GPS信号を検出する
- GPS衛星は地球全体にサービスを提供するために、およそ30基ほどしか存在しない。まるで世界中のDNSサーバーが13個のルートサーバーから始まるのと似た設計だ。
- GPS信号は高度や天候に関係なく、常に私たちの周囲に存在している。私たちの体をかすめる電磁波の言語を理解できれば、いつでもどこでも正確な位置を知ることができる。
- GPSはこれまで人類が試みた中でも、最も大胆な地球工学プロジェクトの一つだ。アンテナと意志さえあれば、その痕跡を感じ取ることができる。
微弱なGPS信号
- GPS衛星から送信される信号の強さは家庭用電球レベルだが、地上に到達する頃には非常に弱くなる。
- 2万km離れた場所から、1秒間に100万回点滅する電球の光を見るようなものだ。しかし、そのかすかな点滅も検出し、解読し、理解して有用に使うことができる。
- GPS信号は非常に弱いため、GPSサービスに料金を課すのは難しい。衛星の側はただ信号を送り続けているだけだ。
GPS信号を聞く
- GPSは電磁波で送信されるが、これはラジオと同じようなものだ。周波数が重要な要素になる。
- GPS信号を受信するには、GPS周波数に合わせたソフトウェア定義ラジオ(SDR)が必要だ。
- SDRを設定し、bias tee、AGC、IQ補正などを調整すれば、スペクトラムを探索できる。
微弱な信号を捉える
- 地上に到達したGPS信号は、周囲のノイズより10万倍も弱い。つまり熱雑音より50db以上低いレベルだ。
- しかしGPSは信号処理技術によって、ノイズの中からでも信号を識別し、解読できる。
- GPSは衛星と受信機の双方が知っているC/Aコードを使う。衛星はこれを1秒あたり1000回繰り返して送信する。
- 受信機は受信信号を継続的に積算し、期待されるC/A信号と比較する。ノイズの平均は0に収束し、C/A信号は徐々に大きくなる。
- これを逆拡散スペクトラムと呼び、複数衛星に適用するために符号分割多元接続技術を使う。
- C/Aコードに実際のデータを載せて送る。C/Aは毎秒100万ビット、データは毎秒50ビットで送信される。
C/Aコードの生成
- GPS衛星ごとに固有のC/Aコードを持っている。民生用GPS仕様書で定義されている。
- オンラインにはC/Aコードの生成方法は多いが、実際のコードはあまり見当たらないため、自分で生成したコードを共有する。
GPS衛星信号の検出
- 受信機は32基の衛星のC/Aコードのコピーを作り、アンテナで受信したデータと相互相関を取る。
- 受信信号にはドップラー偏移、位相差などの歪みが生じる。
- 受信機は各衛星ごとのC/Aコード、想定されるドップラー偏移の範囲、位相差などをすべて考慮しなければならない。
- 検出段階の計算負荷は大きい。最適化の研究が多く進められている。
- 周波数領域で相互相関を取り、位相差とドップラー偏移を一度に扱う。
- 二分探索で最も強い相関を示すドップラー偏移を見つける。
GN⁺の意見
- GPSは印象的な技術だが、既存技術を精巧に組み合わせたものだ。画期的な新技術というわけではない。
- 専用ハードウェアでもGPS受信は可能だが、ソフトウェアでもできるようになったのは大きな進歩だ。今後もハードウェア機能がソフトウェアに置き換えられる流れは加速しそうだ。
- GPS信号が弱いことはセキュリティに役立つ可能性がある。意図的な妨害やスプーフィングが難しくなる。
- GPSは軍事技術として始まったが、民間に開放されてから応用分野が爆発的に増えた。技術を公開し共有することがイノベーションを加速させる。
- 初期のGPS受信機は大きく高価だったが、今ではスマートフォンにすべて入っている。技術の進歩と普及によって価格が下がり、小型化していく過程を示している。
1件のコメント
Hacker Newsのコメント
最新のダイレクトRFサンプリング受信機は、GPS信号を処理するのに十分な速度で動作し、Xilinx RFSoCやNIのFlexRIOのような製品も登場している。ただし、まだ価格は高めである。
GPSは1978年に登場し、現在では人口の半分以上がGPSのない時代を知らずに暮らしている。2000年までは精度を意図的に落とすSelective Availability機能が有効だったため、日常生活ではそれほど大きな助けにはならなかった。
gypsumがコールドスタートから1分以内に位置を特定する速さは、今日の商用受信機より優れている部類である。昔の初期の商用受信機は、測位に15〜20分かかっていた。
以前は、時速600マイル以上で移動中にナビゲーション可能なGPS受信機は、ITARで軍需品に分類されていた。現在は規制が複雑化しており、適用されるかどうかは不明である。
iPhoneで飛行中に写真を撮ると、着陸後に写真へ位置情報が記録されるため、気になった地形を後から調べられる。
GPSは機内モードでも動作し、携帯通信やWi-Fiがなくても使える。米国が運用しており、必要に応じて特定地域のサービスを遮断できるため、複数の国が独自の衛星測位システムを開発している。
GPS衛星は位置ではなく時刻情報だけを送信している。天測航法も正確な時刻に依存している点が興味深い。
GPSの開発過程を興味深く描いた『GPS Declassified』という本や、開発者たちにインタビューした『The Lonely Halls Meeting』というドキュメンタリーをYouTubeで見ることができる。