- Braze(旧Appboy)は 市場の準備が整っていない時点でモバイルユーザーエンゲージメントプラットフォームを開発し、長年の忍耐と市場観察の末に B2B SaaSとしてモバイルの全業界へ拡大することに成功
- 初期市場の不在により、ベータ顧客の大半が離脱したが、モバイルアプリのエコシステムが成熟するにつれて自然に理想的な顧客(ICP)が登場
- 単一業界(ゲーム)への集中ではなく、あらゆる業界に適用可能な「水平型」プラットフォームとして設計され、成長後も業界別売上の偏りなく均等に成長
- 顧客フィードバックと市場の流れをもとに製品の方向性を継続的に磨き込み, ベータからエンタープライズへ段階的に拡大
- 急速なスケールアップより長期的な確信と忍耐が重要であることを強調し、「存在しない市場のために起業する創業者なら、長い待ち時間への備えが必須」
Brazeの創業背景と市場発見
- 2011年、Bridgewater出身のソフトウェアエンジニアたちと起業家 Mark Ghermezian が、モバイルアプリの『ダウンロード以外の収益化』とユーザー関係管理の可能性をテーマに合流
- 当時は「モバイルマーケティング」という概念自体がまだ珍しく、アプリのエコシステムは開発者中心で、趣味的なプロジェクトも多数だった
- 「今後モバイル市場は爆発的に成長する」という確信のもと、Appboy(後のBraze)プロジェクトに着手
プロトタイプ開発と初期の難関
- 初期製品は Push、Email、Newsfeed、Slide up メッセージなど、『チャネル統合型エンゲージメント』を中心に設計
- 市場の準備が整っておらず、1,000人のベータユーザーのうち実質的な顧客はほとんど残らなかった
- 「顧客フィードバックは時に間違うことがある」という確信から、長期的視点で**『モバイルアプリが1つのビジネスになる未来』**に集中
- 投資を急いで受けるよりも、市場成熟までエンジニア中心の内部能力強化に集中
ICPの変化と最初のProduct-Market Fit
- 初期顧客の多くは趣味的な開発者で、支払い意欲も低かった
- 数年後に市場が成熟し、モバイルそのもので収益を上げるアプリ・企業が登場 → 理想的なICP(マーケティングチーム、データ主導の成長チーム)が出現
- Outbound中心で顧客を開拓し、「月間アクティブユーザー(MAU)は何人か」などで実質的なニーズを見極めた
- モバイルタイタン(急成長するアプリ)とエンタープライズのモバイル進出に伴い、市場が本格的に成長
製品フィードバックループと市場適合性の強化
- 実際のビジネス顧客が増えるにつれ、不要な機能を削除し(例:ユーザープロフィールエディター、フィードバックモジュール)、中核機能だけを強化
- 顧客フィードバックは『何を新たに作るか』よりも、『どこに集中するか』という方向性を与えた
エンタープライズ拡大と市場の多角化
- アプリ中心のB2Cだけでなく、銀行・リテールなど大企業のモバイル進出とも重なり、エンタープライズ顧客層が拡大
- 初期顧客が特定業界に偏らないよう「水平型」の製品戦略を維持し、成長後も特定業界の売上比率が20%台前半にとどまるほど多角化
- ゲーム特化の競合は市場拡大時に方向転換に失敗したが、Brazeはすでに準備が整っており成長を加速
創業者と長期成長の姿勢
- 「存在しない市場」を狙う創業者には、忍耐と確信、成長までの長い時間が不可欠
- 「大規模スケールアップ・迅速なM&A」など短期的成功神話に惑わされるべきではなく、BrazeのIPOにも10年を要した
- 創業者たちの**「必ず成功する」という根拠のない確信**と着実なチームワークが支えとなった
主要インサイト
- 市場を先取りする確信があっても、実際の市場成熟までには数年かかることがある
- 顧客フィードバックに無条件で従うのではなく、大きな方向性とビジョンを優先すべき
- 垂直型の業界特化よりも、初期には水平に拡張可能なアーキテクチャ/製品が長期成長を牽引する
- 初期のOutboundセールス、市場教育、顧客成功体験が、その後の大企業/エンタープライズ進出の礎となる
- 創業者・チームの忍耐、粘り強さ、"なぜ今やるべきか"への自信が、市場を待つうえで鍵になる
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