AWSの法外な(Egregious)Egressコスト
(blog.cloudflare.com)AWSが、自社ではコストを負担していないネットワーク間転送料金まで顧客に請求し、継続的に下がっている転送コストも顧客には反映せず、人為的に価格を高止まりさせているとするCloudflareの文章
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1990年代半ばにWebホスティングが初めて登場した頃は、帯域幅/ストレージ/CPU・メモリそれぞれについて料金を支払っていた
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それをユーザーが次第に嫌うようになり、固定料金制へと発展し、その後にAWSが登場
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AWSは利便性と拡張性の面では非常に大きな進歩をもたらしたが、料金面では大きく後退した
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特に「データ転送料金」
[Charging for Stocks, Paying for Flows]
- AWSは顧客に対し、転送したデータ量に応じて料金を請求する(月1TBあたりいくら)
→ まるでバケツ(Bucket)に水を入れ、その水の量に応じて受け取る方式
→ Charging for "Stocks" : 量単位で請求
- AWSは自社のネットワーク容量(capacity)に応じて帯域コストを支払っている
→ 帯域幅の料金基準は月1Mbpsあたりいくら
→ AWSのような事業者は月間の最大容量(Peak Capacity)のMbpsあたりでコストを支払う
→ つまり、バケツに入る水の量ではなく、水を満たすのに使う「ホース」の直径を基準にコストを支払う
→ Paying for "Flows" : フロー単位で支払う
[Translating Flows to Stocks]
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1Mbps接続は、1か月フルに使用した場合0.3285TB(328GB)
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事業者向けの卸売(Wholesale)帯域は95%課金なので、実際には毎月0.3458TB(346GB)
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利用率と地域別コストのほうが重要
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実際に毎日100%の利用率を維持するのは難しいため、月平均20〜40%程度と見積もるのが妥当
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保守的に、平均利用率を最低値の20%と仮定
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Cloudflareが世界各リージョンで受けている帯域価格よりも、おそらくさらに有利な条件を得ていると推測される
この基準で計算すると
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米国/カナダ/欧州では、Amazonが支払う帯域コストに対して顧客負担は80倍程度
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日本/シンガポールは17倍、オーストラリア/インドは8倍
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韓国だけが唯一「3.5倍」
→ ただし安心はできない。AWSは市場が成熟するほど、より多くのegressコストを課す傾向がある。ソウルリージョンはまだ4年しか経っていない
[AWSは「唯一」顧客にコスト削減分を還元していない] (ネットワーク相互接続で削減したコスト)
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上で計算したコストは、AWSが帯域に対して直接支払う費用だけを計算したもの
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PNI(Private Network Interface)による直接接続(無償相互接続)されるCloudflareのようなネットワークとの接続ではコストがかからないため、AWSの実効利益は無限大にまで増えうる
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しかもAmazonがコロケーション事業者から受けるリベートまで含めれば、利益率はさらに高い可能性がある
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Azure、Google Cloudのような他のクラウド事業者は、Cloudflareとの共通顧客(mutual customer)についてはegress料金を大幅に割引している
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またBandwidth AllianceのメンバーであるAlibaba、Tencent、Vultrなどは、共通顧客の帯域料金を免除している
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つまり業界の大半のホスティング事業者は、Cloudflareのようなピアへトラフィックを送る際のegressコストを大幅に割引するか免除している
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AWSだけが例外で、Bandwidth Allianceへの招待も断っている
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パブリックインターネットを経由せず、ホスティング事業者間で転送されるトラフィックには相互にコストがかからないため、本来は顧客に請求すべきではないが、
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Amazonの「顧客のために正しいことをするという執念」は、egressコストにまでは及ばないようだ
[人為的に価格を高止まりさせる]
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過去10年間で転送コストは毎年平均23%下落しており、累計では10年前より93%安くなっている
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しかし同じ期間にAWSの転送コストは25%しか下がっていない
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2018年以降、北米と欧州でAWSが支払うegressコストは卸売価格が半分以上下落したにもかかわらず、AWSの転送料金は1セントも下がっていない
[AWSのホテル・カリフォルニア料金プラン]
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AWS料金のもう一つ奇妙な点は、ネットワーク外へ送信されるデータには料金を課す一方で、ネットワークに受信されるデータには料金を取らないこと
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家庭向けの非対称ケーブルネットワークなら意味があるかもしれないが、卸売帯域は対称型
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つまり1Mbps接続を購入すれば、1Mbps送信でき、1Mbps受信できる。受信のコストが送信より高いことも低いこともない
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しかしAWSは、データを入れることよりも、取り出すことにより多くの料金を課している
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合理的に考えると、単に顧客を自社クラウドにロックインするためのように見える
[It's Not Too Late!]
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CloudflareとAWSを併用している共通顧客が存在する
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AWSが正しい行動を取り、egressコストを引き下げ、Bandwidth Allianceに参加して、他ネットワークとのピアリングで得られるコスト削減分を顧客にも還元することを望む
3件のコメント
トラフィック費用が高すぎるのは確かなようです。高いという点では、GCPやAzureも同様に高いです。AWS/GCP/Azureと中小規模のVPCを提供するところを単純比較するのは難しいですが、
大手クラウドサービスでは、VMを含まず、1TBのトラフィック料金だけで10万ウォン程度ですが、
小規模クラウド(linode, vultr)では、6vCPU、16GB RAMのVMと5〜8TBのトラフィックで10万ウォンです。
それでもAWSにはlightsailがあるのでコストは抑えられますが、トラフィック容量を測定する際、IN/OUTの両方を合算してトラフィック使用量として計算すると認識しています。
私は個人的に運用しているものについては韓国リージョンのあるvultrを使っていますが、linodeのほうがより多くの製品形態(Object Storage、Kubernetesなど)があるので、韓国リージョンはないものの、移行したほうがよいのではないかと考えています。
AWSはアマゾン全体の営業利益の66%を稼いでいます。昨年第4四半期時点でアマゾンの営業利益は4兆6千億ウォンですが、AWSは3兆ウォン超を稼いでいます。
しかし同じ四半期のAWSの売上は11兆ウォンなのに対し、アマゾン全体の売上は104兆ウォンで、わずか11%しかありません。AWSが最も収益性の高い事業になっているのには、それなりの理由があるのではないでしょうか?(笑)
Bandwidth-Alliance : https://www.cloudflare.com/bandwidth-alliance/
Azure、GCP、DigitalOcean、Alibaba、Tencent、Automattic、Backblaze、Vultr、Vapor、Packetなどが参加