SaaS 2.0 - Software-as-a-ServiceからSpecialist-and-a-Spreadsheetへ
(benn.substack.com)- Salesforce などの従来型SaaS製品は、結局のところ複数の リスト管理 と、組み込まれた 業務ノウハウ(Playbook) を組み合わせた形である
- SaaSは多くの場合、ユーザーに 実用的なツール(リスト、ノート、タスク管理など)と 専門家の視点(業務の進め方、ルール、フレームワークなど)を同時に提供する
- しかし既存のSaaSは 平均的なチーム のための汎用ルールに合わせて設計されているため、各組織の個別要件や細かな例外処理に対応しにくい
- これからのSaaSは、AIベースの専門家エージェント がユーザーの代わりに業務を処理し、カスタムワークフローとリスト管理を提供する 「専門家+スプレッドシート」 の形へと進化していく
- 新しいSaaS 2.0の時代には、ユーザーが複雑なUIを直接扱うのではなく、AIの専門家 がリストと業務を全面的に管理する 体験中心のサービス が主流になる
Salesforceの本質: リストとプレイブック
- Salesforceの代表的な製品(顧客関係管理ツール)は、結局 複数のリスト で構成されている
- 顧客リスト、見込み客リスト、製品リスト、コミュニケーション履歴など
- リストのデータベースとしての役割と、それを読み書きするUIが結び付いた構造である
- 実際にはリスト自体はスプレッドシートでも実装できるが、大規模で複雑な一覧の信頼性管理 にはSaaSのほうが効果的である
- Salesforceは年間379億ドルの価値を提供する、複雑なリスト管理と安定性の集約体である
SaaSのもう一つの側面: 業務ノウハウ(Playbook)の内蔵
- 単にリストを提供するだけでなく、実際の営業業務に必要な 複雑なプロセスとコラボレーションのルール も併せて提供する
- 例: 見込み客の発掘、紹介、ミーティング、フォローアップ、資料準備など一連の営業プロセス
- 業界標準のフレームワーク(BANT, CHAMP, FAINT, NEAT, SPICED, SPINなど)を製品のデフォルトに織り込んでいる
- Salesforceでは取引の「商談機会」を作成し、アカウントと結び付け、段階ごとに進める必要があり、特定のフィールド(契約金額など)も必ず入力させる
- こうしたリストは単なる一覧ではなく、「こう働くべきだ」というルールと手順 が構造的に含まれた 意見を持つリスト である
- 多くのSaaSはこのように 専門家のノウハウ をUIや機能、デフォルト設定などに落とし込み、ユーザーに業務の方向性を提示している
SaaSの構造的限界
- SalesforceなどのSaaSは、「平均的なチーム」向けの製品 である
- 実際の営業現場には細かな文脈、例外、中間ステップが数多くあるが、システムには単純化された段階(例: Prospecting→Qualification)とフィールドしか記録されない
- すべてのチームが同じ方法(MEDDIC, MEDPICCなど)で働くわけではないにもかかわらず、SaaSは標準化されたルールとデフォルト設定を強いる
- 例外や特殊状況にはフィールドの回避や形式的な入力で対処するが、実際の文脈はシステムに反映されない
- ユーザーがSalesforceを自分のチームに完全に合わせてカスタマイズしようとすると、コンサルタントの採用など追加のコストと労力がかかる
- カスタマイズのために コンサルタント市場 が成長し、Salesforceのカスタマイズ市場だけでも年間180億ドル規模に達している
代替案: カスタムSaaS、そしてAIの専門家
- より良い方法は、自分専用に完全にカスタムされたSalesforceを直接構築することだが、現実にはコストもリソースも大きい
- あるいは、Salesforceの代わりに営業の専門家を直接雇い、リスト管理を任せれば、システムの枠組みに縛られず業務そのものに集中できる
- 専門家が判断して例外処理や状況に応じた柔軟な対応が可能になる
- ユーザーは「こういうことがある」と伝えれば、専門家が自動的にリストを管理し、必要な助言を提供してくれる
- 現実には専門家を無限に雇うことはできないが、AIが無限の専門家として複製 されて この役割を代替 できるとしたらどうだろうか
- AIボットが営業プレイブックを正確にたどり、スプレッドシート形式のリストを毎日管理する
- ミーティング前の状況整理から、各状況ごとに専門家が行いそうな 判断、フォローアップ業務の助言や提案、例外処理 までAIが直接実行する
- 製品の本質は データベース+ワークフローの明示的な説明+専門家プロンプト になる
- 「Salesforceになければ、実際には起こっていないのと同じだ」という不安感があるように、ユーザーはリストとシステムを自分の目で確認したがる
- しかしメールも同様で、本当に重要な人はGmailやSuperhumanのようなツールではなく、専門家(EA) がすべてのメールを管理してくれる
- ユーザーはもはやUIや一覧を直接触るのではなく、AIの専門家に望む結果だけを伝え、あとはすべて任せる
- 実際にメール管理、デーティング、営業などでも、このような 専門家エージェントベース のサービスが登場しつつある
事例: デーティングアプリ Sitch
- Sitchは従来のデーティングアプリのような単純な「リスト+マッチング」ではなく、人間のマッチメーカーの専門性 をAIで再現している
- ユーザーは約50個の詳細な質問にAIへ回答し、AIはその回答とノウハウをもとにカスタムマッチングを提案する
- 双方が同意すると、AIがグループチャットを作成し、その後フィードバックを受けてさらに精密なパーソナライズを進める
- AIがリストとマッチングを全面的に管理し、ユーザーは結果だけを信頼すればよい
- 核心は 「専門家がリストを管理するモデル」 をAIで実装した点にある
SaaS 2.0 : 「専門家+スプレッドシート」時代のソフトウェア
- 究極的に最も理想的なソフトウェアは、ユーザーが 「望むことだけを伝えれば、残りはすべて自動で管理してくれる」 AIベースの専門家サービスである
- ユーザーが望む内容だけを伝えれば、AIがリスト・業務・判断・例外管理まですべて実行する
- 複雑なUI、リスト確認、運用インフラにこだわる必要はない
- これはソフトウェアが単にホストされた機能を提供するのではなく、「専門家+スプレッドシート」 の組み合わせでユーザーごとの業務を代行する構造である
- 最終的に、SaaS 2.0は 専門家とスプレッドシートを組み合わせたAIサービス が あらゆる業務とリスト管理 を代行するモデルになるだろう
まだコメントはありません。