- Denoは、Oracleの「JavaScript」商標取消請願は単なる法的紛争ではなく、複数の独立実装を持つ公開標準の名前を1社が所有できるのかという問題だと見ている
- 請願の核心は、JavaScriptがOracle製品ではない広く使われるプログラミング言語であり、Oracleがその商標を統制・維持・行使してこなかった点にある
- 2019年、Oracleは商標更新の過程でRyan Dahlが作成したNode.jsのWebサイトのスクリーンショットを使用証拠として提出し、DenoはOracleがNode.jsと無関係である点を問題視している
- Oracleは今回は詐欺主張にのみ対応し、「他の証拠も提出した」という論理を展開したが、なぜ無関係なNode.js資料が必要だったのかは説明していない
- 却下申立てには請願への回答期限を遅らせる効果があり、「JavaScript」が普通名称かどうかに関する本案の議論が遅延する可能性がある
Denoが商標取消を求めるに至った経緯
- 2年前、Ryan DahlはOracleにJavaScript商標を善意のしるしとして公開するよう求めたが、返答はなかった
- 2024年9月には、JavaScriptの生みの親Brendan Eich、現TC39エディターたち、16,000人以上のJavaScript開発者が連署した公開書簡が出されたが、Oracleは依然として沈黙したままだった
- 2024年11月、DenoはUSPTOに対し、Oracleの「JavaScript」商標の取消を求める正式な請願を提出した
- 問題の中心には、2019年のOracleによる商標更新がある
- OracleはRyan Dahlが作成したNode.jsのWebサイトのスクリーンショットを使用証拠として提出した
- Denoは、OracleがNode.jsと何の関係もないにもかかわらず、これを商標使用の証拠として出したと指摘している
- 請願は3つの根拠を挙げている
- Genericness: JavaScriptはOracleの製品名ではなく、広く使われるプログラミング言語である
- Abandonment: Oracleは商標を統制・維持・行使していない
- Fraud on the USPTO: Oracleは更新申請で誤解を招く可能性のある証拠を提出した
Oracleの却下申立てと防御論理
- OracleはDenoの請願に対して却下申立てを行い、その中で詐欺主張にのみ対応している
- 防御論理は、「Node.jsのスクリーンショットを提出したのは事実だが、他の証拠も併せて提出したので問題にはならない」という方向に近い
- Oracleは、「JavaScript」商標がソフトウェア製品であるClass 9と技術サービスであるClass 42の両方を含むと説明している
- Oracleの説明によれば、Node.jsのスクリーンショットはClass 9の更新を裏付けるための資料であり、Oracle JETページはClass 9の主要証拠であり、かつClass 42の唯一の証拠だった
- ただしOracleは、Node.js資料の提出が不適切だった点を認めておらず、今回の申立てでその問題を扱う必要もないとみなしている
Node.jsのスクリーンショットが残した疑問
- Denoは、Oracle JETのスクリーンショットだけで十分だったのなら、なぜNode.jsのスクリーンショットまで提出したのかと疑問を呈している
- Oracle JETは独立したJavaScriptランタイムではなく、UIツールキットである
- Denoは、Oracle JETが実際に広く使われている製品なのか、それとも商標を維持するための存在にすぎないのかも問題視している
- 核心的な争点は、Oracleが自社と関係のないプロジェクトのスクリーンショットをなぜ商標使用の証拠として提出したのかという点にある
- Ryan Dahlは、Node.jsを開発者の利益になるようMITライセンスで公開したのであって、Fortune 500企業の法的ツールとして使われるために作ったのではないと述べている
本案より先に手続きが長引く状況
- Oracleは期限まで待ったうえで却下申立てを行い、その結果、「JavaScript」が普通名称かどうかに関する回答が後ろ倒しになっている
- Oracleは、この申立てによって請願への回答期限が停止され、委員会の決定日の少なくとも30日後に回答期限を再設定するよう求めている
- Denoの前には2つの選択肢がある
- 詐欺主張を取り下げて、Oracleに商標更新過程での虚偽表示の問題をやり過ごさせる
- 本案の議論に入る前に、数か月にわたり手続き上の問題を争う
- Denoは、Oracleが手続きを利用して詐欺主張をめぐる論争を引き延ばし、商標そのものの正当性に関する議論を遅らせていると見ている
JavaScriptという名称の支配権の問題
- Denoの立場は、OracleはJavaScriptを作っておらず、JavaScriptを統制しておらず、JavaScript商標を所有すべきでもないというものだ
- JavaScriptは公開仕様であるECMA-262によって定義されている
- JavaScriptは、Google、Apple、Microsoft、Mozillaなどの代表が参加する業界グループTC39によって維持されている
- 主要なJavaScript実装は、Mozilla、Google、Apple、Microsoftが開発したブラウザに存在する
- Denoは、OracleがJavaScriptのガバナンス、実装、発展に役割を持たないにもかかわらず、この商標を法的圧力の手段として使っていると批判している
参加方法と今後の確認手段
- Denoは、Oracleの商標主張に対する認識を広めてほしいと呼びかけている
- javascript.tmで公開書簡に署名できる
- 報道関係者はDenoに連絡でき、DenoはOracleの法的な動きにひるむことなく、この件を引き続き争っていくと述べている
- 進捗はDenoのBlueskyアカウントで確認できる
1件のコメント
Hacker News のコメント
Ryan がこの件を引き受けてくれてありがたいし、アップデートも興味深い。
弁護士費用を払う立場ではないが、Oracle が数か月引き延ばそうとしているというのはかなり普通に見える。数か月だけなら、手続きが何年もだらだら続いたとしても「良い」結論にたどり着くならやる価値はある。
いまは Oracle に丁寧に請願してみようという段階ではなく、実際の法的手続きに進んでいるので良い。2年前から弁護士が関与していたら、いまどれほど進展していただろうかと想像してしまう。
Oracle からこれを奪い取らなければならない。
自分も「手伝いもしないのに意見を言う資格はない」といったことをかなり何度も言われたことがある。
この記事で一番良かった部分は、Oracle のスクリーンショットが IE で撮られていた点だった。
いま基準では古いのは確かだが、それでも過去に戻ったような感じがする。
その頃も IE がまだ存在しているとは知らず、すでに Edge に置き換わっていると思っていた。
Oracle を知っているなら、可能であれば法廷に持ち込むだろう。
Cantrill の言葉を借りれば、芝刈り機のように振る舞う会社だ。
目標はただ一つ、次の報告サイクルで見栄えのする数字だけ。
市場全体に長期的な純利益をもたらした Oracle の動きはほとんど思い浮かばない。より大きな市場を育てる道もあったが、Oracle が短期的なライセンス戦略で水を濁さなければ、ZFS ははるかに多くの場所に広がっていただろう。
以前は IBM のような市場支配や合法の範囲内での悪質な行動を複数の会社になぞらえていたが、いまや IBM は薄い影で、Oracle がその王冠を手にしたように見える。
法制度は世界的に根本から壊れている。
明白な詐欺と欺瞞、十分な証拠と複数の証人がある事件で、大企業を相手に損害賠償を請求しようとしたが、成功報酬で引き受けるという弁護士を一人も見つけられなかった。
被告は疑わしい方法で得た数億ドル規模の現金と資産を握っていた。これは法制度が壊れている証拠に見える。弁護士たちが証拠とは無関係に、勝訴の可能性を極めて低く見ていたという意味だからだ。
かかっている金額は大きく、自分の状況も説明したが、多くの弁護士はどんな証拠があるのかさえ尋ねなかった。非企業主体が訴訟で勝つのが難しいというのはその程度なのだ。原告にふさわしい地位、露出度、ビジネス上の人脈がなければ、数百万ドルと実際の詐欺が絡む事件でも指一本動かさない。
Node.js の創始者と JavaScript を作った Brendan Eich の支援がある場合でさえこの扱いなら、無名なその他の人がどう扱われるかは明らかだ。特定の人にしか機能しないなら、法制度を置いておく理由が何なのか分からない。
ロシアが選挙を行うのと同じ理由だ。
記事を読んで Oracle JET が何なのか気になった人がほかにもいるか分からない。
依存ツリーをたどると、ほぼすべて Oracle のパッケージか、とうの昔に死んだデモ・一回限りのパッケージだ。
その週間1,000ダウンロードも、ほかの Oracle プロジェクトの継続的インテグレーションのパイプラインから全部来ている可能性がある。電話は家の中からかかってきているぞ、Larry。
興味深いことに、Breville は機械と道具の分類で「Oracle」自体の商標を持っているようだ。
それでも気になって我慢できないだろうから言うと、私には npm 週間ダウンロード500回の Preact ブートストラップ用スクリプトに近く見える。
それを使っている会社でコンサルティングをした不運があったが、機能はかなり豊富な一方で、内部構造は完全にめちゃくちゃで非常に古臭い。
https://www.npmjs.com/package/@oracle/ojet-cli
https://www.npmjs.com/package/@oracle/oraclejet
提起されている論点には同意するが、Oracle が自前の JavaScript ランタイムを持っていないという主張は成り立たない。
OracleDB はかなり以前から JavaScript で書かれたトリガーを実行できる。
https://blogs.oracle.com/java/post/multilingual-engine-execu...
Oracle が商標維持のために提示した証拠がこれなら、おかしいと指摘するのは妥当だ。ただし法廷に行けば、Oracle が OracleDB で使っている GraalJS を証拠として出せるというのも事実だ。
この争いが起きているのはうれしい。Oracle は悪魔みたいだ
「JavaScript の主要な実装は Mozilla、Google、Apple、Microsoft が作ったブラウザにある」と言っていたけど、Microsoft のブラウザって単に Chromium ではないのか? もうブラウザを作っていない会社のように見えるのに、リストに入れるのは変だ。だったら Brave みたいなのも入れるべきでは?
素の Chromium ではできない。Google 側の Chromium では、あの Manifest V3 がデフォルトで有効になっている
Chrome や Chromium にはない機能がかなり入っている
https://en.wikipedia.org/wiki/EdgeHTML
今ではほとんど使われていないとしても、かつては最も使われていた JavaScript 実装を持っていたからだ
Netscape は新しい言語を Java の人気に便乗させるため、JavaScript と呼びたがっていた
Sun Microsystems が Java の商標を持っており、商標権を維持したまま Netscape に名称の使用を許可した。その後 Netscape は AOL に買収されて終了し、Oracle は Sun と Java 関連のすべてを買収した際に JavaScript の商標も手に入れた
Sun と Oracle は JavaScript の世界で意味のあることをしたことはないが、Java という名前のおかげで商標を維持している
名前の歴史と企業買収の歴史を知っている場合を除けば、文字どおり誰も JavaScript を Oracle と結び付けない。したがって「JavaScript」は出所を識別する有効な標識ではなく、取り消されるか、EcmaScript International のような組織へ移転されるべきだ
ただ ECMAScript と呼んで、「Java」のことは忘れればいい
「JavaScript」はそもそも良い名前ではなかったし、元々 JavaScript は Java とあまり共通点がなかった
この感覚はかなり広く共有されているようだ
Web 以外の用途もあるにはあるが、本質を表す名前だ
実際、LiveConnect Bridge を通じて JS を Java 用のスクリプトシステムにしようという目標があった。問題は LiveConnect がバグだらけだったことだ。Microsoft も似たものを持っていて、バグは少なかったが、当然 IE 専用だった
だから LiveConnect が懐かしいわけではない。単に「WebScript」のような名前で呼べばいい
ずいぶん昔のことだ
「商標権侵害」を避けるには、すべての JS ランタイム の所有者が Oracle のアプリやドメインで動作しないようにし、この件について大きくてうっとうしいメッセージを表示すればいい