Mark KleinがEFFにRoom 641Aを知らせた方法[書籍抜粋]
(thereader.mitpress.mit.edu)- 元AT&T技術者の資料は、NSAがSan FranciscoのAT&T施設でインターネット・バックボーンを複製監視していたことを示す法廷提出可能な証拠となった
- 9/11以後、Patriot ActによってNSAとFBIの監視の区分が弱まり、EFFには主要通信会社の基盤を使った大規模監視に対抗するための公開証言や文書証拠が不足していた
- AT&T Folsom StreetビルのRoom 641Aは、NSAのセキュリティ認可を受けた作業者だけが立ち入れる秘密の部屋で、7階のインターネット光ファイバーが6階のsplitter cabinetを経由して接続されていた
- splitter cabinetは、トラフィックの一方を本来のインターネット経路へ、もう一方をRoom 641Aへ送る構造で、Mark Kleinはこれを「Big Brother machine」と呼んだ
- EFFはMark Kleinの宣誓供述書とAT&T文書を仮差止命令申立てに含め、DOJは文書に表示がなくても機密情報であり得るとして、SCIF経由での送信を要求した
EFF事務所を訪れた元AT&T技術者
- 2006年1月20日、San FranciscoのMission District、Shotwell StreetにあるElectronic Frontier Foundationの事務所を、元AT&T技術者のMark Kleinが訪れた
- Mark Kleinは「プライバシーに関心がありますか」と尋ねた後、NSAがSan Francisco中心部のAT&T施設でインターネットを盗聴する方法を知っていると明かした
- EFFの弁護士たちは、Mark Kleinが持参した資料から、米国内における大規模かつ非標的型のNSA監視を立証できる証拠を確認した
- 監視はEFF事務所から遠くないAT&Tビルで行われており、インターネット・バックボーンに直接接続する構造だった
9/11以後の監視権限の変化と証拠不足
- Mark Kleinの訪問の背景には、2001年の9/11以後の米国政府の対応とPatriot Actがあった
- Patriot Act以前は、国家安全保障目的の海外監視を担うNSAと、国内の法執行監視を担うFBIのあいだに、「壁」と呼べるような区分があった
- Patriot Actはその壁を弱めることに寄与し、EFFは法案がインターネットに及ぼす影響を把握するため、分厚い法案草案を検討した
- その後NSAは、主要通信会社から電話記録全体を集め、米国内の回線に乗り込み、通信会社や一部のインターネット企業からオンライン活動のメタデータを収集したと伝えられた
- これらのプログラムはFISAとPatriot Actの下でも違法に見えたが、法廷で使える文書証拠と公開証言が不足していた
AT&T Folsom Street施設とRoom 641A
- Mark KleinはAT&TのFolsom Streetビルで、内部ネットワークとインターネット・バックボーンを結ぶpeering link区間の保守を担当していた
- AT&Tのバックボーン・トラフィックを流す光ファイバーケーブルはFolsom Streetビルの7階に集まり、そのケーブルは6階にも接続されていた
- 6階には2002年ごろ、Room 641Aという秘密の部屋が設けられ、NSAのセキュリティ認可を持つ作業者だけが立ち入れた
- Mark Klein自身にはRoom 641Aへの立ち入り権限はなかったが、その部屋に入れる人物と一緒に働いていた
- Room 641Aの隣にはsplitter cabinetがあり、7階から下りてきたインターネット接続用の光ファイバーがこの装置に入っていた
- splitter cabinetの反対側からは2束の光ファイバーが出ており、1つは再び7階へ戻って通常のインターネット経路へつながり、もう1つは秘密の部屋へ入っていた
「Big Brother machine」の仕組み
- splitter cabinetは、7階から下りてきた通信を複製し、一方を元の受信者へ送り、もう一方をRoom 641Aへ流す構造だった
- この方式により、NSAは米国内の光ファイバー回線、すなわち人々の通信が通るインターネット・バックボーンの上に乗ることができた
- NSAは接点を通過するすべてのトラフィックのコピーを作成・確保でき、公衆ネットワークの速度を落としたり痕跡を残したりせずに別途検討できた
- Mark Kleinはこの装置を「Big Brother machine」と呼んだ
- 複数の通信専門家は、この構成がNSAが密かに、しかも効果的に「回線の上に座る」ための合理的な方法であることを確認した
- この構成は「盗聴」ではなく、国家全体をタップすることに近かった
法廷証拠と訴訟準備
- Mark Kleinの資料は、EFFが待ち望んでいた法廷提出可能な証拠であり、AT&Tがインターネット通信の違法な国内監視を手助けしていたことを立証できるようにした
- EFFはこの証拠を大規模監視に対抗する訴訟戦略に活用しようとし、Mark Kleinを中核証人に据える必要があった
- Mark KleinをEFFの依頼人にすることはできず、AT&Tの顧客との利益相反の可能性は大きくはないとしても、実際に存在していた
- Mark KleinはAT&Tから民事請求を受けたり起訴されたりする可能性のある法的リスクを負っていた
- EFFはMark Kleinには別個の弁護団が必要だと判断し、関係する弁護士団が加わった
DOJと機密文書の問題
- 3月31日、EFFはMark Kleinの宣誓供述書とAT&T文書を含む仮差止命令申立てを提出した
- EFFはDepartment of Justiceにも、Mark Kleinの宣誓供述書と証拠が提出されたことを知らせた
- DOJ側は、提出文書が機密情報かどうかを直ちに確認する必要があり、機密であれば保持自体が違法になり得るとみなした
- 文書には「classified」の表示はなかったが、DOJ側は表示がなくても機密であり得て、それを判断できるのは政府だけだと考えた
- DOJは文書を裁判所で直接受け取ることはできないとし、San Francisco連邦ビルのSCIFでセキュアFAXを使ってWashington DCへページごとに送るよう求めた
- EFFは文書は機密ではないと考え、たとえ機密であっても、違法かつ違憲のプログラムを明らかにする資料であり、機密制度が違法な政府行為を隠すために使われるべきではないと考えた
- 文書は封印された状態で連邦裁判所に提出され、プログラムの停止を求めるために使われたが、EFF内部には機密情報の違法保有の可能性への懸念が残った
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