- TSMCが最先端の1.6nm級プロセス技術を発表。オングストローム級として初の量産プロセスで、前世代のN2P比で大幅な性能向上を約束している。最も重要な革新はBSPDN(Backside Power Delivery Network)となりそうだ。
TSMC 1.6nmプロセスの主な特徴
- 2nm級ノードと同様にGAA(Gate-All-Around)ナノシートトランジスタを使用
- バックサイド電力供給技術であるSuper Power Railを導入
- トランジスタとBSPDNの革新により、N2P比で同一電圧では最大10%高いクロック、同一クロック/複雑度では15~20%低い消費電力を実現可能
- 実際の設計に応じて、N2P比で7~10%高いトランジスタ密度を実現可能
SPR(Super Power Rail)の特徴
- AI/HPCプロセッサ向けに最適化された高度なBSPDN技術
- トランジスタのソース/ドレインに特殊なコンタクトで接続し、抵抗を低減して最大限の性能/効率を達成
- IntelのPower Viaよりもさらに複雑なBSPDN実装方式の1つ
TSMCのプロセス戦略
- BSPDN導入によりプロセスコストが大きく上昇するため、N2P/N2Xには適用しない
- GAAを適用した2nm級ノードと、GAA+SPRを適用した1.6nm級ノードで、互いに競合せず利点を差別化したポートフォリオを構成
量産スケジュール
- A16の量産は2026年下半期に開始予定。実際の製品は2027年に登場する見通し
- Intel 14Aノードとの競争構図が予想される
GN⁺の見解
- 1.6nmプロセスは、トランジスタ密度の向上だけでなく、バックサイド電力供給技術による性能/効率改善に焦点を当てたものとみられる。特にAI/HPCプロセッサなど、高性能/低消費電力が重要な製品群に最適化された技術だ。
- ただし、複雑なBSPDN実装によりプロセスコストは大きく上昇すると予想される。そのためTSMCは2nm級と1.6nm級ノードを差別化し、顧客ニーズに合わせたポートフォリオを提示する戦略を取っているようだ。
- Intelも同時期に14Aノードを導入予定であり、先頭争いは激化しそうだ。両社の技術革新の速度と生産能力拡充が、市場主導権の確保における重要な変数になるとみられる。
- もっとも、最先端プロセスほど開発遅延リスクは高く、これまで日程延期も多かっただけに、実際の量産時期はもう少し見守る必要がありそうだ。初期歩留まりと生産能力の確保も鍵になる。
1件のコメント
Hacker Newsの意見
Chip Warという本が推薦されている。事実に基づく記述が簡潔にうまくまとめられているという。