3 ポイント 投稿者 GN⁺ 2025-06-09 | 1件のコメント | WhatsAppで共有
  • WordPressの中央集権的で不透明なガバナンスの問題がコミュニティ内の重要課題として浮上し、独立的で透明性のある代替案の必要性が高まった
  • 2024年末〜2025年初頭、**AspirePress(コミュニティミラー)**など複数の分散化の取り組みが登場し、オープンレターと技術面/ガバナンス面の「二重トラック」による代替案の議論が本格化
  • この流れの中で多様なグループが力を合わせ、**FAIR(Federated and Independent Repositories)**という実質的な「分散型WordPressパッケージ管理/配布インフラ」を実装
  • FAIRはLinux Foundation傘下のコミュニティ主導技術運営委員会(TSC)によって管理され、ミラー・パッケージ・商用プラグイン・暗号署名など実用的なエコシステム基盤を提供。WordPressをフォークするのではなく、「新しい配布・ガバナンス層」を提供するもの
  • FAIRの登場は単なる抵抗ではなく、オープンソースエコシステム内部でより良いインフラとガバナンスを目指す「貢献」と評価されている

WordPress FAIRプロジェクトの誕生と意義

# リーダーシップ問題から始まった変化

  • 2024年末、WordPressエコシステムにおける過度な中央集権化とガバナンス不在が公の議論となった
    • あまりに多くの権限が一個人に集中し、不透明な運営構造がコントリビューターとビジネス双方に不確実性をもたらしていた
  • コミュニティ主導のミラー(AspirePress)の発表と20人余りの主要コントリビューターによるオープンレターをきっかけに、問題意識の共有が広がった
  • Karim Marucchiらとともに、技術的・政治的という二つの解決策を提案
    • 中央集権化の解消(配布/更新/発見性)
    • 透明性・説明責任・中立性を備えたガバナンスの導入

# さまざまな取り組みの接続、FAIRへ集結

  • 複数のチーム・コミュニティによる個別の分散化の試みが自然に交差し、連帯と共同作業へと転換
  • 単一プロジェクトの宣言ではなく、「グループのグループ」という形の連合体として組織化
  • 緊急性の高い課題(プラグイン更新、ディレクトリ、アセット、ダッシュボードなど)からミラー/ドロップインで対応し、段階的に拡張する構造を設計

# FAIR: コミュニティ主導の分散パッケージ基盤

  • **FAIRはLinux Foundation傘下の、コミュニティ主導TSC(技術運営委員会)**によって管理される
    • 3人のコミュニティリーダー(Carrie Dils、Mika Epstein、Ryan McCue)が共同議長
    • 分散パッケージ管理、ミラー、商用プラグイン、暗号署名などを短期間で構築
  • 目標はWordPressのフォークではない
    • 同じコアソフトウェアを使用し、既存のWordPressと互換性がある
    • 中央集権的なボトルネックなしに、独立したガバナンス/配布レイヤーを追加
  • Composerなどオープンソースのパッケージ管理経験を基盤とし、ユーザーフレンドリーさに重点
    • 大半のユーザーは内部構造を知らなくても、「ただうまく動く」と感じられる

# FAIRの意味とこれからの道

  • FAIRは「抵抗」や「フォーク」ではなく、WordPressのインフラとガバナンスに対する前向きな貢献
  • 数か月にわたる企業・国家・コミュニティの協業の成果であり、参加者はますます拡大している
  • FAIRの詳細情報は fair.pm で確認可能
  • オープンウェブとWordPressの「共有インフラ」および「コントリビューター中心の未来」に賛同するなら、いつでも参加できる

# 参考/参加リンク

1件のコメント

 
GN⁺ 2025-06-09
Hacker Newsのコメント
  • Linux FoundationがFAIR Package Manager Projectを発表したという話題の共有。公式発表文はこちらで読め、HN内での関連議論はこちらで確認できる
    • 数か月前から自分のプロジェクト向けに似たようなシステムを考えていたと述べつつ、ATProto(atproto.com)、IPFS(ipfs.tech)、Radicle(radicle.xyz)、Iroh(github)などを検討した経験に言及。最近はIroh寄りだったがATProtoも興味深いと考えており、今後はFAIR(protocol)も確認する予定で、広く採用されうるプロトコルの登場に期待している
  • FAIRのリポジトリ、特にfair-pluginを見たうえで、現行方式よりもWordPressのソフトフォークに別個のインフラを構築したほうがよかったのではないかという考え。今のようにコアWordPressを代替実装で迂回しようとする方式は失敗する可能性が高く、コア開発者はこの仕組みを壊すよう役員経由で指示されかねない構造だという見方。あわせて、TFAでリンクされていたMatt Mullenwegのjkpress投稿は非常に非プロフェッショナルで辛辣に感じられ、彼の人柄にも悪影響を与えていると評価
    • まずオープンガバナンスというアプローチで貢献を始める戦略は賢明だと思う。もしMattが妨害したり頓挫させようとしたりすれば、コミュニティに「やれることはやった」という空気が生まれ、ソフトフォークへ移行する大義名分と支持を得られるはずだという期待。こうした理性的な姿勢を示すことで、フォーク時にコミュニティの多数を巻き込めるし、Mattにもこの取り組みに関与しない、あるいは参加する余地を残し、信頼回復の可能性も開ける
    • Matt Mullenwegの辛辣な気質は今に始まったことではなく、長年続いてきた特徴だという意見。普段はあまり表に出ていなかったが、毎年どこかで見えており、ここ9か月ほどは頻繁に現れている。関連タイムラインやキャプチャ、WP Engine訴訟文書(タイムラインNews Y Combinatorのコメント)を参照とのこと
    • コア側がその仕組みを意図的に壊そうとする可能性は低いと思う。たとえばHTTPリクエストのフィルター機能を削除すれば、多くのプラグインやサイトが壊れ、「一度インストールすれば後は気にしなくてよい」という売り文句が崩れてしまう。主な競合相手もWixやJimdoのようなサービスであってCMS同士の争いではなく、バックエンドを塞げば旧バージョンまで全部壊れ、アップグレード経路も断たれる副作用が出る。フィルターとアクションの構造は、開発者がWordPressでの作業に耐えられるようにする中核要素であり、プラグイン生態系なしではWordPressに大きな意味はないという意見も示している。FAIRのコードでOOPとcomposerがPHP 8を必要としないのに7.2までサポートしている点は懸念だが、実際には多くのWPプラグインやコアも同様の状況だという
    • WP Engineの訴訟のおかげで、WordPressが代替インフラ実装を妨げる大義名分は失われるだろうと慎重に推測。Linux Foundationには信頼を置いていないが、WordPressを巡る一連の問題全体では(個人的には)むしろWordPress側を応援していた。しかし、分散型apt風のLinux Foundation支援プラグインリポジトリが75%程度でもうまく機能するなら、思い切って移行するつもりだという。単一のCEOとそのリスクを抱えるよりはるかにましだからで、同じ考えの利用者が多ければWordPressの未来は暗いと見る。フォークを望まないのはWordPress開発費を払いたくないからであり、収益が流出すればWordPressはさらに停滞し、すでに巨大すぎる存在だという比喩も付け加え、寄生虫が宿主を殺す状況になぞらえている
  • 自分としては、少なくとも個人的用途に関しては、しばらくWordPressは行き止まりだと判断している。その理由や考えはブログにまとめてあり、非常に優れたツールではあるが、不安定な企業のせいで信頼しにくい状況だという。FAIR Package Managerが生態系を変えられるか見守る予定
    • Static Site Generator(SSG)への移行も十分検討に値する選択肢。そのほか、どのCMSが人気なのかも気になるところ。現在の自分のブログはGravで運用しており、ファイルベースだがGitで簡単に管理でき、動的コンテンツや検索(および任意のAdmin UI)にも対応している。Grav公式サイト参照
  • FAIRの公式サイトはfair.pmで、すぐにgithub.com/fairpmへリダイレクトされる。FAIR Package Managerは、中央集権的なWordPress.orgのプラグイン/テーマエコシステムを置き換える分散型の代替として、WordPressホストと開発者がより多くの制御権を持てるよう設計されたツール。既存サービスはプラグインをインストールするだけで置き換え可能で、APIの置換(アップデート確認などでWordPress.org APIをFAIRが代替)と、プラグイン/テーマ向け分散パッケージ管理の2本柱で構成されている。AspirePressまたは指定ドメインミラーによるデータ設定にも対応。現時点では安定版プラグインについてWordPress.orgミラーを利用しているが、今後は徐々にFAIRネイティブなパッケージへ拡大する予定。プラグインのインストールはこちらから可能
  • FAIRのような方向性に勢いが生まれていることに非常に期待している。アイデア自体は常に多いが、実行は難しく、さまざまな技術分野での協業と調整が必要なのが現実。この段階まで進めたすべての人に大きな拍手を送りたい
  • 今後もボランティアのキュレーター・チームを維持できるのか気になる。現在でも、パッケージがマルウェアを含むか、既存と機能が重複していないかなどを分類・検証する作業は増えており、AI生成パッケージの登場で業務量も継続的に増加している状況
    • TSC共同議長の立場としても、その疑問には強く共感するとのこと。共同議長のMika Epstein(Ipstenu)は長年プラグインレビュー・チームを率いており、寄稿者の多くもレビュー工程に深く関わってきた経験者で、この問題は常に最優先で考えている
  • しばらく続いているWordPress/Automattic関連の主要な問題や論争をひとまとめにした主要リンク集。この件に関心があるなら、以下の項目と議論を順に確認することを勧める
  • FAIRという名称は、データ管理分野ですでに使われているFAIR原則(Findable, Accessible, Interoperable, Reusable)と混同されるおそれがあるという指摘
    • もはやあらゆる名前が重複する時代なので仕方ない、という自嘲気味の反応
  • 「私たちがやっているのは、新しい配布レイヤーを追加し、その上に独自のガバナンスを載せることだ」というFAIRプロジェクトの要約