Artemis IIのトイレは月探査ミッションの新たなマイルストーン
(scientificamerican.com)- Artemis IIの宇宙飛行士4人が、月周回飛行中に使用する新型宇宙トイレシステムが導入される
- Universal Waste Management System(UWMS) は、Collins Aerospaceが10年以上かけて開発した成果で、Apollo・スペースシャトル・ISSの設計を統合して改良した形である
- 過去のApolloミッションの非衛生的な排泄システムは、漏れや汚染の問題を引き起こし、NASAの報告書でも満足度の低さが記録されていた
- 新システムは、ドア付きトイレ、男女共用の尿収集装置、同時排泄機能、微小重力用の手すりなどにより、プライバシーと衛生性を強化している
- Artemis IIのUWMS性能検証結果は、今後の月・火星探査ミッションの廃棄物管理標準を決める重要な基準になる見通しである
Artemis IIミッションのトイレ革新
- Artemis IIミッションの4人の宇宙飛行士は、月周回飛行中に新しい宇宙トイレシステムを使用することになる
- 過去のApollo計画では、ビニール袋と漏斗を使った不便な排泄システムが使われており、NASAの報告書でも「不快で非衛生的」と評価されていた
- 今回は、ドア付きトイレ、男女共用の尿収集装置、尿と便の同時処理機能、微小重力下で身体を固定するための手すりなどが含まれる
- このシステムはNASAの**Universal Waste Management System (UWMS)**で、Collins Aerospaceが2015年から開発契約を結び、10年以上にわたって設計と改良を重ねてきた
- Apollo、スペースシャトル、ISSのトイレ設計を基に発展させた成果物
- 将来の月および火星ミッションでも同じシステムを使用できるよう設計されている
- 過去のApollo時代のトイレでは、漏れや汚染の問題が頻繁に発生していた
- Apollo 10では「空中に漂う排泄物」が報告され、Apollo 8では嘔吐物と排泄物が客室内を漂う事故が発生した
- NASAはミッション後の報告書で、廃棄物管理が「乗組員満足度で低い点数」を受けたと明記している
- 宇宙飛行士Ken Mattinglyは「このシステムなら火星には行きたくない」と述べている
- その後NASAは、スペースシャトル用の真空トイレを開発し、無重力環境でも使用できるようにした
- ISS版は一部の廃水を再利用し、スペースシャトル版は宇宙空間へ排出していた
- しかし依然として、女性の身体構造に合っていない、同時排泄ができない、カーテンしかない限られたプライバシーなどの制約があった
- UWMSは、こうした問題を解決した航空宇宙工学の完成形設計であり、チタンの3Dプリンティングによって軽量化と標準化された構造を備える
- ISS、Orionカプセル、今後開発される宇宙船など、さまざまな機体に搭載可能
- 2020年にISSで初試験が行われ、2021年に最終設置が完了した
- Artemis II用のOrionカプセルにも改良型UWMSが搭載され、実際のミッション中に性能が検証される予定
- 今回のミッション結果は、今後のArtemisおよび火星探査ミッションの廃棄物管理体制を左右する重要な基準になるとみられている
1件のコメント
Hacker Newsのコメント
アポロ計画で宇宙飛行士たちが不快に感じていた排泄システムに関するNASA報告書を読んだ
技術的にはうまく動作していたが、実際の使用体験は非常に悪かった
尿収集装置は頻繁に漏れが発生し、便の収集は習熟が必要で45分もかかったという
服の構造にも問題があり、その後のミッションで修正されたとのこと
NASA報告書 PDF
そうしていれば服の問題は事前に解決できた気がする
昨日NASAのライブ配信を見たが、トイレ問題の解決にかなり多くの時間を使っていた
「Toilet Lead」という担当者までいて、最終的には問題を解決したという
「即時液体廃棄手順を開始できてうれしいです」というNASA的な表現があまりにも面白かった
Artemis IIミッションがうまくいくことを願う
排便システムの重要性は過小評価されがちだ
脊髄損傷の経験がある立場から、これがどれほど重要かを痛感している
以前のシステムは固形物と液体を分離しなければならず、男性より女性にとってはるかに難しかったという
Artemisのトイレは両方を同時に処理できる
それでも船外活動のときは今でもMaximum Absorbency Garmentを使うという
MAGのWikipedia記事
昔シャトル計画で働いていたが、部門マネージャーがトイレの配管図に執着していた
「last drop pinch tube」という部品名があって、それで何週間も笑っていた
こういう地味でビジュアル映えしない作業こそ、長期宇宙探査の基盤を作る仕事だ
推進のような「かっこいい」部分よりずっと現実的だ
信頼性が99.999%でなければ本当の計画ではない
微小重力環境では排泄物は致命的な危険要素になりうる — 感染、機器損傷、さらには失明まで
Apollo 8のFrank Bormanが体調を崩したときに大事故につながらなかったのは運が良かっただけだ
結局、インフラと衛生管理こそが本当の探査の核心だ
Brown M&M条項に関する記事
関連動画
映画 2001: A Space Odyssey でHaywoodがトイレの使用説明書を読む場面がとても面白かった
人間の基本的な行為ですら複雑になった未来を風刺した名場面だ
場面分析リンク
Uボートのトイレの話を思い出した
潜航中に排泄物を排出しようとして事故が起き、最終的に潜水艦が沈没した
U-1206のWikipedia記事
MRE(戦闘糧食)を食べると排泄量が減るのは一長一短だ
月に行ったすべての人は、着陸時にはかなりひどい便秘状態だった可能性が高い
NASAのライブ配信をつけたら、最初に聞こえた一言が「toilet is go for use」だった
参考までに、Artemis 2の廃棄物管理システムはしばらく動いていなかったという
NASAブログ記事