1 ポイント 投稿者 GN⁺ 2025-08-25 | 1件のコメント | WhatsAppで共有
  • 業務中の妨害(Interruptions)が生産性に悪影響を与えるという通説があるが、有名な23分15秒の回復時間という数値の根拠は不明確
  • 広く引用される論文では、23分15秒という時間は実際には言及されていない
  • 複数のブログ記事やメディア記事がこの数値を引用しているが、その大半は論文を誤って引用しているか、Gloria Markのインタビューを根拠にしている
  • 具体的な研究論文では、むしろ中断された場合の元の業務時間がやや短くなり、ストレスだけが増えるという結果がある
  • 公式で明確な出典は不足しており、現時点では個人インタビューの引用が主な出典となっている

中断が生産性に与える影響

  • 業務中に妨害やコンテキストスイッチがあると、23分15秒の復帰時間が必要だという話が広く知られている
  • しかし、この時間がどこから来たのか疑問に思い、実際に信頼できる原典論文を確認しようとした
  • 何度も検索し論文を読んだが、引用されている数値 23 や23分15秒という記述は原典論文では見つからなかった

関連論文の検討

  • ブログ記事でよく言及される論文は The Cost of Interrupted Work: More Speed and Stress である
  • この論文では、中断があると業務に費やされた時間はむしろ減少し、その代わり感じるストレスが増加するという結果を示している
  • 論文には妨害終了後に元の業務へ復帰する時間についての具体的な数値や記述はなく、23 という数字も本文にはない
  • 他の論文や参考文献、関連研究でも、その数値は明確には記されていない

ブログおよびメディアの引用分析

  • 合計23本のブログ記事と5本の論文を追加で検討した
    • 9本の記事は論文を誤引用しており、そのうち1本には実在しない引用文まで含まれていた
    • 2本の記事だけがその論文の実際の結論を正確に引用していた
    • 9本の記事はGloria Markの3件のインタビューを直接または間接的に引用している
    • 2本の記事はWall Street JournalにおけるGloria Markの直接の発言を再引用している
  • 結局、23分15秒という数値は Gloria Mark が複数のインタビューで述べた経験的な数値である
  • しかし、この数値が最初に登場した公式な論文や研究は明確に確認できない

結論と参考

  • 「中断後に23分15秒かかる」という数値は、現時点ではインタビュー出典にのみ基づいており、公式に論文化された根拠はない
  • Gloria Mark のさまざまな論文一覧を追加で確認しても、その数値は見つからなかった
  • もしこの数値が出てくる公式な論文や研究を知っている場合は、情報提供を求めている

その他の情報

  • 関連テーマの Reddit の議論スレッドのURLが紹介されている
  • 記事で言及されたすべてのブログ記事と論文について、参照グラフとリンク一覧が提供されている

1件のコメント

 
GN⁺ 2025-08-25
Hacker Newsの意見
  • ある日は、突然の割り込みが1回入るだけで思考の流れが完全に断ち切られてしまい、その後の6時間は、どこかで使うかもしれない空き瓶や鉄道の道具を拾い集めているような気分で過ごすことになる。一方で、別の日には割り込みがほとんど影響しないこともある。どちらになるのかいまだに見当がつかないので、もうSlackにログインしないほうがいいのではと考えている

    • 割り込みの影響を最小化する方法として、ペアプログラミングは非常に効果的だった。あるスタートアップでは毎日一日中ペアプロをしていたが、中断後に再開するのがほとんど問題にならなかった。説明は難しく、体験してみないとわからない
    • 本当に共感する。そういう日はむしろ机から離れて森を散歩したり家事をしたりすると、再び集中力を取り戻せた。仕事に向かない日は、いっそ休むことを選ぶほうが、結局は翌日の爆発的な生産性につながる。みんなにとってウィンウィンだ
    • 自分にとっては、割り込みの「性質」のほうが重要だ。記憶からすぐ取り出せる簡単な質問ならコストは大きくないが、もう少し深く考えたり、コードや文書を確認したりしなければならない場合は非常に大きく感じる。メールやTeamsの通知ですら流れを壊してしまうことがある。誰かが来て邪魔すること自体が問題なのではなく、どんな話題で割り込まれたかが核心だ。ただし、コーディング中に割り込まれるとバグが生じるリスクは常に高い
    • 自分にとっては、事前に作業を計画していたかどうかが違いを生む。10〜11時に何へ集中するかを前もってわかっていれば、仕事に戻りやすい。逆に、計画なしでただ始めると、外部の妨害がなくても簡単に脱線してしまう
    • 前日にどれだけよく眠れたかとは正比例し、その前の週にどれだけコーヒーを飲んだかとは反比例する傾向があることに気づいた
  • 科学記事の報道ではこうした問題が非常によくある。記事が論文の内容とは違って、あるいは完全に逆に伝えてしまうことがしばしばある。引用論文を記事本文から見つけられない場合も多い。ときには著者側の問題であることもあるが、主には科学ジャーナリストが誤解を招く形や歪んだ形で書くことが多い。自分の基本原則は、必ず論文のアブストラクト、手法、グラフやデータを直接5分でも目を通すことだ。ポピュラーサイエンス記事よりはるかに正確に把握できるし、だんだん慣れてくる。自分もTDDを厳密にやっているときは妨害から素早く回復できるが、設計の検討や複雑なアルゴリズム解析のように頭の中だけで進める作業は回復に時間がかかる。おそらくこうした損失は実際に測定可能で、実験もできると思う

    • 割り込みが当然の環境では、そもそも働き方自体を変える。表面的には時間損失が少なく見えるが、実際には割り込みを受け入れながら仕事をしているだけで、影響が減ったというより、仕事全体が分散したにすぎない
    • LLM(大規模言語モデル)のもっともらしい誤情報現象の一部は、こうした科学記事の報道を高品質な学習データだと誤認して生じているのかもしれないと思う
    • こうした小さな誤りが積み重なって信頼を損ない、大きな問題へ広がっていく過程を詳しく説明している。たとえば「科学者が言った」という形の報道は、記者のミスなのに消費者が科学者の責任として受け取ることにつながるし、「ホットドッグをたくさん食べるとがんになる」のような話も、研究の文脈や数値を省いたまま扇情的に伝えられる。その結果、実際の研究とニュースのナラティブの不一致によって一般の人々は信頼を失う。さらに引用件数が科学者の評判を左右するため、メディアの注目を集めようとする誘因が生まれ、これも歪みを増幅する構造になっている。平凡な論文は見向きもされず、MITの大学院生の論文のほうが多く引用されるのが現実だ。こうしたシステム的な問題は複合効果として次第に大きくなる。あらゆる説明を単純化すれば楽かもしれないが、現実には世界はますます複雑になっている。また、論文は同業者同士のコミュニケーション手段であり、大衆と伝える必要があるときには別の専門コミュニケーターが必要だという文脈もある。「簡単に説明できないなら理解していない」という文句もおかしな話だ。複雑な概念は本質的に単純化できない
  • 元の出典は2006年のGallupによるGloria Mark研究者へのインタビューで、リンク。「割り込まれた後、再び仕事に戻るまで平均23分15秒かかる」という言及がある。よい点は、81.9%がその日のうちに元の作業を再開しており、その時間が過度に長くないことだ

    • この23分という時間は、割り込まれた後に元の仕事へ集中しようとあがく時間ではなく、割り込んできた別の仕事や、その途中で新たに処理しなければならなくなった課題に使われる時間を意味しているのだと解釈している。つまり、この時間自体が無駄だったわけではない
    • 残念ながら、このインタビューは本当の一次情報源ではなく、Jaro Fietz(oberien)という作者が図表でこのインタビューを参照していたが、本当の研究論文はまだ見つけられていない。もし正確な論文を知っている人がいれば教えてほしいと求めている
    • ところで「悪い知らせ」が何なのか気になる
  • 複雑な問題を解いているとき、没入状態(フロー)で割り込まれると、本当に体が痛むような感覚になる。表向きは平然としていようとしても、頭の中であらゆる文脈をつないでいた糸口が切れてしまう。生産性の損失を数字では測れないが、問題によっては回復に20分以上かかることも多い

    • 自分たちのオープンソースプロジェクトの課題管理をpublic GitHubからprivate Jira(2FA必須)へ移すことが、なぜ開発者の生産性に悪いのか説明しようとしても、上級経営陣は共感してくれない。彼らにとって「フロー状態」や突然断ち切られる苦痛は、ただの幻想のような話にしか見えないのだ
  • 自分は、会議による「割り込み」そのものより、割り込みが近づいてくるという「予期」のほうが、はるかに時間を無駄にさせると感じる。だから前後それぞれ30分ずつ失われる

    • パンデミック前は在宅と出社の予定が不規則だったが、たまにオフィスでの会議前に早く着くと、その間の時間はほとんど役に立たずに過ぎた。なんとなく深い作業は始められず、軽いリサーチくらいでやり過ごしていた。オープンオフィス環境自体が妨害だらけで、集中も難しかった。本当は会議の5〜10分前に着くのが最善だが、実際には合わせるのが難しかった。逆に、没入状態のまま会議を逃してしまうこともあり、そのときはデスクトップやスマホの通知は本当に何の役にも立たなかった。本気で逃したくないならアラームを鳴らすべきなのだろうが、なかなかそうしない
    • 自分の一日を台無しにするのは、まさにこういう会議だ。同僚からのほかの妨害はほぼすべて生産的で役に立つ
    • 自分も、直前に慌ただしく予定変更された会議が大嫌いだ。あと30分しかないと思うと意味のある作業を始められない。本当に時間の無駄だ
    • 「会議まで30分あるから、本気の仕事は始めないでおこう」というマインドになる。ある賢い人は会議の間に1時間の間隔を空けているが、そうすると一日中何もできなくなる
    • 自分も会議が入ると、その日が半分潰れたようなものだ
  • 自分はマネージャーとして、繰り返し起きる面倒な割り込みの大半は、正直言って「自分で努力しない態度」だと思っている。自分の役割は戦略や優先順位を示すだけでなく、開発者が詰まったときに突破口を与えることでもあるが、ときどき「データベースのアカウントが必要ならインフラ担当に聞け」とか、「誰がこのAPIを書いたかはgitで探せ」といった基本的なことすら調べずに、すぐ聞いてくる人がいる

    • シニア開発者の立場でも共感する。本当に自分で2〜3分使えばわかることを、15秒で自分に聞いてくる場合が多い。ジュニアが深い質問をするときは15〜30分一緒に考えるが、何か検索してみたか、努力してみたかを確認するための質問をいくつか先に投げる。それでも繰り返し同じことを聞かれると本当に消耗する。返ってくる答えを聞いても、本人がすでに知っている話だったりすることも多く、結局は誰かに代わりにやってほしいだけのように見える。だから本当に疲れる
    • こういう瞬間は「魚の釣り方を教える」時間だと考えている。自分で調査したり試したりしたかを確認する質問も一緒にする。もし繰り返されるなら1on1で直接話すべきだ。個別の問題を超えて複数人に同時に見られるなら、組織全体あるいは文書化のプロセスに何か根本的な問題があるのかもしれない。複雑な組織や大規模チームでは、特にこうした状況がよく起きる
    • もし依頼が自分のチーム内部から来るなら、それは仕事の一部であって、本当の「割り込み」ではないのではないかという立場だ。方向づけや優先順位づけが専業の仕事でないはずもなく、当然のことだ
  • 多くの人がタイトルや記事だけを見て反応したり、読まずにコメントしたりしているという点が、皮肉にも「記事の主張」そのものをリアルタイムで証明しているのが興味深い

    • 実際、多くの人がコメントだけ読んで議論に参加するのはよくあることのようだ。自分もときどき記事を読まず、コメントを見て読むかどうか決めることはあるが、それでも少なくともトップコメントまでは必ず元記事を読んでから意見を書く
  • もし本当に「23分」が固定値なら、医師のような多様で重要な職業はそもそも成り立たないはずだ。つまり、割り込みの影響を単一の数値で要約することはできないのだろう

    • 自分は平均値なのだと思っていたし、実際にはある作業は5秒、別の作業は2時間かかることもあるはずだと考える。そもそも正確な引用文自体もそこまで具体的ではないので、本当に23分という単一値だけを強調するのは早計だ
    • あるいは、割り込まれた作業は優先順位がどんどん下がり、そのまま処理されなくなっていくのかもしれない
  • Gloria Markの本『Multitasking in the Digital Age』44ページにこの話が出てくる、リンク

  • 出典を丁寧に探して記録しようとする試み、本当にすばらしい。自分は学生たちが参考文献や原文をきちんと調べずに引用したり、誤った解釈を自分の考えだと勘違いしたりするのを、よく叱ることになる。能動的読書とは、読む側が自分自身の考えを付け加え、解釈していく過程なのだ