置
- Globusは大部分が機械式だが、4個のリレーとトランジスタを備えた電子基板も持っている。ほとんどのリレーは着陸位置メカニズムを制御し、モーターを正転または逆転させ、リミットスイッチで停止させる。
GN⁺のまとめ
- Globus INKは機械式計算の驚くべき実例であり、精巧なギア、カム、差動装置によって軌道を計算する。これは、1960年代の電子式宇宙コンピューターが提供できたものよりもはるかに高解像度のフルカラーディスプレイを実現していた。
- しかし、Globusの機能は限られており、外部からの誘導入力を受けないため精度も低い。現代のデジタルディスプレイは物理的な魅力には欠けるものの、はるかに多くの機能を提供する。
- この記事は、機械式航法コンピューターの複雑さと歴史的重要性を理解するうえで興味深く、同様の機能を持つ現代のデジタル航法システムと比較することもできる。
1件のコメント
Hacker Newsの意見
Globusについてさらに詳しく説明しているシリーズが2本ある
ソ連の宇宙開発競争に関する興味深い本を読んだ
以前から機械式計算機にはいつも魅了されており、MK1海軍射撃管制コンピューターに関する記事と動画による解説がある
当時の米国の宇宙技術と比べて技術的に劣っていたとしても、ソ連の創意工夫には感嘆させられる
機械式コンピューターをどう妨害できるのかという疑問がある
機械式コンピューターは現在でもロシアの軍艦に搭載されており、EMP攻撃への備えとなっている
昨年、4万ユーロで販売された機械式コンピューターがあった
歯車が地球儀の上のピンを動かしながら宇宙へ向かう様子を想像してみてほしい
次はApollo 8ボールに関するものが必要だ