1 ポイント 投稿者 GN⁺ 2026-03-10 | 1件のコメント | WhatsAppで共有
  • アイルランドはクレア州のMoneypoint発電所の稼働を停止し、欧州で15番目の石炭火力発電を完全に終了した国となった
  • ここ数年の風力中心の再生可能エネルギー発電の増加が、石炭依存度低下の主因として作用した
  • Moneypointは2029年まで緊急時の重油発電バックアップ設備としてのみ限定的に運用され、電力卸売市場からは除外される
  • 環境団体は政府に対し、蓄電・柔軟性・送電網インフラの拡充を通じた完全な再生可能エネルギー体制の構築を求めている
  • 今回の措置は欧州内の石炭退出加速の先例と評価されており、イタリアとスペインもまもなく石炭火力の終了を控えている

アイルランドの石炭火力発電終了

  • アイルランドは2025年6月20日、915MW規模のMoneypoint石炭火力発電所の稼働を停止し、石炭火力発電を正式に終了した
    • この発電所は、1980年代半ばにESB(Electricity Supply Board) が1970年代の石油危機への対応のため建設した施設
  • 発電所は現在、EirGridの緊急指示に従って重油を使用するバックアップ発電所としてのみ運用され、2029年まで維持される予定
  • EirGridとESBはすでに2025年末までに石炭火力発電を完全に停止する計画を立てており、Moneypointは電力卸売市場への参加から除外されている

再生可能エネルギー発電比率の拡大

  • エネルギー系シンクタンクEmberによると、2024年のアイルランドの電力の37%(11.4TWh) が風力で生産された
  • 太陽光発電量は0.97TWhとまだ低いものの、最近は継続的に発電記録を更新している
  • 現地業界は、このような再生可能エネルギーの成長傾向が続くとみている

環境団体の反応と要求

  • Beyond Fossil Fuelsのキャンペーナー、Alexandru Mustațăは、「アイルランドは有害な石炭を自国の再生可能エネルギーで置き換えた」と評価した
    • しかし彼は、「今後は蓄電、柔軟性、送電網インフラを備えた完全な再生可能エネルギー基盤の電力システム構築が必要だ」と強調した
  • Friends of the Earth IrelandのJerry Mac Evillyは政府に対し、Moneypointの重油バックアップの最小化と最終閉鎖を求めた
    • また、データセンター拡張の抑制ガス発電所2GW新設計画の再検討も促し、ガス依存の深まりを懸念している

欧州における脱石炭の流れ

  • Beyond Fossil Fuelsは、アイルランドの措置が他の欧州諸国の脱石炭を促進する先例になると評価している
  • 現在、23の欧州諸国が石炭火力発電の段階的廃止を約束している
  • イタリアは2025年夏に本土内の最後の2つの石炭火力発電所を閉鎖する予定で、スペイン本土も同時期に脱石炭国の宣言を控えている

意味と展望

  • アイルランドの石炭火力発電終了は、エネルギー転換の象徴的なマイルストーンと評価される
  • 再生可能エネルギー拡大とともに、送電網の安定性と蓄電技術の確保が今後の課題として示されている
  • 欧州全域で石炭から再生可能エネルギーへの構造的転換が加速している流れを示す事例である

1件のコメント

 
GN⁺ 2026-03-10
Hacker Newsのコメント
  • Beyond Fossil Fuelsの欧州における石炭撤退の状況を見ると、なお24の欧州諸国が石炭火力を使用中で、セルビア・モルドバ・トルコ・ポーランド・コソボ・ボスニアは 撤退計画すらない
    石炭を一度も使ったことがない国として、アルバニア、キプロス、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、マルタ、スイス、ノルウェーが挙げられている

    • マルタは実際には石炭を使ったことがある。EBSCOのエネルギーシステム資料によれば、1980年代に Marsa発電所で石炭を使用していたが、環境問題のため中止した
    • モルドバの石炭発電所はロシアが占領中の沿ドニエストル地域にある。政府が統制できないため、撤退計画がない
    • スウェーデンの石炭発電所は 熱電併給用のピーカープラント としてのみ使われ、その大半は バイオ燃料(木材チップなど) に転換された。実質的に1980年代以降、発電は化石燃料フリー の状態だった
    • エストニアは石炭の代わりに オイルシェール(oil shale) を自国資源として使ってきた。エストニアのエネルギーWiki 参照
    • アイスランドは石炭を使ったことがない
  • どの国も 純粋な意味での石炭フリー になるには、エネルギー純輸出国であり、サプライチェーン全体で石炭由来エネルギーを使っていない必要がある。欧州は脱工業化によって 石炭負担を海外に移した にすぎない

    • 石炭フリーは可能でも、化石燃料フリー ははるかに難しい。アイルランドの場合、石炭を置き換えたのは 風力 ではなく 天然ガス だった
    • こうした問題を補正する 消費ベースのCO₂排出量指標 はすでにある。Our World in Dataのグラフ参照
    • 中国が世界最大のCO₂排出国だという数字が出るたびに、世界の製造業の大部分を担っている点 も併せて言及すべきだ
    • 大気の質は改善するだろうが、CO₂は減らない
    • 欧州は昔より工業比率が下がったとはいえ、今なお 米国より1.5~3倍工業化された国 が多い(ドイツ、ポーランド、スロバキア、イタリアなど)
  • アイルランド人として言うと、この数年で 安価なエネルギー供給国から輸入国へ転じ、エネルギー価格が急騰した。生活費デモが増え、戦争で燃料費負担も重くなっているのに、政府はなお発電所を閉鎖している。こうした 政治的決定が庶民をさらに貧しくしている

    • アイルランドの電気料金上昇の原因は 低い人口密度、インフラ投資不足、ガス価格高騰、低い再生可能エネルギー比率 にある。NERI報告書が根拠。むしろ 再エネ拡大こそが電気料金引き下げの最も現実的な解決策
    • 実際、生活費デモの大半は 住宅費の急騰 と関係している。アイルランドでは データセンター急増 で電力需要が爆発したが、再エネ関連法制は遅れている。2024年時点で 電力の14%を輸入 している(SEAI統計
    • アイルランドは歴史上もっとも豊かな時期にある。貧困や住宅難は炭素削減とは無関係 であり、むしろ豊かになったのだから 再エネ転換を主導すべきだ
    • 国際エネルギー市場では 国内生産エネルギーであっても国際価格で取引される。戦争(ウクライナ、中東)が ガス価格急騰の主要因
    • アイルランドは35年間石炭を採掘していない。データセンターの電力需要が10年で5%→20%以上へ急増 したことが電力逼迫の主因だ
  • 泥炭(turf, peat) の燃焼もやめてほしい。湿地を掘り返して乾燥させて燃やす方式で、炭素排出が非常に深刻な燃料

    • 泥炭利用は採算が取れなくなれば自然に終わるだろう。地元のメイヨーでは多くが 電気ヒートポンプ に切り替わっており、暖房用灯油は高価だが依然として多く使われている
    • 2023年以降、泥炭は発電用にはほとんど使われていない
    • 炭素排出の観点で最悪の燃料
    • むしろ 断熱材として使う ほうがましだという意見もある
    • 再生可能エネルギーだけでは 無風・日照不足時のバックアップ電源 が必要だ。高速起動できる ガスやバイオマス発電 が現実的。フランスのような 原子力中心の構成が最も安定的 で、大規模蓄電技術が出るまでは RES(再生可能エネルギー)だけでは非効率
  • 目標は「石炭フリー」ではなく 「100%再生可能エネルギー」 にすべきだ。否定的な目標より 前向きなビジョン が必要だ

    • 目標は「100%再生可能」ではなく CO₂を可能な限り早く減らすこと だ。石炭閉鎖は 最も速くて容易な削減手段 であり、必要なら ガスタービンで代替 するのも合理的だ
    • 「100%再生可能」という単一目標は 非現実的で経済を損ねる可能性がある。10年単位で 柔軟に調整するアプローチ が必要だ
    • 石炭は 最も汚染の激しい燃料 で、CO₂削減だけでなく 呼吸器疾患の減少効果 も大きい
    • 石炭撤退は 第一段階だが非常に重要な前進
  • 915MW規模の発電所が 非常用に転換 されたとの発表があった。しかし記事では 総発電量に占める比率が明確に示されていない のが惜しい
    SEAI 2024報告書によると

    • 2024年のアイルランドの電力需要は 32.9TWh、前年比4.1%増
    • データセンターが全電力の21.2% を占め、2015年以降の増加分の88.2%を占める
    • Moneypoint発電所は年間およそ 6~7TWhを生産 し、全体のかなりの比率を占める
    • 実際には この10年ほとんど稼働しておらず、閉鎖前でも 大半の日で石炭火力の比率はごく小さかった
  • 近年のアイルランドは データセンターとEVの増加で2028年まで電力逼迫が強まる見通し だ。Moneypointを 非常用の石油火力発電所として再稼働 する案が議論されているが、石炭への回帰は避けるべき
    アイルランドは 洋上風力の潜在力が世界トップクラス なので、十分に グリーン電力の輸出国 になれる

  • 欧州は石炭火力を ガス火力に置き換えた。その多くは 輸入ガス だ。なのになぜ欧州は 安全な原子力発電 を嫌がるのか疑問だ。Emberデータ参照

    • 2025年時点で 最も安い発電源は太陽光($58)、陸上風力($61)、コンバインドサイクルガス($78) だ。Lazard LCOE報告書参照
    • 原子力は ブランディングが悪い
    • 欧州は 核廃棄物の保管場所が不足 しており、とくにアイルランドのような 小さな島国には不向き だ。むしろ米国はなぜ 安価な再生可能エネルギー を嫌うのかと問い返している
    • 30年にわたる反原発プロパガンダ が問題だった。フランスのような 安定的で持続可能な電力構成 をうらやむ
    • 実際にはすべての原発は「安全だ」という前提で運用されているが、福島のような事例 は存在する。欧州でも新規原発建設は進んでいるが、採算性が低く建設も遅い。一方で 風力・太陽光は急速に安くなっている。ドイツは 原発廃止後に再エネ転換を加速した成功例 と評価されている
  • 私の国は EU全体の暖房用石炭1,300万トンのうち1,100万トンを消費 している

    • 「どこの国か言わなくても分かる」という反応で、ポーランド だと推測されている
  • 最近は エネルギー供給に関する誤解や偽情報 が多すぎる。『Clearing the Air』をぜひ読んでほしい。
    この本は「中国はどうするんだ?」「本当に止められるのか?」といった問いに答え、問題に対する楽観的な見方 を示している