1 ポイント 投稿者 GN⁺ 2023-12-31 | 1件のコメント | WhatsAppで共有

アメリカ鉄鋼業の歴史

  • 先週、アメリカの鉄鋼会社である US Steel が日本の Nippon Steel に買収されると発表した。
  • US Steel はかつてアメリカで最も大きく重要な企業の1つであり、世界的にもそうだった。
  • 買収発表前の US Steel の時価総額は約80億ドルで、Fortune 500 にも入らない規模だった。

US Steel の起源と初期の歩み

  • 20世紀初頭、アメリカの鉄鋼業はイギリスを追い抜き、世界で最も大きく効率的な産業となった。
  • 鉄鋼生産は規模の経済の効果を享受できる産業であり、大規模な設備ほどより安価な鉄鋼生産を可能にした。
  • 19世紀末、アメリカの鉄鋼生産能力のほぼ半分は毎年使われていなかった。
  • 産業統合への欲求が高まるなか、JP Morgan の主導で Carnegie Steel や Federal Steel など複数の企業を合併し、US Steel が誕生した。
  • US Steel は世界で初めて10億ドルを超える価値を持つ企業となり、アメリカの鉄鋼の60%以上を生産した。

US Steel の戦後時代

  • 第二次世界大戦が終わった後、アメリカの鉄鋼業は比類のない地位にあった。
  • 戦争中にアメリカの鉄鋼生産は3分の1以上増加し、他国の鉄鋼業はほぼ破壊された。
  • US Steel は依然として業界を支配しており、1950年代半ばにはアメリカの鉄鋼生産の約30%を占めていた。
  • しかしアメリカの鉄鋼会社は慢心し、技術進歩を無視して価格を引き上げることに満足していた。

鉄鋼危機とミニミルの台頭

  • アメリカの鉄鋼生産は増え続けたが、1973年以降は需要が停滞または減少した。
  • アメリカ鉄鋼業は外国との競争からの保護を求める一方で、ミニミルと呼ばれる新しいタイプの製鉄設備が登場した。
  • ミニミルは電気アーク炉で鉄スクラップを再利用して鉄鋼を生産した。
  • US Steel は市場シェアの低下と効率の悪化により危機に陥った。
  • US Steel は数千の雇用を削減し、複数の工場を閉鎖して生産性を大きく向上させた。

結論

  • US Steel は保守的な反応として設立され、その文化が会社の初期の歩みを支配した。
  • US Steel はその規模を利用して他の鉄鋼会社を圧迫し、消費者から利益を引き出した。
  • 会社の大きすぎる規模は管理を難しくし、製鉄技術の主要な進歩から取り残された。
  • 今日の US Steel は20世紀の産業巨人とはほど遠いが、それでも技術開発と産業発展を先導する企業というよりは追随者のままでいる。

GN⁺の意見

  • US Steel の歴史は、産業の変化と革新に追随できなかった大企業の典型例である。
  • 技術進歩に乗り遅れた結果として、市場シェアと業界内での影響力が大きく低下したことは、革新の重要性を強調している。
  • この記事は、鉄鋼業だけでなくあらゆる産業において、継続的な革新と適応が不可欠であることを示す興味深い事例である。

1件のコメント

 
GN⁺ 2023-12-31
Hacker Newsのコメント
  • 日本とドイツの産業基盤が全面的に破壊されたことは、歴史や経済研究で見落とされているように思える。第二次世界大戦後、日本とドイツの鉄鋼産業は完全に新しく生まれ変わらなければならなかった。米国の資金援助により、これらの国々は過去の遺物に縛られず、最新の技術と科学で新たに出発できた。北米の産業は1900年代からゆっくり進化してきたが、ドイツと日本は1950〜60年代から急速にスタートした。70年代に米国と英国を追い抜き始めた彼らの現代的なアプローチに、誰もが感銘を受けた。
  • US Steelのデータセンターでキャリアを始めたある人物は、この会社の進化が否定的にばかり描かれていることを残念に思っている。US SteelがUSXへと進化する過程にはイノベーションがあり、データセンター運用の自動化と抽象化によって手作業の労働が最小化されたという。
  • US SteelがSFイラストレーターに、未来の鉄鋼を含む参考書籍の制作を依頼し、その本が映画業界で有名になったことで、未来志向のデザインに鉄鋼が頻繁に使われるようになったという指摘がある。
  • Nucorが米国鉄鋼業界でトップになった過程を概説する『American Steel』(1992)という本がある。Nucorはドイツ企業から実験的な連続鋳造機を購入し、スクラップ金属をシート鋼に変える工場を建設した。米国で生産される鉄鋼の約69%はリサイクルされており、発展途上国では依然として新しい鉄鋼が生産・使用されている。
  • 鉄鋼は将来の発展に大きな可能性を持つ技術である。溶融鉄溶液、バルク金属ガラス、ボロン鋼などが重要なキーワードだ。米国が鉄鋼生産を外国に委ねるのは問題になり得る。
  • イノベーションが問題なのかは定かではない。この記事はUS Steelが開発した合金には触れていない。合金は鉄鋼の中核であり、US Steelは競争力を失った。この記事では米国の強力な鉄鋼労働組合にも触れられていない。
  • ある人物の祖父は韓国での従軍後、30年間金属工場で働き、70年代には米国製鉄鋼の品質問題のために中国製鉄鋼へ切り替えたという話がある。
  • ビジネススクールのジョークで、US Steelが作っているのは「鉄鋼」ではなく「金」だと思い出させるコメントがある。
  • 米国北東部に住む人々に対して、ペンシルベニア州ベツレヘムにある国立産業史博物館を訪れることを勧めるコメントがある。この博物館では、鉄鋼生産と産業機械を紹介している。
  • 米国で生産される鉄鋼の約70%はスクラップ由来である。将来的にはアルミニウムが鉄鋼に取って代わると予想されており、Teslaの「ギガキャスティング」のようなイノベーションが起きている。