2 ポイント 投稿者 GN⁺ 2026-01-23 | 1件のコメント | WhatsAppで共有
  • 世界の検索市場の 90%以上をGoogleが占有 しており、これはAIの発展と情報アクセスの中核インフラを1社が支配する構造につながっている
  • 米国の裁判所は2024年8月、Googleが 一般検索サービスにおける独占的地位を乱用した と判断し、その後 DOJ(米司法省) はインデックス開放とデータ共有を含む是正措置を発表
  • Kagiは 広告のない有料検索サービス で、Google・Bingとの直接ライセンス交渉に失敗し、 サードパーティAPIを通じた暫定的なアクセス方式 を利用中
  • DOJの是正案が実施されれば、Googleは 検索インデックスとクエリベースの結果を競合他社に公正な条件で提供 しなければならず、これはKagiのような独立系検索企業のイノベーション機会を広げる
  • Kagiは 公共・広告・有料検索が共存する多層的なエコシステム を目指しており、情報アクセスを公共財として回復する方向を志向

検索独占の現実

  • 2025年10月時点の StatCounterデータ によれば、Googleの世界全体の検索シェアは 90.06% 、米国内では 85% とされる
    • Bing 4.31%、Yandex 1.84%、Yahoo 1.45%、DuckDuckGo 0.89%、Baidu 0.73%水準
  • これは競争市場ではなく 事実上の独占構造 であり、検索インデックスは代替不可能な中核インフラとして機能している
  • Microsoftが20年間で約 1,000億ドルをBingに投資 したにもかかわらず、シェアは1桁台にとどまっている
  • Sherman Act はこのような中核インフラ独占を規制するための法律であり、公正なアクセスを強制できる根拠として言及されている
  • 単一の広告ベースのゲートキーパーが情報アクセスを統制する場合、 民主的な意思決定と社会的学習能力 が損なわれるとの警告も含まれる

Kagiのアプローチと限界

  • Kagiは 広告のないサブスクリプション型検索サービス として、さまざまなデータソースを統合し高品質な結果を提供
  • FRAND条件(公正・合理的・非差別) で主要なインデックス提供者と交渉し、Mojeek、Brave、Yandex、Wikipedia、TripAdvisor、Yelp、Apple、Wolfram Alphaなどと 直接ライセンスを締結
  • しかし GoogleとBingとの交渉は不成立
    • Bingは結果の再順位付け・統合を禁止し、2025年8月に Bing Search APIを終了
    • Googleは 公開検索APIを提供しておらず 、広告バンドル形式の提携のみを許可
  • そのためKagiは サードパーティのSERP APIプロバイダー を通じて結果を確保しているが、これはあくまで暫定措置にすぎない

Google反トラスト訴訟とDOJ是正案

  • 2020年に始まった 米司法省(DoJ)対Google訴訟 で、2024年8月に裁判所はGoogleが 独占維持行為によりSherman Act第2条に違反した と判断
  • 2025年9月、DOJは次のような 是正措置 を発表
    • 独占契約の制限: Search、Chrome、Assistant、Geminiに関連する独占契約を禁止
    • データ共有: 競合他社に検索インデックスおよび相互作用データを提供
    • 広告との抱き合わせ禁止: 検索結果へのアクセスをGoogle Adsの利用と連動させることは不可
    • インデックスデータへのアクセス: URL、クロールメタデータ、スパムスコアなどを 限界費用水準で提供
    • 有効期間: 6年間有効、5年間のライセンス期間を保証
  • Kagiは、この措置が実施されれば 公正なインデックスアクセスが可能になる と期待している

実施と執行の重要性

  • 2025年12月、Googleは SerpApiを相手取って大規模スクレイピング訴訟 を提起
  • Kagiはこれを「Googleが合法的なインデックスアクセスを提供していないために生じた構造的問題」と指摘
  • Googleは過去に robots.txt規範以前の時期 にウェブを自由にクロールしてインデックスを構築したが、現在は 自社の独占的地位を利用して他社のアクセスを制限 している
  • Kagiは「直接ライセンスと合法的アクセスを望んでいる」との立場を維持し、DOJの是正案が 実質的なアクセス権の保証につながるべきだ と強調

多層的な検索エコシステムのビジョン

  • DOJ判決は健全な市場をただちに生み出すものではないが、 公正競争の基盤を整える
  • Kagiは 3段階の検索構造 を提示
    • 1段階: 政府が運営する 公共検索サービス(search.org) — 広告・仲介のない非営利の情報アクセス
    • 2段階: 無料の広告ベース検索 — 商業的機能が中心
    • 3段階: 有料サブスクリプション型検索 — 品質・プライバシー・高度な機能が中心(Kagiの領域)
  • このモデルは 公共の情報アクセス、商業的な利便性、プレミアム品質競争 が共存する構造であり、 Sherman Actの趣旨 に合致する

結論

  • DOJの措置は 閉鎖された独占インフラを開かれた公共インフラへ転換する 第一歩
  • Googleがインデックスアクセスを公正な条件で提供すれば、 検索・AIエコシステムにおけるイノベーション競争 が可能になる
  • Kagiは 複数ソース基盤の検索と独自のSmall Web Index を継続的に拡張し、 合法的で透明なアクセス体制 を準備中
  • 目標は「情報アクセスを公共財として回復する検索エコシステム」の構築であり、これは今後10年間の AIと検索の多様性回復 につながる見通し

1件のコメント

 
GN⁺ 2026-01-23
Hacker Newsの意見
  • Google の検索インデックスを新たに作るのは、国家の鉄道網を新しく敷くことのような巨大な作業である
    私には2つ疑問がある。第一に、なぜ他のビッグテック企業は Google の独占を崩すために独自インデックスを作らないのか。LLM 学習用データセットのように公共財として提供すれば、UX 全体に新鮮な変化をもたらせるはずだ。第二に、司法省が独占に関するガイドラインを出したのに、なぜ州単位では強制できないのかが気になる

    • Google は初期に、robots.txt が一般化する前にウェブ全体を自由にクロールしてインデックスを構築した。今では 90% のシェアを武器に、他のクローラーを制限している。つまり Google が現在適用しているルールは、自分が成長するときには守っていなかったルールである
    • インデックスを作ること自体は簡単だが、**「新しいインデックス」**を作るのは非常に難しい。ランキング付けも単なる BM25 レベルではない。25年かけて積み上がった Google のデフォルト設定とユーザー習慣を変えるには、反トラスト措置か技術的な代替手段が必要だ
    • スクレイピング自体が難しく、高品質なスクレイピングはさらに難しい。公開インデックスの試みはあったが、どれも成功していない
    • Google はすでに動詞として使われるほどの知名度を持っているため、競争はほぼ不可能である
    • Apple、Microsoft、Meta、Amazon などは広告市場を Google に譲り、それぞれ自分の領域を守るという暗黙の合意をしている。Google 広告はウェブの税金のように機能しており、公共インデックスができてもサイト運営者の収益構造は変わらないだろう。Google はこうした現実をよく理解している
  • 私は Kagi を応援している。技術は理解していても検索業界の内部構造はよく知らなかった私にとって、彼らの透明性は印象的だった。ただし Google が実際に是正命令に従うかは未知数だ。それでも少しの希望はある

    • 私が Kagi を応援するのは、ブロック機能(block feature) があるからだ。SEO だらけの低品質サイトを完全に除外できる
  • 記事中の統計は信じがたい。世界の 20% は Google がブロックされている地域なのに、「世界の 90% が Google を使う」というのは誇張だ。実際には米国中心の統計に見える

    • Wikipedia の検索エンジンの市場シェアを見ると、ロシアは Yandex 70%、中国は Baidu 59%、韓国は Naver 59%、日本は Google 76% と、地域差が大きい
    • 中国のユーザーは Google を選べないので、統計から除外されたようだ。StatCounter のデータは代表性に欠ける
    • どうせ Kagi も中国では使えないだろう
    • Google がブロックされている国の多くは、主に倫理的な理由で西側企業が進出しにくい場所である。Kagi も同様だろう
  • Kagi が Google API を直接使えず、SerpAPI のような第三者 APIを利用していると明かした部分は興味深い。DeepMind のような Google 系企業も顧客リストにあるという点が皮肉だ。しかし結局、Kagi のクエリは Google に渡されうるため、プライバシーポリシーの限界が存在する

    • ある人は「Google が許可していないのだから、Kagi は盗んで転売している」と表現した
      • しかし、ウェブ上に公開された情報を活用することは合法的なグレーゾーンである。Google も最初は許可なくウェブをクロールしていた
      • 反トラストの観点から見ると、検索インデックスは公共インフラと見なされるべきである。過去の鉄道や通信網のように分離・共有されるべきだという主張だ
      • 現実には Google クローラーだけが特別扱いされるため、新興検索エンジンは競争しにくい
      • 「金儲けに倫理はない」という冷笑的な見方もあった
      • 「Google の AI 要約機能も結局は同じ行為ではないか」という意見も出た
  • ヨーロッパでは Open Web Search InitiativeOpen Web Index のようなプロジェクトが進行中である。14 の研究機関が参加し、公開ウェブインデックスのインフラを構築中で、検索エンジンや LLM が活用できる構造化データを提供しようとしている

  • Kagi の料金説明では「有料、サブスクリプション型検索」とされていたが、**「広告なし(ad-free)」**という表現が抜けていたという指摘があった

    • ある人は、こんな些細な単語1つで Kagi を疑うのは論点をぼかすことだと言った。Kagi が広告を入れる可能性は低く、仮に入れるとしてもユーザー選択型広告のような方式になりうる
    • 「ユーザーの注意を売らない」という文言があるので、大きな問題ではないと見る人もいた
    • 有料ユーザーの立場では、広告が入ればすぐに購読を解約するだろう。広告のない検索体験が中核的な価値だからだ
    • 「有料、広告なし、アスベストなし」式の冗談で過剰な陰謀論を戒めるコメントもあった。xkcd 641 のリンクでユーモアを添えていた
  • Google は今回の判決の是正命令について控訴と執行停止の申し立てを行った。関連文書は CourtListener に公開されている。Kagi が原告側を支援するamicus briefを提出するのか気になる。Google は過去の Epic 控訴のときのように、友好的な団体に資金提供する可能性もある(関連記事

  • 私はしばしば「ググる」と言うが、実際には Kagi や DDG を使っている

    • このような商標の普通名称化(genericization) は法的には Google に不利である。Aspirin が商標権を失った事例のようなものだ
    • 私は「ウェブで検索する」のようなブランド中立的な表現を使うようにしている
    • イタリア語では "to google" が "googl-are" に変形されるが、Kagi に置き換えると "kag-are" が**俗語で「大便をする」**ことを意味して面白いらしい
    • XeroxKleenex のように Google も普通名詞化しているが、それでもなお実質的独占状態にある
    • たいていの人は Kagi を知らないので、わざわざ説明したくない
  • Kagi の AI アシスタントは出典中心の要約を提供するので満足している。Claude や ChatGPT のように人格を装わないため、研究用途に向いている。出典ベースの応答が最大の強みだ