- 開発8年目でゲーム開発業界へキャリア転換し、約3年間働く中で、業界内部の情熱的な雰囲気と独特の文化を直接体感することになった
- ゲーム業界では創造性と芸術性が重要な役割を果たしており、さまざまな分野のアーティストと開発者が協業している
- 大手スタジオでもインディスタジオでも、プロジェクトの周期が長く、個人が創造的に貢献できる機会が限られることがある
- 組織の成熟度や成長規模に比べると、内部プロセスや技術体系には他業界ほど十分に成熟していない面がある
- IT業界と違って、ゲーム開発ではプロジェクトと個人の経歴が密接に結びついており、この業界ならではの独特な挑戦とやりがいが共存している
序論
- 約3年前、ゲーム開発の経験がまったくないままゲーム会社(Riot Games)に入社した
- 統計的に見れば、この期間はゲームを1本リリースするにも十分とは言えないが、さまざまな経験や内部の人々の話を通じて、ゲーム業界を見る視野が広がった
- 開発者として従来の道筋から外れ、新しい業界に入って感じたことや観察した内容を共有する
背景
- 青少年期と大学初期にゲーム開発を夢見たことはあったが、実際に行動には移さなかった
- 卒業後は、伝統的なエンタープライズ開発者の道として、小さなプロダクト企業、より大きな会社、地域のビッグテック、多国籍大企業で経験を積んだ
- ゲーム業界は主に外から関心を持って見ていただけで、実際に働いたことはなかった
- 3年前、複数のオファーの中から国際的なゲーム開発会社に入社し、本格的にゲーム業界へ足を踏み入れた
I. ゲームへの情熱が核心
- ゲームへの情熱が必須だとは言われるが、ゲーム業界内部の本当の情熱は、想像していたよりはるかに強く体感される
- 一般的なIT業界と違い、ほとんどの従業員が新作ゲームをプレイし、ゲームの発売日程に合わせて休暇を取り、業界の話題が絶えず語られている
- ゲームが好きでなくても働くことはできるが、会社の規模や役割によっては、社内との同期に限界を感じることがある
- 小規模スタジオほど実際のゲームとの直接的な関わりが強く、ゲームをしない人にとっては働きにくい
- 最近では、ゲームにそれほど強い関心がなくても、特定の職種では参入障壁がかなり下がってきている
II. 創造性重視
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芸術と創造性の比重
- ゲームにはアートと創造性が不可欠に溶け込んでおり、2D、3D、UI/UX、オーディオなど多様なアーティストが活躍している
- 社内イベントやミーティングでもアートとクラフトが自然に表れ、アートワークやコスプレ、音楽、デジタル作品などがよく登場する
- デザインや芸術的な背景がない人は違和感を覚えることもあるが、多様な背景の人々が共存している
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非技術職のキャリア成長
- 優れたアーティストが技術職より高い年収を得る例もあるが、純粋な実務アーティストとして長く昇進し続けるには限界がある
- 組織内で昇進し影響力を広げるには、リーダーシップやマネジメントの役割への転換が必要であり、これはクリエイティブ職群ではより難しい課題だ
- キャリア成長や昇進の主なポイントは、「プロダクトとしての成功」よりも「創造的成果」により強く置かれている
III. 高い創造的裁量への期待と現実
- 創造性への情熱は強みになり得る一方で、クリエイティブな役割にも与えられた創造的裁量の限界が存在する
- 小規模スタジオやインディ開発では個人の影響力が大きいが、大企業やビッグテックでは限定された役割にとどまることがある
- 創造的な貢献の範囲が狭いほど、転職や独立を選ぶ例が多い
- 技術職は新しい挑戦課題が多く、比較的創造性を発揮できる幅が広い
IV. 業界の成熟度と成長
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ゲーム産業の成長と変化
- ゲーム業界は内部では「スタジオ」「プロデューサー」のような独自の用語や文化を維持しているが、外形的にはすでに非常に成熟した産業に入っている
- 以前に比べて規制と責任が集中する傾向が強まり、実際の所有権やデジタルライセンスの問題も浮上している
- 産業としての成長スピードと内部組織文化の間に乖離が生じている
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未成熟なプロセス
- 一部の大手ゲーム会社は数千人規模の従業員を抱えていても、なお非体系的だったり、小規模組織の惰性を保っていたりする傾向がある
- プロジェクト管理、プロセス、スケーラビリティなどは、経験に基づく努力よりも個人の強いリーダーシップに依存している
- 規制とビジネス規模が増えたぶん、業界のプロセス改善と体系化が必要になっている
V. 長い開発サイクル
- AAAゲームの開発には5〜7年以上という長い開発サイクルがかかる
- 単一のスキン(コスチューム、武器など)の制作にも最大1年かかることがある
- **スタートアップ型の「素早く失敗する」**文化を期待するのは難しく、たいていは完成度の高い成果物を前提とした開発環境が形成されている
- こうした長期開発文化は、バーンアウト、対立、情熱の消耗、キャリア成長の難しさをさらに大きくする
VI. プロジェクト中心のキャリア
- ゲーム業界では、自分が所属した会社よりも参加したゲームプロジェクトのほうが重要なキャリア指標と見なされる
- ゲームをリリースした経験の有無が履歴書に非常に直結するため、リリース失敗の経験が長期的なキャリアに悪影響を及ぼすことがある
VII. 技術
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技術的特徴と優先順位
- ゲーム業界の技術採用のスピードは一般的なITより遅く、創造性が優先される
- 「ゲーム業界はもともとこういうものだ」という文化と惰性が残っているが、非ゲーム業界出身者はその非効率さを指摘する
- それでもゲーム産業ならではの独特な技術的課題と深い挑戦があり、エンタープライズ開発とは違う面白さと難しさがある
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テックアート
- Tech Artは芸術と技術の境界にある役割で、シェーダー開発、パーティクルシステム、モデルリギング、3Dテクスチャリング、パフォーマンス最適化などを含む
- 映画・エンターテインメント業界でも需要は高いが、ゲーム分野で最も技術的・芸術的な融合が顕著に現れる
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コンテンツツールとパイプライン
- アーティストと開発者、さまざまなチームがプラグイン、エディタ、パイプライン、コンテンツ管理ツールを通じて協業する
- 大規模プロジェクトになるほど、専用のビルド・CI/CDシステムの複雑さと重要性が増していく
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テスト
- **ゲームテスト(QA)**は他業界より比重が大きいだけでなく、自動化への移行よりも手動および視覚的QAが多く必要とされる
- ゲームの特性上、視覚的要素やコンテンツ品質が収益に直結し、カスタムかつ非定型のテストが必要になる
- 一部ジャンルではAIベースの自動化テストも導入され、その効率が実証されている
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ハードウェアとプラットフォーム
- グラフィック性能が重要なだけに、高性能なPC、特にWindowsベースの環境が標準となっている
- MacOS、Linuxのサポートには限界があり、Windows特化ツールの使用経験が求められる
結論
- 短い期間ではあるが、さまざまな業界ベテランたちと交流し、ゲーム業界ならではの情熱・創造性・多様性を経験した
- ゲームを作ることが人生の主目標である人々、伝統産業を離れて夢を追う人々にとって、技術・アート・ストーリーテリングが結びついた独特の経験を積める場所である
- しかし、成長痛と持続可能性の問題が共存しており、情熱がイノベーションとバーンアウトの要因の両方になり得る
- 趣味とキャリアの区別が曖昧になるだけに、この業界は典型的なオフィスワークとはまったく異なることが、強みであると同時に課題でもある
2件のコメント
ロシア出身の開発者で、YandexからRiotに移り、現在はJPMorganChaseに転職したようですね
Hacker Newsの意見
創造的に動く人たちと一緒にビデオゲーム会社を作るという発想に胸が高鳴り、都市建設ゲーム『Metropolis 1998』を3年以上開発している経験を共有。創造性と論理、芸術的表現とソフトウェア開発の間で常に葛藤してきたが、実際にゲームを作ることで両方の長所を最大化できる環境を享受しているという話を紹介。エンジン開発、ゲームデザイン、アートディレクション、サウンドデザイン、マーケティング、UI/UX、環境デザインなど、ほぼすべての分野を自分で担当していることを強調。Steamページと実際の開発状況の違いも認めつつ、Metropolis 1998のSteamページとYesboxStudiosのXアカウントを共有
SimCity 2000とSimCity 3000を本当にものすごく遊び込んだプレイヤーとして見ると、Metropolis 1998のビジュアルは素晴らしいと感じるという感想
ゲーム開発の過程を継続的に見守ってきたことを明かし、シミュレーション要素に注いだ努力が確実に成果につながっているようだという意見。Steamウィッシュリストなど、実績や人気についての質問も残す
最近は音楽(EDM)制作に没頭しているが、論理と創造性をこのように融合するゲーム制作の経験を見て、自分もゲームを作ってみたくなる刺激を受けていると述べる
一人で作ったゲームの美学的な面が印象的で、ソロ開発者が成し遂げる成果にはいつも感嘆しているという考えを共有
Metropolis 1998のデモ版を公開直後に遊んでみた経験を語り、体験の満足度が高かったので正式版が出るのを楽しみにしているという感想
「アーリーアクセスはたいてい発売の1〜2年前くらいだ」という一文に思わず笑ってしまった。多くのゲームはアーリーアクセスでお金を取ったまま静かに消えたり、永遠にその状態に留まったりすることが多いという現実認識。小規模開発者にとっては、もう少し資金とQA(品質テスト)が必要な時点でアーリーアクセスが役立つこともあり、ファンダムの強いジャンルではプロトタイプだけ作って現金化して消える詐欺的な手法が残念だという意見を提起。その文章自体については、作者の体験談が興味深かったという評価も添える
著者は子どもの頃の夢をかなえたようで、成功しているのだと思うが、大規模スタジオにいる身としては現実的な側面がやや気落ちするという感想
スタジオが小さくなるほど、むしろ開発者としての挫折感が大きくなるという個人的経験を共有。小規模会社の利点もあるが、予算不足がとてつもない欠点であり、実質的にはUnityとSteam AppIDさえあれば競争相手になり得るインディー開発市場の熾烈さにも言及。AAAスタジオでは個人の影響力は小さくなる一方で、より巨大なプロジェクトや野心、興奮を感じられるという違いを説明。今では、3人チームでゲームエンジン全体を背負うより、Battlefieldチームでツールだけ作るほうが満足できそうだという気持ちを表す。インディーや小規模スタジオでもジャンルを変えるような作品を出せるが、開発者の立場から見るとAAAに比べて極めて挫折感の強い統計であることは認める。Microsoftなど大手企業の業界再編(参考: 最近のMicrosoftのゲーム事業再編)まで踏まえた分析も示す
業界については詳しくないが、1999年ごろにトレーディング会社でゲーム会社出身の開発者を採用した経験を回想。転職した本人は「同じ給料をもらって、しかもオフィスで寝なくていい」と驚いていたという愉快な後日談を共有
小規模スタジオでは、誰かに十分な資金余力がない限り、資金が尽きるたびに次の仕事を確保しなければならない構造だと指摘。大規模または収益性のあるスタジオでは、新しいゲームのアイデアを試して失敗しても誰も解雇されないという安定性の違いを強調
ゲーム開発の体験談が印象深く、自分にも強く共感できる内容だと率直に述べる。ゲーム作りは本当に素晴らしく魅力的だが、難しさも確かにあり、それ自体が挑戦の面白さでもあるという点で強く勧めたいという立場を伝える
「3年前、何のゲーム制作経験もないままゲームスタジオに入った」という記述に驚く。競争がなかったという事実がどうしてあり得たのか、真剣に疑問を呈する