1 ポイント 投稿者 GN⁺ 2026-01-15 | 1件のコメント | WhatsAppで共有
  • サンフランシスコで開かれた2026年J.P. Morganヘルスケア・カンファレンスは実在するが、その実体を直接体験した人はほとんどいないのではないかという疑問を提起
  • イベントのテーマは全面的に人工知能(AI)中心で構成されており、関連報道は人間的な温かみや具体的な現場感を欠いた機械的な文体で埋め尽くされている
  • 筆者はこのカンファレンスを**「実在するが物質的には存在しない儀礼的集合」**と描写し、業界全体がそれを中心に無意識のうちに調律されていると説明
  • 続いてウェスティン・セントフランシス・ホテルがカリフォルニア地下の巨大な生命体につながる中心線であり、カンファレンスはその生命体に薬物を投与する儀式的行為だという仮説を提示
  • 文章は現実と神話を交差させながら、バイオテック産業・カリフォルニア・文明維持の象徴的なつながりを探る風刺的叙事で締めくくられる

カンファレンスの実体への疑問

  • 2026年1月12日から16日までサンフランシスコのWestin St. Francisホテルで開かれるとされるJ.P. Morganヘルスケア・カンファレンスは、44年目の開催と宣伝されている
    • 公式ウェブサイトや無数の記事、LinkedIn投稿は存在するが、実際に内部に入った人を見つけるのは難しいと指摘
  • 周囲の人に参加者を尋ねると、皆「誰かは行ったのだろう」と答えるだけで、実体験のある人はいないという**「月の周囲を回る人々」**のような現象を描写
  • 筆者は自ら現地を探ったが、カンファレンス内部を見た人は見つからなかったと記す

AI中心のテーマ構成と非現実的な報道

  • 公式テーマはAI in Drug DiscoveryAI in DiagnosticsAI Ethics and Data Privacyなど6つのAI関連分野と、3つのAI中心キーノートセッションで構成
  • あらゆるテーマがAIへ収束している点を異常な集中現象だと指摘
  • 主要メディア(Endpoints News, STAT, BioCentury, FiercePharma)の報道は、「pipeline updates」「strategic priorities」といった非人間的な用語であふれ、実際の現場感が欠けている
    • 記事が「トーンは慎重な楽観論」といった抽象表現を繰り返すだけだと批判
  • 筆者はこうした報道を**「実際に行かなくても書ける記事」**として風刺する

虚構と現実の境界: 「月の大ほら話」との比較

  • 1835年にNew York Sunが報じた**「Great Moon Hoax」**の事例に言及
    • ハーシェルが月で生命体を発見したという偽記事だったが、実在の天文学者と望遠鏡、月という事実的要素によって信頼を得た
  • 筆者はJ.P. Morganカンファレンスを意図された詐欺だと断定してはいないが、その報道のあり方が精巧な虚構と区別できないと指摘

社会的調整点(Schelling Point)としてのカンファレンス

  • 経済学者トーマス・シェリングの「Schelling Point」概念を引用
    • 事前の調整がなくても誰もが集まることになる共有された認識の座標
  • J.P. Morganヘルスケア・カンファレンスはライフサイエンス業界が無意識のうちに合意した年次の集結点として機能
  • 特定の時期、場所、人物が選ばれた理由は不明だが、業界全体がそれを中心に儀礼的な循環構造を形成している

宗教的巡礼としての解釈

  • カンファレンスを**「現代の宗教的巡礼」**になぞらえる
    • 特定の場所(ウェスティンホテル)、特定の時期(毎年1月)、反復される移動、階層と排除、内容よりも儀式そのものから意味が生まれる点で似ている
  • 参加者たちは実際には内部に入らず、ホテル周辺で**「軌道を回る行為」**を繰り返す
  • 筆者はウェスティンホテルのキューブ型構造に触れ、人類が「空の聖所」に魅了される心理を指摘

カリフォルニア地下生命体仮説

  • ホテル内部の湿った微気候と低周波振動を根拠に、地下に巨大な有機体が存在するという仮説を提示
  • ウェスティンホテルはその生命体の**「中心静脈ライン(central line)」**の役割を果たし、カンファレンス期間中に薬が注入されると記述
    • この薬は鎮静剤ではなく生命維持剤であり、カリフォルニア全体を支える存在を生かすためのもの
  • カリフォルニアが死ねば経済・食料・技術・文化が崩壊するため、バイオテック産業全体がこの生命体の治療システムとして発展したという叙事を展開

バイオテック産業とカリフォルニアのつながり

  • AmgenGenentechなどの企業の誕生とバイオ革命は、この生命体を治療するための必然的な結果として描かれる
  • 新薬開発費が高い理由は人間ではなく**「主たる患者」**のための研究費だからであり、臨床失敗率が高いのもその薬が人間向けではないからだという設定
  • サンフランシスコ、サンディエゴ、ボストンはそれぞれ地下生命体の別々の器官を監視する拠点として表現される

ウェスティンホテルの不死性

  • 1904年完成のWestin St. Francisは1906年の大地震と1989年のロマ・プリータ地震でも崩壊しなかった
    • 筆者はこれを「中心線が切れれば生命体が死ぬからだ」と解釈
  • ホテルは1983年以降、毎年カンファレンスを開催しており、ただの一度も中断したことがない

結末: 地球と生命に関する隠喩

  • 17世紀のAthanasius Kircherによる『Mundus Subterraneus』を再び引用し、地球の内部が空洞で生きている存在だという思想と結びつける
  • カンファレンスとカリフォルニア、そして地球の生命循環をひとつの有機的システムとして描写
  • 文章は現実と神話、産業と生命、人間と地球の境界を曖昧にしながら、現代産業の儀礼性と虚構性をあらわにする風刺的な結論で終わる

1件のコメント

 
GN⁺ 2026-01-15
Hacker News のコメント
  • 以前、Google Ventures でデューデリジェンスとリサーチを担当していたときに、このカンファレンスに招待されて参加したことがある
    発表内容は大半が「X人に試したらY人が死亡した」程度の、記憶に残らない話ばかりで、ビジネスミーティングも特に大したものではなかった
    多くの投資家は自分が扱っている分野をよく分かっていないように見え、特に SoftBank は 悪いアイデアの墓場 のように感じられた
    個人的にいちばん楽しかったのは、ハワイのリゾートで開かれる Pacific Symposium on Biocomputing だった。昼はみんな浜辺に行ってしまい、夜はバーで Lynn Conway に偶然会ったのがいちばん印象的だった

    • PSB の本当の中心は ホットタブ での会話だった
      自分はまだ若手すぎてその輪には入れなかったが、そのおかげで良い ポスドク の機会を得られた
      業界関係者はほとんどいなかったが、人と人とのつながりのおかげで科学的には生産的なカンファレンスだった
      一方で JPMorgan のカンファレンスは混みすぎていて中身がなかった。以前 10X の最初の発表を見て悪い印象を持ったが、実際には発表した製品をほとんど作らなかったことで、むしろうまくいったのかもしれない
    • そのカンファレンスで Lynn Conway に会った話を扱った記事かブログがあった気がする。記憶があいまいだ
    • こういうカンファレンスは、実質的に 税控除つきの休暇 のように運営されているのではないかと思う
    • Westin St. Francis ホテルの地下に住んでいるという怪物に 投薬 する仕事にも関わっていたのか、少し気になる
    • 「そのカンファレンスに実際に入った」という話は信じがたい。まるで 多次元宇宙船 の中で開かれた仮想会議のように感じる。もしかすると別のカンファレンスと取り違えているのかもしれない
  • このカンファレンスの本質は公式セッションではなく、その周辺で行われる 非公式ミーティング にある
    JPMHC のような大規模イベントでは、これがすべてだと言っても過言ではない。人を一か所に集めて ディールを効率的に進める ための仕組みだ
    ファンドは近隣ホテルの部屋を 1 室あたり 1 万ドル以上で借りて会議室として使い、実際の宿泊は禁止されることもある
    本当の取引は、こうしたホテルの部屋や 非公開レセプション で行われる

    • 企業カンファレンスの大半はこんなふうに運営されている。公式発表よりも 廊下やパーティー、アフターパーティー で本当の会話が交わされる
    • この種のカンファレンスを 有料ミーティングサービス として提供する会社もある。ただ、実際にどれだけ多くの取引が成立しているのかは疑わしい
    • RSA カンファレンスも同じように回っている
    • こうした集まりの目的は効率ではなく、もっともらしい否認可能性(plausible deniability) を確保することだ
      表向きには何も起きていないことにしながら、将来の産業やセンシティブな話題を自由に議論できる
  • 「ニューヨークで事前連絡なしに見知らぬ人と会うならどこに行くか?」という問いのように、
    サンフランシスコでは昔、「St. Francis ホテルの時計の下で会おう」が定番の答えだった
    その時計はホテル全体の マスタークロック で、昔はダウンタウンのほかの時計も同期していた
    最近修復されて再び振り子式で動くようになり、誤差は 1 か月で約 5 秒ほどだ
    関連動画

    • それなら誰かが セシウム時計 か GPS 受信機を 1 台寄付してもよさそうだ
    • エディンバラにも似たような Binns Clock がある。店はなくなったが時計はいまも残っている
  • 一度 パワーネットワーキング を仕掛けられたことがある。なぜ自分が投資価値のある人間だと思われたのか分からない
    まるでエルフの城に入り込み、記憶を失ったまま戻ってきたような気分だった
    こういう場では 市場に影響を与えるサイドディール が実際に交わされているのだと思う
    自分はただの情報提供者にすぎず、本当の「才能」はその情報を使って動く人たちのほうだ

  • ビーレフェルト陰謀論をもじって、
    「J.P. Morgan Healthcare Conference に実際に行ったことのある人を知っているか?」という冗談を言っている

    • 新年を Bielefeld で過ごしたが、あまりに普通の場所だったので、こんな冗談が生まれたのも理解できる
    • JPMHC は実は サンフランシスコのホテル料金を暴騰させるための陰謀 だと信じている。
      その週に SF を訪れる必要があったが、Kimpton ホテルが 1 泊 1400 ドルだった
    • 「Moab を忘れるな!」と冗談で返している
  • 最近参加した HFES(人間工学会) の年次カンファレンスでも似たような現象を見た
    もともとは人間工学全般を扱う場だと期待していたが、発表の 80〜90% が AI 関連のテーマ だった
    AI の信頼性、説明可能性、人間と AI の協業といった話題が大半で、
    肝心の人間工学本来のテーマはほとんど消えていた
    この AI 過熱 がほかの研究分野を押しのけていることが懸念される。
    そのうち「AI 機能搭載チェア」が腰痛の原因になるかもしれない

  • Hunter S. Thompson が去ったあとも、こういう種類の文章を書き続ける人がいるのはうれしい
    こうした生々しい文章こそ AI には置き換えられない領域

  • 友人が 偽学会詐欺 に引っかかったことがある
    オランダの「今年の学生」賞を受けてスペインの学会を選んだのに、
    行ってみたら学会自体が存在せず、お金だけが消えていた
    それでも友人と一緒の週末旅行で終わったので、まだよかった

  • 「見えない世界が存在する」こと自体は疑いようがない
    問題は、その世界が ミッドタウンからどれだけ離れていて、何時まで開いているのか

    • そして 誰に対して開かれているのか のほうが、さらに重要な問いだ
  • 一部の シード期 VC やデジタルヘルス業界の人たち は、このイベントを HLTH のような大型イベントとして位置づけようとしているが、
    実際には 招待制の投資家向けカンファレンス
    JPM が企業の株式を保有しているか、政府関係者とのつながりがある場合にしかアクセスできない
    それでもデジタルヘルスのコミュニティでは、新年を開く象徴的なイベントとして使われている

    • 「それこそが彼らに望まれた考え方だ」と陰謀論めかして付け加えている