- ゲームデザインを12段階の構造として整理し、「面白さ」の本質からシステム設計までの全体像を説明
- 面白さは問題解決を習熟していく過程から生まれ、不確実性と予測の反復によって深みが形づくられる
- ゲームは制約と目標を持つシステムであり、フィードバック・ループ・変化・バランスを通じて学習と没入を促す
- 各段階は問題設計、フィードバック構造、難易度調整、動機づけなどが相互に結びついた学習体系として構成される
- 全体としてゲームデザインはシンプルな原理の上に成り立つが、各要素は深い専門領域から成る複合的な芸術形態でもある
ゲームデザインの12段階概要
- この記事は、ゲームデザインを理解するための12段階プログラムという形で構成されている
- 各段階は「面白さ」「問題とおもちゃ」「予測と不確実性」「ループ」「フィードバック」「変化とエスカレーション」「ペーシングとバランス」「ゲームの入れ子構造」「システム設計」「表現と体験」「動機」「シンプルだが複雑」で構成される
第1段階: 面白さ (Fun)
- 「面白さ」は単なる快楽ではなく、問題解決を習熟していく過程で生じる
- 瞬間的な快感よりも、活動後の達成感が中核にある
- ゲームシステム設計の中心は問題解決の構造であり、単純なインタラクションや装飾は副次的要素にすぎない
- 面白さの本質は予測能力の向上にある
第2段階: 問題とおもちゃ (Problems and Toys)
- 問題は制約と目標から成る構造であり、これをルールと呼ぶ
- ルールだけで目標がなければ「おもちゃ」、目標があれば「ゲーム」になる
- おもちゃはゲーム設計の出発点であり、制約と相互作用を実験する土台となる
- 要点: 制約と動きのあるシステムに目標を与え、自分自身を試す構造
第3段階: 予測と不確実性 (Prediction and Uncertainty)
- ゲームは不確実性を確実性へ変える機械である
- 良いゲームの問題は深さ・不確実性・多様な状況への適用性を備えている
- 単一の解答しかない構造はパズルに近く、不確実性が大きいほど深みも増す
- 要点: 不確実性と曖昧さが大きいほど、ゲームの深さは増す
第4段階: ループ (Loops)
- ループは反復される問題解決構造で、**運用ループ(操作)と進行ループ(学習)**に分けられる
- 同じ行動を繰り返しても、状況が変化してこそ学習が起こる
- ループはパターン認識と予測能力の向上の中核構造である
- 要点: プレイヤーは多様な状況を通じてシステムの動作原理を推論する
第5段階: フィードバック (Feedback)
- 学習と習熟には明確なフィードバック体系が不可欠
- フィードバックは、何が可能か、実行できたか、結果がどう変わったか、目標とどう関係するかを伝える必要がある
- フィードバックが不足したり誤っていたりすると、学習ループは崩壊する
- 要点: 何ができて、何を行い、その結果がどうなったかを明確に示す構造
第6段階: 変化とエスカレーション (Variation and Escalation)
- ゲームシステム設計とは、問題のシナリオではなく問題構造を設計することである
- 同じ問題でも状況(位置、速度、障害物など)を変化させることで、学習のはしごを提供できる
- 難易度の上昇はルール変更やランダム性の追加によって実現できる
- 要点: 状況を段階的に複雑にし、理論を試して修正していく
第7段階: ペーシングとバランス (Pacing and Balance)
- 学習は適切な難易度カーブの中で最適化される
- 挑戦が簡単すぎず難しすぎないよう、上昇―緩和―再挑戦のリズムが必要
- 社会的相互作用など学習以外の要素も、適切な間隔で配置する必要がある
- 要点: 強弱の調整と休息のバランスによって、持続的な没入を保つ
第8段階: ゲームの入れ子構造 (Games Are Made of Games)
- ほとんどのゲームは複数のループのネットワークで構成されている
- ループ間の出力と入力がつながることで、バリューチェーン(value chain)やゲーム経済が形成される
- 各ループは小さな問題単位へ分解でき、相互作用の構造として拡張される
- 要点: 小さな問題をつなぎ合わせて複合システムを構成する
第9段階: 実際のシステム設計 (Actual Systems Design)
- 設計可能な問題の種類は非常に多様で、組み合わせと変形によって無限に拡張できる
- 代表的な問題タイプには、数学的パズル、人間心理の理解、身体・認知の習熟がある
- デザイナーは多様な問題タイプを学び、組み合わせ可能なツールセットを築く必要がある
- 要点: 既存のメカニクスを収集・組み合わせて新しいシステムを創造する
第10段階: 表現と体験 (Dressing and Experience)
- フィードバック層には、視覚・音響・物語など表現要素全体が含まれる
- 同じ問題でも、表現方法によって認識と学習は変化する
- ゲームはシステム設計と芸術的表現の結合体である
- 要点: 問題構造と表現は別物だが、相互補完的な芸術形態である
第11段階: 動機 (Motivations)
- プレイの動機は、問題タイプと表現方法に対する個人的な好みである
- 性格、文化、経験、心理的要因によって好みは変わる
- 動機はマーケティングとゲーム企画の中核フィルターとして活用できる
- 要点: すべてのゲームは特定のプレイヤー集団を対象に設計されるべきである
第12段階: シンプルだが複雑 (It’s Simple, but Not)
- 11の段階すべてが相互依存しており、ひとつでも誤ればゲームは崩れる
- 各段階は独立した専門分野であり、深い学習が必要となる
- ゲームデザインの原理はシンプルでも、実践は複雑で学際的である
- 要点: すべての要素を理解し統合してこそ、完成されたゲーム設計が可能になる
結論
- ゲームデザインは問題解決、学習、フィードバック、表現、動機を統合した芸術である
- 各段階は、すでに研究されてきた原則と実践事例に基づいている
- デザイナーとプレイヤーの双方が学習を通じて成長し、その境界で面白さが生まれる
- ゲーム制作そのものがひとつのゲームであり、その過程自体が習熟への旅である
9件のコメント
ゲームデザインは実はシンプルだ
なぜ最近国内でリリースされるゲームは、1段階目すらまともにできていないのでしょうか
投資家が見る面白さ
意思決定者が見る面白さ
プロジェクトリーダーが見る面白さ
開発者が見る面白さ
プレイするゲーマーが見る面白さ
プレイしないゲーマーが見る面白さ
全部違う……しかも発言力の強い順に影響を与えるから……
業界は、面白さという価値を認めていない状態のようです。その代わりに、ゲームをただ断片的にメディアの延長線として見たり、収益創出の手段として見ているようです
セガのソニックなどのゲームでは、重力や足場の問題で上へ進むのが難しいのですが、上へ行った場合には報酬がありました。良いアイテム(リングのかたまり、1UP)があったり、敵や危険要素が少なかったりしました。
下へ行くほどトゲや敵が増えるレベルデザインでした。
この人が書いた『ゲーム理論』という本は、ゲーム学科で教科書のように使われています。
もしかして、楽しさの理論のことをおっしゃっているのでしょうか?
まさにバイブルですね
具体的な方法論というより、方向性に近いものだと思います。結局は実力と経験でこれを具体化していくことになるのではないでしょうか。
Hacker Newsのコメント
飛行機の中でも自作ゲームを嬉しそうに見せてくれるほど、心からゲームを愛している
彼の文章はアイデアがあまりにも豊富で、一度にすべてを吸収するのは難しい。まるで12コースのテイスティングメニューのようだ。それでも一部を読むだけで学べることが多い
Wikipediaリンク
MMORPG中心の視点だからだろう。面白さは反復的な挑戦と同じではなく、ストーリーも十分に「面白さ」になりうる
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TotalBiscuitと2kliksphilipもこの問題を扱った動画を出している
TotalBiscuit動画, 2kliksphilip動画
YouTubeリンク
不確実性が深みを生むという点には同意するが、プレイヤーのコントロール感は保たれるべきだ。100%ランダムでは面白さが消える
続編では「多ければ多いほど良い」といった形でシステムを増やし、かえって面白さを失うことも多い
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人々が覚えておくべき関係式は次のとおりだ
つまり、言うのは簡単でも実際には**『残りのミネルヴァのフクロウを描け』**レベルの難しさだ