- 毎年1月1日は、世界中で著作権が満了した作品がパブリックドメインに編入される日であり、2026年にはさまざまな文学・音楽・映画作品が新たに加わる
- 今年はウィリアム・フォークナー、ラングストン・ヒューズ、アガサ・クリスティ、ヘルマン・ヘッセ、ローベルト・ムージルらの代表作が米国でパブリックドメイン入りする
- 国ごとに著作権満了の基準が異なるため、**「死後70年」「死後50年」「出版後95年」**という3つの主要な体系に沿って公開作品が区分される
- アインシュタイン、ハンナ・アーレント、トーマス・マン、ウォレス・スティーヴンズ、チャーリー・パーカーらの著作も、各国で新たに自由利用可能になる
- 今回の公開は、文化遺産へのアクセス向上と創作の再利用拡大という点で、世界中のクリエイターと研究者にとって重要な意味を持つ
パブリックドメイン・デー 2026 概要
- 毎年1月1日、著作権保護期間が終了した書籍、画像、映画、音楽が新たにパブリックドメインに加わる
- 2026年にはウォレス・スティーヴンズ、トーマス・マン、ハンナ・アーレント、アルベルト・アインシュタインらの著作が含まれる
- 米国ではウィリアム・フォークナーの As I Lay Dying、ラングストン・ヒューズの Not Without Laughter、アガサ・クリスティの The Murder at the Vicarage などが新たに公開される
- パブリックドメインは各国の著作権法の違いにより一様ではなく、3つの主要な体系が存在する
- 「死後70年」(英国、EU、南米など)、「死後50年」(アフリカ、アジアの大半)、「出版後95年」(米国)
米国で新たに公開された主な作品
- ウィリアム・フォークナー – As I Lay Dying
- 南部ゴシック小説で、15人の語り手が意識の流れの手法で物語る
- フォークナーが6週間にわたり夜間に執筆し、サザン・ルネサンスの代表作と評価される
- ラングストン・ヒューズ – Not Without Laughter
- 1910年代のカンザスの黒人コミュニティを舞台にした成長小説
- 作者の自伝的要素が強く、人種・階級・信仰の問題を扱う
- ヘルマン・ヘッセ – Narcissus and Goldmund
- 中世ドイツを舞台に、放浪と自己探求を主題とした作品
- 2020年にオーストリアの監督シュテファン・ルツォヴィツキーが映画化
- アガサ・クリスティ – The Murder at the Vicarage
- ミス・マープルが初登場する推理小説で、英国の田舎町で起きた殺人事件を扱う
- ジークムント・フロイト – Civilization and Its Discontents
- ダシール・ハメット – The Maltese Falcon
- ハードボイルド探偵小説の代表作で、サム・スペードが主人公
- フランツ・カフカ – The Castle
「死後70年」体系の国で公開された人物
- アルベルト・アインシュタイン
- 相対性理論と量子理論の基礎を築いた物理学者で、1921年のノーベル賞受賞者
- ウォレス・スティーヴンズ
- 米国のモダニズム詩人で、Harmonium と Collected Poems で知られる
- チャーリー・パーカー
- ビバップ・ジャズの創始者でありサクソフォン奏者、現代ジャズの中核的人物
- トーマス・マン
- Buddenbrooks、The Magic Mountain、Joseph and His Brothers などで知られるドイツの作家
- ピエール・テイヤール・ド・シャルダン
- 進化論と神学を結びつけたフランスのイエズス会神学者・古生物学者
- サアダト・ハサン・マントー
- インド分離独立期の悲劇を描いたウルドゥー語短編作家
「死後50年」体系の国で公開された人物
- ハンナ・アーレント
- 全体主義と「悪の陳腐さ」の概念で知られる政治哲学者
- The Origins of Totalitarianism、The Human Condition、Eichmann in Jerusalem の著者
- バーバラ・ヘップワース
- 英国の抽象彫刻家で、St Ives 芸術コミュニティの中心人物
- ウォーカー・エヴァンス
- 世界恐慌期の米国農村を記録した写真家で、FSAプロジェクトに参加
- P. G. ウッドハウス
- ユーモア小説家で、ジーヴスとウースターのシリーズで有名
パブリックドメイン拡大の意義
- 今回の公開により、20世紀前半から中盤の主要な文学・芸術・科学の著作が自由に利用可能になる
- 研究者、クリエイター、開発者が原文データ、画像、テキストを自由に再利用できる基盤が一段と強化される
- パブリック・ドメイン・レビューはこれを記念し、「アドベントカレンダー」形式の公開カウントダウンを運営して主要作品を紹介している
- 著作権の満了は単なる法的出来事にとどまらず、文化的再発見と創作の循環を促進する契機として機能する
1件のコメント
Hacker Newsの意見
個人的にはBetty BoopやPluto、Mickeyにはあまり関心がないが、『The Maltese Falcon』の原作小説が公開されるのは本当に楽しみだ。現代的に再解釈する余地が大きいと思う。
また、『All Quiet on the Western Front』は1930年代最高の映画の1本だと思っているので、ファンによる復元版を見られることを心待ちにしている。
以前Planet Moneyにメールを送ったが返事はもらえなかった。たとえば『Metropolis』がパブリックドメインなら、Planet Moneyが自分たちの版を出したいとき、ただブルーレイを買って複製すればいいのか、復元作業やDRMはどうなるのかが気になっていた。
また、元のフィルムを誰かが独占しているなら、たとえパブリックドメインでも実際にはアクセスできないのではないかとも思っていた。
復元そのものは新たな著作権を生まないが、新しい音楽や翻訳、字幕デザインなどには別個の著作権が発生しうる。
DRMを回避することは犯罪になりうるが、それは著作権の議論とは別問題だ。とにかくコピーさえ確保できれば自由に配布できる。
以前、Bill Gatesらが古い芸術作品を大量に買い集めて、スキャン画像を有料化したという話もあった。
「レビュー用」として販売すれば合法かもしれないが、確信はない。
公式ブログ記事を参照。私も3作品に貢献した。
しかもその内容が今の時代と不気味なほど似ている。
ただの思考実験であって、実際の提案ではない。
「生存期間 + 70年」なら、40歳で出版して90歳で亡くなった場合、120年の保護が可能になる。
たとえば『The Internationale』の歌詞は1871年に、音楽は1888年に作られたが、完全にパブリックドメインになったのは2014年だ。実に140年間保護されていた。
関連Wikipedia記事
たとえばCharlie Parkerの音楽はパブリックドメインでも、Dizzy Gillespieのような共演者はもっと後に亡くなっている。そういう場合、録音物そのものの権利はどうなるのか、また会社が所有している場合はどう判断するのか知りたい。
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