Thomson Reuters、米国初の主要AI著作権訴訟で勝訴
(wired.com)- Thomson ReutersがリーガルAIスタートアップのRoss Intelligenceを相手取った訴訟で勝訴し、米国で初の主要なAI著作権判決が出た
- デラウェア連邦地方裁判所で指定裁判を担当したStephanos Bibas判事は、RossがWestlawの資料を再現し、Thomson Reutersの著作権を侵害したと判断した
- 判決の核心は、AI企業がしばしば主張する**フェアユース(fair use)**の抗弁を退け、RossがWestlawと競合する市場代替物を作ろうとしていたと見なした点にある
- Ross Intelligenceはすでに2021年、訴訟費用を理由に廃業しており、長期訴訟に耐えられるOpenAIやGoogleのようなAI企業とは対照的だ
- この判断が他の事件でも踏襲されれば、生成AI企業のフェアユースによる防御はより難しくなる可能性がある
Thomson ReutersとRoss Intelligenceの訴訟
- Thomson Reutersは米国で初の主要なAI著作権事件で勝訴した
- 2020年、Thomson ReutersはリーガルAIスタートアップのRoss Intelligenceを相手取り、前例のないAI著作権訴訟を提起した
- 訴状でThomson Reutersは、Ross Intelligenceが同社の法律リサーチサービスWestlawの資料を再現したと主張した
- Stephanos Bibas判事は略式判決で、Rossの行為がThomson Reutersの著作権を侵害したと判断した
- Bibas判事は「Rossが取り得る抗弁はいずれも成立しない。すべて退ける」と記した
WestlawのコンテンツとThomson Reutersの立場
- Thomson Reutersの広報担当者Jeffrey McCoyは、Westlawの編集コンテンツは弁護士編集者が作成・維持している著作権保護の対象だと述べた
- そのコンテンツはThomson Reutersの同意なしには使用できず、Rossによる複製はフェアユースではなかったという立場だ
- Ross Intelligenceはコメントの要請に応じていない
フェアユース判断が重要な理由
- 生成AIブーム以降、AI企業が著作権資料をどのように利用できるかをめぐる法的紛争が増えている
- 主要なAIツールの多くは、書籍、映画、視覚芸術、ウェブサイトなど、著作権のある著作物を学習に使用して開発されている
- 現在、米国の裁判所では関連訴訟が数十件進行中で、中国・カナダ・英国などでも国際的な異議申し立てが続いている
- 今回の判決で特に重要なのは、Bibas判事がフェアユースの争点でThomson Reuters側を支持した点だ
フェアユース4要素と今回の判断
- フェアユースの原則は、特定の状況で著作権者の許可なく著作物を使用できるようにするものだ
- 例として、パロディ作品、非商業的研究、ニュース制作などがある
- 裁判所はフェアユースに当たるかを判断する際、4つの要素を見る
- 使用目的
- 著作物の性質
- 使用された著作物の量
- 使用が原著作物の市場価値に与える影響
- Thomson Reutersは4要素のうち2つで優勢だった
- Bibas判事は第4要素を最も重視し、RossがWestlawと競合する市場代替物を開発しようとしていたと判断した
Rossの廃業と他のAI企業との対比
- Ross Intelligenceは今回の判決以前から、すでに訴訟の影響を受けていた
- このスタートアップは2021年、訴訟費用を理由に廃業した
- 一方でOpenAIやGoogleのようなAI企業は、長期の法廷闘争に耐えられる財務力を持つ例として挙げられている
AI著作権訴訟に及ぼし得る影響
- Cornell Universityのデジタル・インターネット法教授James Grimmelmannは、この判断が他の場でも踏襲されれば、生成AI企業にとって非常に不利だと見ている
- Grimmelmannは、Bibas判決は生成AI企業がフェアユースを主張する際に引用する判例の相当部分が「無関係」だというシグナルを発していると評価した
- 知的財産権弁護士Chris Mammenは、この判決がAI企業のフェアユース主張をより複雑にするだろうと見ている
- ただしMammenは、その影響は原告ごとに異なり得るとも付け加えた
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