- Sequoia Capitalによる2025年のAI業界予測
- 2024年はAIの「原始スープ(primordial soup)」段階であり、新しいアイデアと可能性があふれていた。
- 「潜在力は無限だが、まだ形をなしていない。実体があり、最終的に影響力を持つものへと転換するにはビジョンが必要」
- 2025年はアイデアを選別して実際に実装し、何が有効かを検証する年
- AIの可能性が徐々に 具体的で実質的な形 へと収束
1. LLMプレイヤーの差別化戦略
- 2024年、GPT-4との品質同等性を目標にした競争の中で、5つの主要プレイヤーが残った。
- Microsoft/OpenAI、Amazon/Anthropic、Google、Meta、xAI。
- 共通戦略:膨大なデータ収集、GPUを活用した大規模学習、前処理および後処理アーキテクチャの性能最適化
- 各社は、計算規模を10倍以上に拡大する次段階のLLMスケーリングに備え、研究所で差別化された「スーパーパワー」を開発中
- つまり、それぞれが自分たちの「武器」を選んだということ
- Google:「垂直統合」 - バリューチェーン全体のあらゆる部分を所有し、完全な統制が可能
- 独自チップ(TPU)を保有する唯一の企業で、NVIDIA GPUに対抗できる可能性
- 自社データセンターとモデル学習システム
- 強力な社内研究チーム
- OpenAI:「ブランド」 - AI分野で最も強力なブランドを保有
- ChatGPTの認知度と売上高(36億ドル)を基盤に消費者市場と企業市場を主導
- ブランド認知を活用し、消費者市場と企業市場の両方で差を広げる
- Anthropic:「人材確保」 - AI研究者に好まれる企業
- OpenAI出身の主要人材を採用(例:Jon Schulman、Durk Kingma、Jan Leike)
- Instagram共同創業者のMike KreigerをCPOとして迎え入れた
- GPT-3の生みの親Dario Amodeiが率いる
- 人材中心のイノベーションと研究リーダーシップを強化
- xAI:「データセンター拡張」 - 「規模がすべて」という哲学でインフラ優位を確保
- 10万GPUクラスターによりデータセンター拡張速度を先導
- xAIと競合各社の次のマイルストーンは20万クラスター、30万クラスターになる見込み
- Meta:「オープンソース」 - オープンソースによってイノベーションと迅速な採用を促進
- Llamaモデルとオープンソース戦略による広範な展開可能性
- Instagram、WhatsApp、Facebookの配信ネットワークを活用
- 開発者コミュニティから熱烈な支持
- 各プレイヤーの競争構図と姿勢は明確になった
- 2025年には、どの戦略が先見の明あるものと証明され、どの戦略が不運だったと判明するのかを見守ることになる
2. キラーアプリとして台頭するAI検索 - 2025年に普及へ
- ChatGPTの登場以降、AIのキラーアプリケーションを探す試みが続いてきた
- 2024年:さまざまなAIアプリケーションがテストされた(例:AIアシスタント、音声エージェント、AI会計士)
- 2025年の見通し:AI検索が主要ユースケースとして定着する可能性
- Perplexity:リリース以降、月間アクティブユーザー1,000万人を突破
- OpenAI:ChatGPT Searchを拡大
- トレンド:The Wall Street Journal、「今やGoogle検索をしているのは高齢層だけだ」
- AI検索は、インターネットのキラーアプリとして急成長した技術を強力に再発明したもの
- インターネット検索はWebインデックスに基づく「探索」技術
- AI検索は、知識を読み、意味的に理解できるLLMに基づく「情報」技術
- AI検索は、現在の一枚岩の市場を細分化できる可能性がある。特定職種向けの 特化型AI検索エンジン が登場しうる:
- 投資家:Perplexity
- 弁護士:Harvey
- 医師:OpenEvidence
- コード:Github Copilot
- ピクセル画像:Midjourney
- ドキュメント:Glean
- 従来の検索と異なり、AI検索は意味論的により深く入り込めるため、はるかに強力で、生産性を大幅に高めうる
- すべてのテキスト応答が同じように作られるわけではない
- LLMを通じて、さまざまな次元で実質的な製品差別化が可能
- 創業者は、こうした機能を中心に 特定顧客層に向けた固有の製品体験を構築 できると考えている
- AI検索の主要な差別化要素
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- 意図抽出(Intent Extraction):
- ドメイン特化により、ユーザーの意図により密着した応答を提供
- 例:医師と患者が同じ質問をしても、求める応答の種類は異なりうる
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- 独自データ(Proprietary Data):
- 弁護士向けの判例、アナリスト向けの財務データのような固有データセットが必須
- ビジネス環境では、正解を出すことが非常に重要
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- フォーマット(Formatting):
- 結果の提示方法(簡潔さ vs. 詳細さ、箇条書きの使用、マルチモーダルコンテンツの活用、出典参照)
- 例:会計士と記者では情報の消費のしかたが異なる
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- インターフェース設計(Interface Design):
- ドメインごとに作業環境に適したインターフェースが必要
- セマンティック検索は、ユーザーの既存ワークフローやデータを中心にコンテキストを活用
- 例:コード検索はIDE内で、会計ポリシー検索は会計SaaSプラットフォーム内で提供
- 新しいドメイン別AI検索エンジンは、ターゲットペルソナの「心の理論」にできる限り緊密にマッピングされる
- 医師、弁護士、会計士は同じようには考えない
- 特定分野の専門家になると、知識を抽出し意思決定を下すパターンが変わり始める
- 医師は医学文献を、弁護士は判例を、投資家は収益報告書をレビューする
- 各専門分野ごとに知識抽出と意思決定のパターンが異なり、それを反映した検索エンジンが必要
- 消費者と企業の間には分岐(bifurcation)が起こりうる
- 消費者には、共通的な要求を満たすChatGPTのような汎用製品。
- 専門家には、特定職務を支援する特化型AI検索エンジンが必要
- 知識労働者は少なくとも2つのAI検索エンジン を毎日使う可能性がある。1つは業務用、もう1つは一般消費者向け。
3. ROIは依然として課題であり、設備投資は2025年に安定化し始める
- 2024年、ビッグテック企業は、AIがクラウド事業における寡占的地位を脅かす可能性に不安を抱いていた
- そのため企業は、競争で出遅れないよう積極的な設備投資を行った。自分たちが投資しなければ他社が投資し、結果として後れを取ることになるからだ
- 2025年に入ると状況は大きく変わる:ビッグテックはAI革命を強固に掌握している
- AIを支えるデータセンターの大半を支配し、主要LLM企業の持分を保有し、新規AIスタートアップの最大投資家となっている
- ビッグテックの自信が高まるにつれ、2025年はAI設備投資が安定化する年になると予想される
- 2024年に契約したプロジェクトを、予定された期限と予算に合わせて完了
- 構築したキャパシティを顧客に販売し、企業が新しいAI機能を活用できるよう支援
- ChatGPT以前と比べておよそ2倍に増えた設備投資水準は、2025年にはある程度正常化するとみられる
- MicrosoftとGoogle:Q3データ基準で安定化の兆候
- AmazonとMeta:2025年初頭に安定化へ到達する可能性
- 寡占的ダイナミクス(Oligopolistic Dynamics) の関係も形成されている可能性が高い
- Big Techは競合他社の動きを綿密に観察しながら投資を調整中
- 業界が「ニューノーマル(new normal)」へ向かう途上にあるのなら、誰にとっても歓迎すべき知らせになりうる
- 2025年はデータセンター容量の増加により、AIコンピューティングコストが大幅に低下すると予想
- スタートアップにとって朗報であり、新たなイノベーションを後押しするだろう
- スタートアップはコンピューティングの消費者であると同時に生産者でもあるため、過剰構築が起きれば恩恵を受ける
- ビッグテック企業は、事実上AIエコシステム全体に補助金を支給しているようなもの
まとめ
- クラウドと黄金時代の鉄道寡占体制はしばしば比較される
- データセンターが現実のデジタル経済における鉄道だとすれば、2025年末には新たなAI鉄道が安全に定着しているだろう
- 問題は、この鉄道の上にどんな貨物を載せるのか、そしてこの 新しい技術をどう活用して顧客と最終利用者のための価値を創出するのか という点だ
2件のコメント
素晴らしいまとめです。ありがとうございます。
xAIは1年でbig5入りしたんですね、すごい…