- スイスの非営利DNSリゾルバ Quad9 は、フランスの裁判所による 違法ストリーミングサイトのブロッキング命令 によって、サービスの存続そのものが脅かされていると警告
- Google・Cloudflare・Cisco のような大手企業は法務・技術面のコストを負担できる一方で、小規模な非営利組織 が同じ負担に耐えるのは難しいと指摘
- Quad9は資金不足のため、最近のフランス裁判所での訴訟に 自ら出廷しないことを決定 し、ブロッキング命令を 世界全体に適用 せざるを得なかったと説明
- 権利者が 中立的なインフラ提供者(ISP・VPN・DNS) に責任を転嫁することで、インターネットの 基本構造(plumbing) 自体が損なわれつつある
- こうした法的圧力が インターネットの開放性・プライバシー・分散性 を弱め、最終的には 少数の大企業中心の中央集権化 につながる危険があると提起
海賊版ブロッキング命令とQuad9の危機
- スイス拠点の非営利DNSリゾルバ Quad9 は最近のブログで、海賊版サイトのブロッキング命令が自社サービスにとって 「存立への脅威(existential threat)」 になっていると発表
- 大手テック企業は法務費用やエンジニアリング費用を事業運営コストとして吸収できるが、小規模な非営利団体には同水準の防御は不可能 だと述べた
- Quad9はフランス裁判所での訴訟で 財政的な限界から自己弁護を断念 しており、その結果としてブロッキング命令を グローバルに適用 しなければならない状況になった
- 発端は、2024年5月にパリ司法裁判所が Google, Cloudflare, Cisco に対し、複数の違法スポーツ配信サイトへのアクセス遮断を命じたこと
- その後、DAZN, beIN など追加の権利者が同様の要請を行い、Quad9とVercel などさらに多くのDNSプロバイダーが対象に含まれるようになった
「インターネットの配管を壊す行為」
- Quad9は、権利者が 直接侵害者を狙うのではなく、ISP・VPN・DNSプロバイダー などの 中立的なインフラ事業者 に責任を転嫁していると指摘
- こうした措置は インターネットの中核インフラ提供者 に直接的な影響を与える
- Quad9は、「侵害によって利益を得るプラットフォームではなく、インターネットを機能させる 中立的なインフラ提供者 が攻撃されている」と表現
- フランスのブロッキング措置後、Ciscoはフランス市場からの撤退 を決定しており、すでに実質的な影響が現れている
- GoogleとCloudflare は技術的にフランス国内のみにブロッキングを限定できるが、Quad9はそれを実装できず、全世界でブロッキングを適用 せざるを得なかった
フランス裁判所の立場とQuad9の問題提起
- フランスの裁判所はこうしたブロッキング命令を正当と判断しており、一部で控訴は進んでいるものの、覆る兆しはない
- Quad9はこれに対し、インターネットの基本原則と責任範囲 について根本的な議論が必要だと主張し、いくつかの問いを示した
- 「中立的な技術インフラ は他者の行為について責任を負うべきなのか?」
- 「国家の裁判所はグローバルなネットワーク に対して自国法をどこまで適用できるのか?」
- 「小規模な非営利団体 は、グローバル企業を前提とした法的義務に耐えられるのか?」
- 「プライバシーとレジリエンス は、少数の大企業だけが法的義務を履行できる状況でどうなるのか?」
- 「法令順守は、どの時点で 事実上の検閲 に変わるのか?」
ドイツでの訴訟後に再燃した脅威
- Quad9は過去に ドイツでSonyを相手取った長年の訴訟 に勝訴した経験があるが、今回のフランスでの案件によって再び 存立への脅威が再現 している
- Quad9は、この種のブロッキング訴訟が インターネットの開放性、プライバシー、分散性 を弱め、最終的には 法的コストを負担できる少数の大企業中心の中央集権的なインターネット につながる可能性があると警告
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