- 多くのマーケティング組織がChatGPT中心の単一ツール利用にとどまる中、SafetyCultureはAIエージェントをGTM全体に適用し、リード品質の向上・商談機会の創出・機能採用の増加を実現した事例
- グローバルで無料登録者が急増する環境において、リード情報の補完・優先順位付けの課題を解決するため、AIベースの並列リード補完ワークフローを構築し、ほぼ100%に近いデータ完全性を確保
- AIが**パーソナライズされたアウトバウンド(自動BDR)**を実行するように構成し、Salesforce・HubSpot・ZoomInfoなど複数システムのデータを組み合わせて個別化メッセージを生成し、ミーティング設定・商談機会創出を大幅に増加
- 顧客の利用パターン・業種・類似顧客の行動を組み合わせて、パーソナライズされた機能推薦と2,500件以上のメッセージ変種を生成するAIライフサイクルエンジンを構築し、機能採用率が向上
- 複数のGTMシステムを一つに束ねるAIベースのカスタムアプリレイヤーを作成し、営業・マーケティングチームが一画面で全情報と「次のアクション」を確認できるようにして、リード→商談転換を25%以上増加
- AIエージェントは初期の自動実行モードからコパイロット混合モデルへ移行しており、新しいワークフローはすべてコパイロットモードで始め、段階的に自動化レベルを拡大
AIエージェント 1: AIベースのリード補完
- SafetyCultureの顧客は、製造・小売・運輸・建設・鉱業など、従来型の技術購入者ではない業種から世界中で流入している
- 単一のリード補完プラットフォームだけでは、データが不足したりすぐに古くなったりする問題があった
- そこで、5つのデータプロバイダーを並列呼び出しするプラットフォーム非依存のAIリード補完システムを構築した(Clayに似た構造だが自社開発)
- ワークフローはプロバイダーを順番に呼び出すウォーターフォール方式で、各属性について最も信頼できる値を選び、別エージェントがWebサイトやLinkedInなどの公開情報でそれをファクトチェックする
- 米国リードについてはOSHA APIを照会して直近の違反記録を見つけ、職場リスクの文脈を把握し、それをリード情報とともにSlackへ要約送信する
- 結果として補完率はほぼ100%近くに達し、GTMチームとAI BDRがより早く「適切な顧客」を把握して即時対応できるようになった
- データ品質はあらゆるAIワークフローの土台であり、複数のデータソースを相互検証することで正確なパーソナライズが可能になる
AIエージェント 2: AI Auto BDR
- 年間50万件の無料チーム登録は営業チームが処理しきれない規模で、どの顧客が高適合(high-fit)なのかを分類しにくいという課題があった
- 以前は営業チームがリードを一件ずつ確認・調査し、カスタマイズしたメッセージを書いていたが、このプロセスが遅く、応答率低下の原因となっていた
- 同社はAIを活用して、個別化アウトリーチ、ナレッジベースに基づく応答、ミーティング設定を処理するAIインバウンドBDRを導入した
- Salesforce・HubSpot・ZoomInfo・Redshiftのデータを組み合わせて、リードの状況・意図・過去利用有無などを分析し、関連する顧客事例を2件選んで個別化メールを生成したうえで、Gong Engageのシーケンスに自動登録する
- 結果としてミーティング設定率は3倍、営業機会は2倍に増加し、コスト問題を抑えるため高適合リードにAI呼び出しを優先適用した
- AI BDRは営業を置き換えるためのものではなく、AEが素早く案件に集中できるよう事前に温度感を高める役割を担う
- 多言語対応はヨーロッパ・ラテンアメリカで特に効果的だった
AIエージェント 3: AIライフサイクルのパーソナライズ
- 顧客がSafetyCultureを使う理由は監査、チェックリスト、検査、安全規制など非常に多様で、単一のメッセージではすべての顧客を満足させるのが難しかった
- これを解決するため、類似顧客の行動をもとに関連機能を推薦するAIベースの推薦エンジンを構築した
- DatabricksでRAGとエージェントワークフローを用いて製品利用データを深く分析し、300件以上の主要ユースケースを自動生成した
- ユースケースに応じて顧客に合った機能セットを結び付け、2,500件以上のコピーのバージョンをAIで生成してRedshiftとBrazeに保存し、パーソナライズされたメッセージに活用した
- その結果、新機能の採用率が10%向上し、より深い製品利用につながってリテンション改善が見られた
- リアルタイムAI呼び出しは時折遅延が発生するため、定期実行後にキャッシュし、マーケティングプラットフォームが即座に参照できるよう構成した
- 大規模LLMより小型モデルの方が、速度・コストのバランス面で実用的なことも多かった
AIエージェント 4: カスタムのマーケティング/営業向けAIアプリレイヤー
- 各GTMシステムには独自のAI機能があったが、SafetyCulture製品向けに設計されたものではなく、営業・マーケティングチームは複数ツールを行き来しながら情報を突き合わせる必要があった
- 同社はRetoolを活用して、すべての顧客情報と「次のアクション」まで一画面で確認できるAI中心のアプリレイヤーを構築した
- リードコンソールと会社ビューアの2つの画面を提供する
- このレイヤーは、リード/顧客データ、AI補完情報、Gongの通話記録、Amplitudeの利用データ、離脱予測、リードルーティングなどをすべて一か所に集約して表示する
- Gongの通話記録を分析して自動でSPICED要約を作成し、Salesforceに保存してBDR→AEハンドオフを自動化する
- AEは「アカウントについて何でも質問」機能で、利用量・有料チーム数・推奨アウトリーチアプローチなどを即座に確認できる
- リード→営業機会転換率は25%以上増加し、自動化によりBDRは商談機会1件あたり約30分を節約した
- チームの80%以上がこのアプリレイヤーを積極的に利用しており、生産性向上はより速い対応とより良い顧客エンゲージメントにつながっている
- AIは必ずしも自動操縦でなければ価値がないわけではなく、コパイロット形態でも十分に強力である
AI優先のGTM組織が得た学び
- SafetyCultureは顧客ジャーニーを基準に、AIが識別・パーソナライズ・予測・助言・自動化のどこで最も効果的かをまず見極める
- 当初は自動化中心だったが、現在はコパイロットと自動化を組み合わせたモデルを採用しており、新しいワークフローはすべてコパイロットモードで始めている
- 最も難しかったのはデータアクセス・セキュリティ・ブランドトーン維持、そして初期AIのハルシネーション問題だった
- 現場でSafetyCultureに依存する顧客が多いため、信頼性と一貫性が重要である
- 単にChatGPTをチームに配布するのではなく、実際のワークフローをベースにAI活用ポイントを見つけていくプロセスが成果を生むことを強調している
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